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チートで小銭を稼いでみる

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俺の名前は伊勢海地人(いせかいちーと)、幼少の頃に異世界ハーレムを築くという誓いを立てた男だ。
勉学や勤労に心を奪われることなく、異世界ラノベだけを読み続けて来た。

一日一作、感謝の読了。
読み続け、想い続け、そして俺は!
めでたく、この異世界グランバルド(本当は月の内側らしいけどね)に転生した!
しかも、最強のチート能力を習得した状態で、だ。
聞いて驚け。
俺の能力は【心を読む】だ。

…この能力はマジで万能。
マジでヤバい。
まあ、どれくらいヤバいのかというと、第1話で世界観のネタバレ食らって一気に異世界に幻滅するくらいにはヤバい。
ちなみにこの話のオチは、『この世界が異世界ではなく宇宙人によって月の内部に作られた世界であり、人類はその宇宙人達が欲しがっているスキルを発現する為に戦わされている』というSF的なオチ。
エリート生ポ民の俺はラノベのみならずSF教養も兼ね備えているので、この流れにも付いていく自信はあるが…
正直、興ざめしたな…
テンション下がるわ…

まあいい。
生存の為にもチート能力を活用していくか…



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




まあこの【心を読む能力】の実態に関しては、俺もあんまり分かってないので目の前のおっさんで実験してみる。


目の前のおっさん…
見た感じ、この城壁都市の門番だ。


「おう坊主、見ない顔だな。
身分証あるか?」


門番が胡散臭げに俺の顔を覗き込んでくる。
そして、胸元には親切にも活字のポップアップ。


【まーた流れ者かよ… 
どうせ身分証持ってないんだろうなー。
素直に冒険者ギルドに登録してくれるんならこっちも助かるんだが…】


やはりな。
神の時もそうだったように、俺には話している相手の本音がわかる。
【】が対象のモノローグだ。


『すみません。 俺、身分証とか持ってなくて。
冒険者ギルドに行きたいって思ってるんですけど。』


俺はおっさんの喜ぶであろう答えを返す。



「おお! マジかーw 
この前線都市は冒険者大歓迎だぜ!」
【ふー。 まーた小商い目的の寄生虫かと思ったぜ。
ようやく勤務日誌には『冒険者入城』って書けるぜ。】



『ありがとうございます。
これから宜しくお願いします。』


俺は頑張って笑顔を作り、門番に会釈する。
笑いが止まらないねw
《小商い目的の寄生虫》が頻繁に訪れる街。
つまり、他の街に比較して余剰がある。
何となく、ここで生活出来そうな気がしてくる。
スマンなオッサンw
ここで寄生虫することにしたわw


街に入ると。
おお、夢に見た異世界よ!
(本当は月だけど…)
鎧姿の男女が談笑しながら歩いている。
広場らしき場所にはケモノの死体らしきものが並べられている。
おお!
あの猪の死体!
サーベルタイガーみたいに長い牙だ!
あれは確実に地球には無い生物!
やはり俺は異世界に来たんだ!


【はぁー。 解体員が足りないんだよなー。  
給料は悪くないんだが、臭い取れないから
若い連中がこの仕事手伝ってくれないんだよなあ。
定時に帰れるし悪い仕事じゃないと思うんだがなー。
いや、まあモテないし儲からないし汚れが酷い糞仕事なんだけどさ。
あーあ、新人入ってくれないかなー。】


サーベル猪の死体をチェックしている貧相な中年男の心の声が聞こえてくる。
ラノベと一緒で、狩りクエストがあるようだ。
猛獣をここに持ってくれば買い取ってくれるのかな

カネ。
当然、今の俺はこの世界のカネを持っていない。
周囲に露店らしきものが並んでいる風景を見るに、この街は《不特定多数によって運営されているそこそこ匿名性のある都市》だ。
当然、ここまでの規模の街で通貨っぽいものが使われていない筈はない。
いや、神を名乗っていた≪√47WS≫野郎ですら、通貨を使用する習慣を持っている様な口ぶりだった。
きっと文明が一定レベルに発達すると、必ずその種は通貨を用いる様になるのだろう。
つまり、この世界のカネが無ければ俺は詰むし、カネさえあれば何とでもなる。
一見危険な状況だが、俺の心を読む能力さえあれば恐らくは対応出来る筈だ。


等と考えながら、俺は解体屋の作業を見物し続けていた。
彼の作業は地球にもありそうな肉体労働だったが、その心中で彼が呟いている内容が実に有用だったからだ。


【くそっ。
どいつもコイツも俺を見下しやがって。
こんな仕事でも一応国家資格なんだぞ!
俺は解体資格の一級持ってんだぞ!
結構難しいんだぞ!
自分で言うのもなんだが、この前線都市の中じゃあ一番の腕利きだと自負している。

あー、くそ。
でもどうせ誰もそんなこと興味ないんだろうなあ…
解体屋の良し悪しなんて、ぶっちゃけ下らないことだもんな…

でも、解体屋だって悪いことばっかりじゃない。
ある程度仕事を覚えれば最末端の商人よりかは実入りがいいし!
初任給でも15万ウェンは固い。

あー、でも今はフリーランスの冒険者の方が旨味はあるか…
今時の若い奴らは徒弟制っぽく厳しく仕事を教えられるのとか滅茶苦茶嫌がるしな…
先週辞めた新人も
「こんな底辺仕事続けるくらいなら日給3000ウェンで冒険者やる方がマシっス!」
とか言ってたしなあ…
そんなに底辺かなあ…
まあ確かに全然モテないけどさ…
いや、子供の頃からモテなかったから、解体屋の所為でモテてないのか検証のし様がないけど…

あー、それにしても一人でこの分量は無理だわ。
俺が新人の頃は職人一人にサポート二人付いてたぞ?
何で俺が支所に配属された瞬間ワンオペになるんだよ…
長牙イノシシを午後だけで2体捌くとか無理ゲー過ぎだろ
これで手取り30万ウェン行かないとか、奴隷労働じゃねーか!

しかもこんなに頑張ってるのに称賛されるのは冒険者だけ!
俺には一言の感謝もありゃしねー。

誰か、手伝ってくれよ!
制度上カネは払えないが、パーツなら現物支給で渡すことが出来る。

ちょーっとギルドに伝言してくれるだけで全然違うんだが。
ちょっと反対側を支えてくれるだけですっごく楽になるんだが…

誰か、誰か、本部。
増員して下さい。
バイトでいいんで誰か派遣して下さい。
5歳の子供でも出来る作業なんで。

あーー糞糞糞!
俺だってこんな底辺仕事を好きでやってるわけじゃねーよ!

あーーーー、誰か手伝ってくれないかなああ!!!】



素晴らしい。
正直、俺は運がいいのかも知れない。
街に入って早々、相場の話を聞けた。
この世界の通貨単位はウェン。
初任給15万ウェンでワンオペ中堅労働者が30万ウェン弱。
1円=1ウェンで換算しても的外れではない。
日本人の俺にとっては非常に分かり易い。
ちゃんと「冒険者」というポジションも存在するようだ。
薄給っぽいが解体屋よりは楽なのだろう。
ウーバーイーツみたいなものなのだろうか?

そして。
俺が飽きもせず解体屋を見ていると、ようやく向こうも気づいてくれた。
よしよし、これでスキルを試せる。



【あれ? あそこで見ている変な服装の小僧。
アイツ、さっきもこっちを見てなかったか?
何だぁ? ずっと作業を見てたのか?
こんなん見て何が面白…

え、ちょっと待って!?
ひょっとしてアイツ求職中?
それなら!!

…いやいやいやまさかね。
今時の若モンが解体屋なんかになりたがる訳がないよね。
冒険者ギルドなんて登録するだけで、2万ウェン貰えちゃうもんね。
最近の若者は実入りが少なくても、上下関係が無くて働きたいときだけ働けるギルド式の職場に行きたがるよね…
あーあ、解体業界でも誰かギルド作ってくんないかなぁ…
もし解体ギルド作ってくれたら、俺もこんな糞職場一秒でも早く辞めてやんのに!

いや、その割にはずっとこっち見てるなぁ…
ひょっとして冒険者仕事が肌に合わなかったのかなあ…
見た所、余所者っぽい服装だが…
あれはどこの街の衣装だ?
帝国の反対側なんだろうか?
わからん。

まあ帝国と言っても広大だからな。
解体屋が花形職業の地域も…  
いや、流石にそれはないだろうけど(苦笑)。

ああ、せめてちょっとだけでも手伝ってくれんかな。
この最後の一体をバラす間、反対側を踏みつけていてくれるだけで助かるんだ!
オマエがそうしてくれるだけで俺は定時に上がれるんだ。
俺の権限じゃ賃金は払えないが、破損毛皮なら廃棄名目で現物支給出来るんだけどなあ?
ギルドショップに持って行くだけで最低でも8000ウェンは貰えるぞ?
こんないい仕事はないぞ。

あああ、頼みたい! 頼みたい!
目の前の若者に声を掛けたい! 
でも、俺コミュ障だから-ー!
自分から若者に声掛けるなんてムーリー!】




いやあ、驚いた。
心を読むって最高だな。
この情報の非対称性よ…
勿論俺もコミュ障だが…
これだけ相手の腹が読めてれば…
行けるわ…


『いやあ、凄い量ですねぇ』


俺は長牙猪を眺めながら解体屋の方に声を掛けた。
言っておくが俺も相当なコミュ障だぞ?
でも、この優位性を活かさなければ損した気になるじゃない?


「ああ! 何だ兄ちゃん!」
【おお! 若者から声を掛けてくれた! 嬉しい! 凄く嬉しい!! お菓子食べてく?】


解体屋は恐ろしい顔つきでこちらに向かって叫ぶ。
ただ、根が気弱な男なのか不安気な表情は隠せていない。
これだけ本音と建前が乖離していると反応に困るな。


『お仕事の邪魔をしてすみません。 手が足りてないみたいなので… 
反対側支えときましょうか?』


とりあえず、建前部分を刺激しないように話を進める。



「馬鹿っ! いやっ! い、いきなり素人がっ!」
【え? マジで手伝ってくれんの? めっちゃ嬉しい♪  
感謝で涙出て来た、感謝感謝超感謝♪】



『迷惑じゃなかったら反対側抑えときましょうか?』

この人、地顔が柔和で安心感がある。
見た目は職人っぽいけど、多分ソフトな人柄なんだろう。


「バーロー!! おめえアレだ! あ、あ、あ、アレだよ!」
【あ、じゃあ肋骨の隙間に足入れて踏んづけてくれてたら助かります。】


ああ、この人って地の部分が腰低いタイプかあ…
俺の親父と真逆だなあ。
はいはい。
流石の俺でも肋骨踏むくらいは出来るよ。
俺は『スンマセン』を連呼しながら、解体屋が作業しやすいように長牙猪を支える。
俺が支えた途端に職人は本音も建前も消え、作業に没頭し始めた。
俺は単に骨を踏みつけていただけだが、3分も経たない間に長牙猪は明らかに手運び可能な大きさにパーツ分けされてしまった。
なんか凄く手際よくないか?
早送り見てるみたいだが… 
流石は異世界だな。


『…いやあ、職人芸ですねえ』

思わず、口に出てしまう。

「え!? べ、別にこんなん普通だし…」
【え!? べ、別にこんなん普通…  いや、その言葉を誰かに掛けて欲しかった…】


ああ、多分。
この人冷遇されてるんだろうなあ。
《働いたら負け》って父さんもよく言ってたわ。


『邪魔をしてしまって申し訳ないです。』

「…べ、別に邪魔とかじゃないし。  …た、助かったよ。」
【邪魔どころか… 心底助かった。 今日も夜帰りになるトコだった…】


おっさんは赤面してモジモジしている。


『じゃあ、俺はここで。』


「ま、待ってくれ!」
【ま、待ってくれ!】


『はい?』


「手伝ってくれた礼をまだしていない。 
職場の規則でウェンは払えないんだが、そこの中サイズ毛皮を持って行ってくれ。 
傷アリだから軍には納入できないが街でなら普通に売れる。
ギルド査定価格なら最低でも7000ウェンにはなるし。 
窓口の奴がボッて来たら裏通りに持って行けばいい。』
【この若者は顔に似合わず気が利くし、職場に来てくれたら助かるんだが… まあ無理だろうな。】


『ありがとうございます。 ここでの生活が軌道に乗ったら、また声を掛けさせて下さい。』

俺は余計な事を言わないように注意しながら、正方形に切り分けられた毛皮を持ってギルドの建物に向かった。


登録するだけで2万、とか言ってたな。
で、ギルドでこの毛皮を買い取ってくれたら最低でも7000ウェン…
この世界の消費者物価は解らないが、1ウェン=1円の仮説が正しければ
27000ウェンあれば一泊は出来る筈だ。

よし。
このスキルがあればマジで何とでもなる。
俺、こういう系統のラノベが一番好きなんだよね。
楽して大儲けしてハーレムウハウハ系統っての?
最高じゃんw
汗水垂らして働くなんてアホみたいだよなww




じゃあ、早速冒険者ギルドに行きますか。
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