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チートで皮算用する。
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【心を読む能力】は日本でこそ試してみたかったな。
この異世界で使っている限りかなりチートに感じるのだが、能力が優れているのか異世界が経済的に緩いのかイマイチ分からない。
でもまあ、この異世界で【心を読む能力】が十二分に機能している事は間違いなかった。
少なくとも今の所、キャッシュが確実に積み上がっているし、基本的には当たりの行動を引けている。
俺はラルフ君をバランに紹介すると、食事の席で番頭から読んだ思考を報告する。
・店舗の維持費は10万以内に収まっている(商都で同じ間取りなら200万はする)
・冒険者ギルドの隣の50万で募集している建物は解体屋と親和性がある。
・番頭の見立てでは35万までの値引きが可能
・ホプキンス部材会社が撤退する場合、機材はゴードンの道具屋に投げ売る予定
・薬剤師を囲い込んで自社でポーションを作らせるべき(但しインテリは解体屋が嫌い)
・バランなら無報酬で解体を請け負ってもペイする。
「それ? ウッドマンが教えてくれたの?」
『あ、いえ。 番頭さんの独り言を聞いていたというか。
俺って交渉の時に、相手の手の内を探るのが得意なんです。
スキルで《鑑定の資質》持ってますし。』
「おお! チートは鑑定持ちかあ。
只物では無いと思ってたんだ。
それ、レベル1に上がったら、それで一生喰って行けるぞ!
いやあ、どうりで目端が利くと思った。」
やはり神が与えた(いや、俺が騙し盗ったのだが)チートスキルだけあるな。
聞くところによると、《鑑定》持ちは財務省や法務省にも優遇枠で就職出来るらしい。
後、大規模商店からも高給でスカウトが来るらしく、例外なく高所得者層の仲間入り出来るとのこと。
『どうですか?
俺の持ってきた情報ってバランから見て価値はありますか?
ラルフ君の意見も是非聞かせて下さい。』
「いや、そもそも俺はテナント契約の詳細を教えて貰ってなかったから…
20万前後かなあ、とは思ってたけど。」
「ボクは相場の話は分からないんですけど、バラン支店長なら《無料で解体する代わりに魔石を貰う》は可能だと思います。
本店勤務中に先輩方が似たような話をしておられました。」
「え? 本店で俺の話題とか出てたの!?」
「いや! 前線都市のバラン支店長って有名ですよ?
社長もいつも褒めておられますし。」
「いや、その割に待遇が…
あの会社って評価が給与に反映されないんだよな…」
「あ、それも先輩方が仰っておられました。」
バランとラルフ君は同郷(ヘッピ村)という事もあり、割とスムーズに打ち解けていた。
〈今の村長って誰がやってるの?〉みたいな地元トークで盛り上がれるのはいいな。
「俺、そんなに計算が出来る方じゃないんだけど。
《無料で解体する代わりに、魔石だけ下さい》って提案は稼げると思う。
流石はウッドマンだな、経済学部を鼻に掛けるだけのことはあるわ。」
「冒険者の方が嫌がりませんか?」
『番頭さんが言ってたんですけど。
トード系・スネーク系みたいに解体が難しい魔物なら歓迎される、みたいな。』
「あ、確かにです。
トードなら毎日安定して入って来ますしね。」
『後はどこで解体するか、なんだけど。
あの店は使わない方がいいと思うんです。』
「後からゴチャゴチャ言われそうだもんな。」
『フリーの解体屋が元手なしで作業できる場所ってありますか?』
「城門前だな。
俺が若い頃は城壁に沿って解体屋やら乾燥屋の若手が屋外作業させられてたよ。
昔は城内の家賃が高くて、中々作業スペース確保出来なかったから。」
『それって今でも可能なんですか?』
「ん? 出来るよ。
午後から夕方なら冒険者が城壁沿いで解体も含めた整理作業しているしな。
明日の午後から城外作業しようか?」
『それで番頭さんのアイデアを試してみて下さい。』
「わかった。 ラルフはどうしたい?」
「あ、ボクもバラン支店長のお手伝いをさせて下さい。」
「ははは。 もう支店長じゃないけどねw」
「それじゃあ師匠って呼ばせて貰ってもいいですか?」
「おお、師匠ってガラじゃないんだけど。
あー、でも年齢的には後進を育てなきゃ行けないよなあ。
うん、わかった。
俺なりにノウハウを伝えるよ。
本店では何の担当だったの?」
「あ、はい。 最初は清掃ばっかりだったんですけど、この3カ月くらいはホーンラビットばっかり捌いてました。 いやお恥ずかしい限りなんですがホーンラビットしか捌いたことなくて。」
「いやいや、ラルフはいいペースで仕事させて貰ってると思うよ。
俺が入った頃は新人はずっと清掃だったし。」
「そうなんですか!?」
「うん。 昔は人が余ってたからね。
初年度から刃物持たせて貰うってことは、本店は人手不足なの?」
「はい。
若手がすぐに辞めるって社長がいつも愚痴ってました。」
「しんどい仕事だからねえ。」
「それもあるんですけど… やっぱ給料ですね。」
「本店も安いの?」
「ボクで手取り13万です。
先輩たちもそんなに昇給していないらしくて…
その割にサービス残業を強要されるし…」
「あー、今時13万は酷いよね。
社長も時代錯誤な人だから。」
「それで先輩方は『こんな給料じゃ生活出来ない』って皆さん退職されてしまって。」
「まあ今はどこも人手不足だから、わざわざ解体なんかやる必要ないよね。
鍛冶とか土建に行った方が絶対待遇いいよね。」
「あ、それです。 皆さん建設関連に転職されました。」
「解体屋あるあるだな。」
バランとラルフ君の会話は本当に生生しい。
異世界も日本もそんなに事情変わらないな。
「じゃあチート。 俺とラルフはそのアイデアで城外でやってみる。
オマエはどうしたい?」
『俺も城外に出てみます。
軌道に乗るまでは交渉に立ち会わせて貰えませんか?』
「だな。 価格設定はチートに一任するよ。」
『スネーク系とトード系に絞れば儲かるんですか?』
「ああ、その条件で相手が納得してくれるなら。
美品7割以上は獲得する自信がある。」
「え!? 7割ですか!?
あ、いやそれは流石に…」
『何? 7割美品って難しいの?』
「あ、いえ。 師匠を疑う訳ではないんですが…
本店の職長でも2割がいいトコなんで。」
『今の職長って誰なの?』
「パーマーさんです。」
『えー、あんな奴が職長やってるの…
よっぽど人手不足なんだねえ。』
「やっぱりパーマーさんは駄目ですか?」
『彼は昔から不真面目だったから。
どうせアイツ、トイレ休憩ばっかりしてるんでしょ?』
その後、二人は職長の悪口で盛り上がっていた。
バランは《パーマーなる男が職長を務めている》という話を聞いた瞬間に、自信に満ち溢れた表情になった。
「城外でトードとスネークを優先して受けるよ。
後、ワイルドオックスもそのアイデアを適用する。
後はどうしよう?」
『一律1万は高いですか?』
「客は減ると思うけど、需要あると思う。」
『2万はどうですか?』
「一体2万…
うーん、部位単価の高い魔物なら…
どうだろう… 想像が付かない。」
『一体2万の価格設定なら儲かりますか?』
「そりゃあ大儲けだよ。
毎日3人分のベットメイクが出来るな。」
そういうとバランは俺達二人に意味あり気なウインクをして笑いを誘う。
ラルフ君は免疫がないのか、赤面して俯いてしまった。
『じゃあ定価を1体2万にして客数を絞りましょう。
トード・スネーク・ワイルドオックスに関してはウッドマン方式で。』
「了解、それで行こう。」
『俺、今から冒険者ギルドに顔を出してきていいですか?』
「ん? 今から?」
『アンダーソンさんに会えたら、状況説明してみます。』
「ああ、あの人当面ロングスネークばっかり持って来るだろうしな。」
『なのでウッドマン方式が受け入れられるか探ってきます。』
「わかった。 チートに任せる。
その間俺はラルフ君と当面の生活考えておくよ。」
『もし時間があればゴードンさんの道具屋に顔を出してみて下さい。』
「ゴードンさん? 何で?」
『あそこ自前でポーション作ってるんで、魔石の仕入れ先は探していると思うんですよ。
かなり世慣れてるみたいですし、独立挨拶しておいて損はないかと。
ラルフ君の紹介も兼ねて顔を出してみて下さい。』
「わかった。 日が沈む前に顔を出しておく。」
この異世界で使っている限りかなりチートに感じるのだが、能力が優れているのか異世界が経済的に緩いのかイマイチ分からない。
でもまあ、この異世界で【心を読む能力】が十二分に機能している事は間違いなかった。
少なくとも今の所、キャッシュが確実に積み上がっているし、基本的には当たりの行動を引けている。
俺はラルフ君をバランに紹介すると、食事の席で番頭から読んだ思考を報告する。
・店舗の維持費は10万以内に収まっている(商都で同じ間取りなら200万はする)
・冒険者ギルドの隣の50万で募集している建物は解体屋と親和性がある。
・番頭の見立てでは35万までの値引きが可能
・ホプキンス部材会社が撤退する場合、機材はゴードンの道具屋に投げ売る予定
・薬剤師を囲い込んで自社でポーションを作らせるべき(但しインテリは解体屋が嫌い)
・バランなら無報酬で解体を請け負ってもペイする。
「それ? ウッドマンが教えてくれたの?」
『あ、いえ。 番頭さんの独り言を聞いていたというか。
俺って交渉の時に、相手の手の内を探るのが得意なんです。
スキルで《鑑定の資質》持ってますし。』
「おお! チートは鑑定持ちかあ。
只物では無いと思ってたんだ。
それ、レベル1に上がったら、それで一生喰って行けるぞ!
いやあ、どうりで目端が利くと思った。」
やはり神が与えた(いや、俺が騙し盗ったのだが)チートスキルだけあるな。
聞くところによると、《鑑定》持ちは財務省や法務省にも優遇枠で就職出来るらしい。
後、大規模商店からも高給でスカウトが来るらしく、例外なく高所得者層の仲間入り出来るとのこと。
『どうですか?
俺の持ってきた情報ってバランから見て価値はありますか?
ラルフ君の意見も是非聞かせて下さい。』
「いや、そもそも俺はテナント契約の詳細を教えて貰ってなかったから…
20万前後かなあ、とは思ってたけど。」
「ボクは相場の話は分からないんですけど、バラン支店長なら《無料で解体する代わりに魔石を貰う》は可能だと思います。
本店勤務中に先輩方が似たような話をしておられました。」
「え? 本店で俺の話題とか出てたの!?」
「いや! 前線都市のバラン支店長って有名ですよ?
社長もいつも褒めておられますし。」
「いや、その割に待遇が…
あの会社って評価が給与に反映されないんだよな…」
「あ、それも先輩方が仰っておられました。」
バランとラルフ君は同郷(ヘッピ村)という事もあり、割とスムーズに打ち解けていた。
〈今の村長って誰がやってるの?〉みたいな地元トークで盛り上がれるのはいいな。
「俺、そんなに計算が出来る方じゃないんだけど。
《無料で解体する代わりに、魔石だけ下さい》って提案は稼げると思う。
流石はウッドマンだな、経済学部を鼻に掛けるだけのことはあるわ。」
「冒険者の方が嫌がりませんか?」
『番頭さんが言ってたんですけど。
トード系・スネーク系みたいに解体が難しい魔物なら歓迎される、みたいな。』
「あ、確かにです。
トードなら毎日安定して入って来ますしね。」
『後はどこで解体するか、なんだけど。
あの店は使わない方がいいと思うんです。』
「後からゴチャゴチャ言われそうだもんな。」
『フリーの解体屋が元手なしで作業できる場所ってありますか?』
「城門前だな。
俺が若い頃は城壁に沿って解体屋やら乾燥屋の若手が屋外作業させられてたよ。
昔は城内の家賃が高くて、中々作業スペース確保出来なかったから。」
『それって今でも可能なんですか?』
「ん? 出来るよ。
午後から夕方なら冒険者が城壁沿いで解体も含めた整理作業しているしな。
明日の午後から城外作業しようか?」
『それで番頭さんのアイデアを試してみて下さい。』
「わかった。 ラルフはどうしたい?」
「あ、ボクもバラン支店長のお手伝いをさせて下さい。」
「ははは。 もう支店長じゃないけどねw」
「それじゃあ師匠って呼ばせて貰ってもいいですか?」
「おお、師匠ってガラじゃないんだけど。
あー、でも年齢的には後進を育てなきゃ行けないよなあ。
うん、わかった。
俺なりにノウハウを伝えるよ。
本店では何の担当だったの?」
「あ、はい。 最初は清掃ばっかりだったんですけど、この3カ月くらいはホーンラビットばっかり捌いてました。 いやお恥ずかしい限りなんですがホーンラビットしか捌いたことなくて。」
「いやいや、ラルフはいいペースで仕事させて貰ってると思うよ。
俺が入った頃は新人はずっと清掃だったし。」
「そうなんですか!?」
「うん。 昔は人が余ってたからね。
初年度から刃物持たせて貰うってことは、本店は人手不足なの?」
「はい。
若手がすぐに辞めるって社長がいつも愚痴ってました。」
「しんどい仕事だからねえ。」
「それもあるんですけど… やっぱ給料ですね。」
「本店も安いの?」
「ボクで手取り13万です。
先輩たちもそんなに昇給していないらしくて…
その割にサービス残業を強要されるし…」
「あー、今時13万は酷いよね。
社長も時代錯誤な人だから。」
「それで先輩方は『こんな給料じゃ生活出来ない』って皆さん退職されてしまって。」
「まあ今はどこも人手不足だから、わざわざ解体なんかやる必要ないよね。
鍛冶とか土建に行った方が絶対待遇いいよね。」
「あ、それです。 皆さん建設関連に転職されました。」
「解体屋あるあるだな。」
バランとラルフ君の会話は本当に生生しい。
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「じゃあチート。 俺とラルフはそのアイデアで城外でやってみる。
オマエはどうしたい?」
『俺も城外に出てみます。
軌道に乗るまでは交渉に立ち会わせて貰えませんか?』
「だな。 価格設定はチートに一任するよ。」
『スネーク系とトード系に絞れば儲かるんですか?』
「ああ、その条件で相手が納得してくれるなら。
美品7割以上は獲得する自信がある。」
「え!? 7割ですか!?
あ、いやそれは流石に…」
『何? 7割美品って難しいの?』
「あ、いえ。 師匠を疑う訳ではないんですが…
本店の職長でも2割がいいトコなんで。」
『今の職長って誰なの?』
「パーマーさんです。」
『えー、あんな奴が職長やってるの…
よっぽど人手不足なんだねえ。』
「やっぱりパーマーさんは駄目ですか?」
『彼は昔から不真面目だったから。
どうせアイツ、トイレ休憩ばっかりしてるんでしょ?』
その後、二人は職長の悪口で盛り上がっていた。
バランは《パーマーなる男が職長を務めている》という話を聞いた瞬間に、自信に満ち溢れた表情になった。
「城外でトードとスネークを優先して受けるよ。
後、ワイルドオックスもそのアイデアを適用する。
後はどうしよう?」
『一律1万は高いですか?』
「客は減ると思うけど、需要あると思う。」
『2万はどうですか?』
「一体2万…
うーん、部位単価の高い魔物なら…
どうだろう… 想像が付かない。」
『一体2万の価格設定なら儲かりますか?』
「そりゃあ大儲けだよ。
毎日3人分のベットメイクが出来るな。」
そういうとバランは俺達二人に意味あり気なウインクをして笑いを誘う。
ラルフ君は免疫がないのか、赤面して俯いてしまった。
『じゃあ定価を1体2万にして客数を絞りましょう。
トード・スネーク・ワイルドオックスに関してはウッドマン方式で。』
「了解、それで行こう。」
『俺、今から冒険者ギルドに顔を出してきていいですか?』
「ん? 今から?」
『アンダーソンさんに会えたら、状況説明してみます。』
「ああ、あの人当面ロングスネークばっかり持って来るだろうしな。」
『なのでウッドマン方式が受け入れられるか探ってきます。』
「わかった。 チートに任せる。
その間俺はラルフ君と当面の生活考えておくよ。」
『もし時間があればゴードンさんの道具屋に顔を出してみて下さい。』
「ゴードンさん? 何で?」
『あそこ自前でポーション作ってるんで、魔石の仕入れ先は探していると思うんですよ。
かなり世慣れてるみたいですし、独立挨拶しておいて損はないかと。
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