【R18】無垢なショタ男の娘が異形の存在に快楽調教される話

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第2話.疼き

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 コートの袖からぬるぬると伸びてくるは明らかに人間の腕ではなくーーー軟体動物を思わせる、不気味に滑らかな長い触手が、生温かく腕を伝ってくる。それも一本ではない。コートの袖から、細く枝分かれした触手が、次々に顔を出す。力も強い。抵抗できない。

「っ......けて......!」

 悲鳴と呼ぶにはあまりに弱々しい声は、誰にも届かなかった。

「ぃっ...何でっ......?何でっ......」

 全力で逃げたはずなのに容易く捕まってしまった絶望感と、歪な恐怖。混乱する頭につられて、視界までぐるぐる回るような感覚、恐怖に促される吐き気。
 触手は既に両手の指の一本一本にきつく絡みつき、太い一本が二の腕までのぼってきていた。

「いや、嫌だ...!!誰か......」

 化け物の胴体を思い切り蹴ってみても、ゴムの塊のような感覚でまるで手応えがない。怯むことなく、触手が夏服の半袖から中に滑り込んでくる。粘性の液体で湿った触手が肌を撫でる気持ち悪さに、身体が反射的に反り返る。
 気付くと身体が触手に持ち上げられていて、もう逃げ道は絶たれていた。
 化け物の口元を隠していたマスクがするすると下りていき、蛸の吸盤のようなグロテスクな口が現れる。その中から、ずるずると長く、太い舌が首元に伸ばされる。
 太い舌は、まず喉仏からうなじへ、首元をぐるりと舐めた。触手よりも熱気を帯びていて、舐める舌の動きがはっきりと伝わってくる。その間に触手が制服のシャツのボタンをするすると外し、診察みたいに胸元を晒させる。
 舌は胸、腋、臍、背中......身体中を味見するように舐め回した。
 そんな舌の動きが3度ほど繰り返されただろうか。突然、ぴたりと舌の動きが止まり、舌が引っ込んでいく。

「”.“~~~...”.“~~~...」

 あ。死ぬ、殺されるーーー汗とともに、閉じた瞼の隙間から、涙がはらはらと頰を零れる。呼吸は何か覚悟したみたいで、自然と欠伸みたいに大きく開けた口から、はーっ、はーっ、と絶え間なく漏れた。

「”.“~~~...”.“~~~...!!」

...
...
...

 は、と我にかえる。立っているのは家の玄関の前だ。身体に目をやる。別状はない。制服にも特にこれといった汚れはない。恐らく随分と長い間、呆然と突っ立っていたら、扉が開いた。

「......何してんのアンタ?」

 親の声など聞く耳持たず風呂場に飛び込んだ。いつも夕飯が先だが、「後で」とだけ答えた。変に袖につっかえたり、ボタンに手間取ったり...焦りから来るぎこちなさが、心臓を加速させる。
 裸の肌に残る異質なぬめりは、間違いなく汗ではない。シャワーの温度が変わるのを待たずに浴びた水が冷たくて、身震いする。水が頭から足へ滴るのを感じながら、しばらく放心に身を任せてじっとしていた。
 ......夢?幻覚?気のせい?...いや、そんなはずはなかった。体にこびりつく、変に甘い匂いの液体は.....。.体を洗うスポンジに力が入る、体が削げるほどに。何度、ボディソープのノズルを押したか覚えていない。不思議と今はただ、気持ち悪い、それだけが頭を埋めている。
 結局、夕食は喉を通らなかったので、寝室に転がり込んだ。親に何か言われたが、やはり頭に入ってこなかった。

(忘れよう......)

 何もなかった、と口うるさく脳裏で繰り返していたせいか、すぐには寝付けなかった。

...
...
...

 深夜2時を回ったころ、身体の異変に叩き起こされる。
 全身が熱湯に浸かるような熱さで火照っている。

「......ん、......ん。......あ、ふっ......」

 寝ぼけた耳に響くいやらしい声を、自分が発していると気づくのには時間がかかった。

「う......んぅ...ふぅ......」
(え、どうしたの俺......?)

 寝起きで感覚が鈍った身体が、徐々に目を覚ます。湧き上がる感覚に、意図せず意識が研ぎ澄まされていく。

(......は?......は?......やば、これ)

 布団の中、反射的に身体を丸める。体内で沸騰し始めた感覚に備えて。

「......っく!?ぅ......あ、はっ......!?あぅ、ん......うあ......」
(ちょ、......これほんとに......やば......?)

 全身がぶるぶると痙攣し、背筋を何とも言えない幸福感が突き抜ける。熱い。熱い......

「ふーっ......く、ふーっっ......」

 枕を強く抱きしめながら、歯を食い縛る。そして、できる限りじっとする。少し動くだけで、パジャマの布地が肌を撫でて耐えられなくなる。未成熟で多感な身体の感覚がさらに促進されていて、あらゆる刺激が幸福感に変わる。

(ウザいっ......これ、......ウザいっ......)

 何か感情を迸らせる全身の感覚を、どうにも表現できない。
 ......しばらく必死に耐えて、あることに気付いた。
 首。汗の流れさえ愛撫の感覚に変わり、くすぐったくて口を閉じていられなくなる。
 うなじ。髪が肌をつつくたびに全身の力が抜けるようで、熱い吐息が漏れる。
 胸。震える肌に身体を包むナイロンが擦れて切なさが破裂する。
 腋。丸まった姿勢で自然と無防備になり、クーラーの風にさえくすぐられる。
 臍。普段は意識していないのに、服が擦れるたびに強い脱力感が走る。
 背中。脊髄を通って幸福感が脳を支配する。

のせいだ......!)

 間違いなかった。化け物に舐められた部分が異常に敏感になっているのだ。あれはやはり現実だった。
 そんな事がわかっても、今は、身体を呑む熱さが逃がしてくれない。

「......ぅ、うざ、いっ......」

...
...
...

「ちょっと、目!また夜起きてたでしょ!」

 朝、リビングで親に突っ込まれて洗面台に立つと、我ながら見事な隈ができていた。あの後、いつの間にか意識を失うまで(人ってすごい)全く眠れなかった......。
 幸い、身体の感覚はーーーまだちょっとくすぐったいけれどーーー元に戻っていた。
 ただ、特に入念に舐められた胸だけは、危うく親の前で変な声を上げるところだった。練習に向けてやや緩い体操着を着ると、擦れて仕方がない。最終的に下した決断は、絆創膏を貼ることだったが......

「......ダサい......」

 鏡に映るその姿の滑稽さに若干ブルーになる。体操着の生地が薄く透けてしまうと非常にマズいので、猛暑日にも関わらず、ジャージを持っていくことにした。
 準備を終えて、家を出るときだった。

「”.“~~~...”.“~~~...」

 ビクッとして辺りを見渡すが、何も見えない。気のせいだろうか。
 しかし、休日の練習はそう遅くならないので、帰りに遭遇することもない...はず。
 それに、
 あの事は早く忘れよう。自分に言い聞かせて、自宅を後にした。
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