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番外編
イバキ市奪還作戦 5
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2体の皇帝鴉から放射されたブレスが炎の津波となって押し寄せてくる。飲み込まれれば恐らくタダでは済まない。
「粘土壁」
直ぐさま唱えたラントの魔法により、アサノたちと炎の津波との間に防護壁が立ち塞がった。しかし炎の勢いに一瞬で水分が乾燥すると、砂と化し脆く崩れさっていく。
ところが僅かに稼いだその時間で、アサノたちは既に散開に成功していた。
アサノは皇帝鴉の横手に回り込みながら、3体の幻影を時間差で配置する。同時に設置出来るのは、3体が上限となっていた。
2体の皇帝鴉は、アサノの幻影を追うようにブレスを吹いた。幻影が1体ずつ、順番に炎の津波に飲み込まれていく。そしてその軌道は、待機していた5人の冒険者のそばを掠めるように誘導されていた。
「今です!」
シーナは合図とともに「蜃気楼の城」の魔法を解いた。ピラミッドのような、四角錐の光の防壁がパンと弾ける。
防護系魔法の「蜃気楼の城」とは、魔物の認識を阻害する効果がある。つまりは魔物から身を隠すための魔法であった。
冒険者たちは「おお!」と雄叫びをあげると、一斉に攻撃を開始する。火炎弾や氷針、それから弓矢などが、背中を見せる皇帝鴉に集中する。
突然の奇襲に、皇帝鴉が「ガアーー!」と狼狽えたように鳴き声をあげた。2体揃って、上空へと退避していく。
シーナはその隙に冒険者を引き連れて場所を移動すると、再び「蜃気楼の城」を唱えて身を潜めた。
2体の皇帝鴉は上空で旋回すると、再び地上に視線を落とす。その視界に、一ヶ所に集まる4人の人間の姿を確認すると、再び急降下を開始した。
「電磁網」
そのときサンドラが、魔法杖を振り上げ魔法を唱える。すると空中に、2枚の魔法陣が平行に浮かび上がった。
その2枚の魔法陣の間を皇帝鴉が通過した瞬間、バチバチと弾ける電気の網が、2体の皇帝鴉を空中でからめとる。そこに追い討ちをかけるように、冒険者たちが一斉に攻撃を浴びせかけた。
「ゴアーー!」
2体の皇帝鴉が、捕らえられたまま苦痛に呻く。そうして電磁網の終了とともに、堪えきれずに地面に墜落していった。
落下と同時に飛び出していたアサノとサカシタは、手前に堕ちた皇帝鴉に狙いを定め一気に詰め寄る。
先にたどり着いたアサノは、仰向け状態の皇帝鴉の腹部に、右手の片手剣を突き刺した。直後に電流が駆け巡り、皇帝鴉の身体が痙攣を起こす。
続いて到着したサカシタがハルバードを上段に振り上げると、皇帝鴉の首元目掛けて振り下ろした。
首を斬り飛ばされた皇帝鴉は瞬時に影と化し、何かに吸い込まれるように消え去っていく。
そして目前を覆っていた影が消滅したとき、アサノたちの視界一杯に炎の津波が迫っていた。
「うおっっ!?」
残ったもう一体の皇帝鴉が、腹這いのまま、頭だけを持ち上げてブレスを吹いたのだ。
目前に迫る炎のブレスに、アサノとサカシタの身体は硬直したまま動かない。
「聖なる天幕」
そのときシーナの声と共に、アサノたちの足下に魔法陣がパッと広がる。瞬時に半球状の光のドームがふたりの姿を包み込み、炎の津波からその身を守り切った。
「雷神の怒り」
続いて響いたサンドラの声に合わせて、残りの1体を雷撃が撃ち抜く。その一撃で、皇帝鴉は影と化して消滅した。
アサノは腰に手を当て天を仰ぐと、安心したように「ふー」と大きく息を吐いた。
「最後、ヒヤッとしたな」
サカシタが「ハハハ」と苦笑いする。
「少し肝を冷やしましたよ」
ラントはアサノとサカシタの無事を確認すると「ホッ」とした表情を見せた。
「お疲れ、さま」
ラントの後ろに控えていたサンドラが、細い声でボソッと呟く。
「皆さん、ご無事でなによりです!」
別行動をとっていたシーナが、冒険者を引き連れて手を振りながら戻ってきた。
「やったな、オイ!」
「やっぱり流石です!」
冒険者たちも興奮冷めやらずといった感じで、口々に褒め称える。
「アサノ、本隊が到着しました」
そのときセーレーが、アサノの耳元で囁くように状況を報告した。
「アンタらのおかげで助かったよ」
アサノは改めて冒険者たちをゆっくりと見回す。
「本隊も着いたようだし、後はヤツらに任せてゆっくり休もうか」
そうしてアサノは、優しく微笑んだ。
「粘土壁」
直ぐさま唱えたラントの魔法により、アサノたちと炎の津波との間に防護壁が立ち塞がった。しかし炎の勢いに一瞬で水分が乾燥すると、砂と化し脆く崩れさっていく。
ところが僅かに稼いだその時間で、アサノたちは既に散開に成功していた。
アサノは皇帝鴉の横手に回り込みながら、3体の幻影を時間差で配置する。同時に設置出来るのは、3体が上限となっていた。
2体の皇帝鴉は、アサノの幻影を追うようにブレスを吹いた。幻影が1体ずつ、順番に炎の津波に飲み込まれていく。そしてその軌道は、待機していた5人の冒険者のそばを掠めるように誘導されていた。
「今です!」
シーナは合図とともに「蜃気楼の城」の魔法を解いた。ピラミッドのような、四角錐の光の防壁がパンと弾ける。
防護系魔法の「蜃気楼の城」とは、魔物の認識を阻害する効果がある。つまりは魔物から身を隠すための魔法であった。
冒険者たちは「おお!」と雄叫びをあげると、一斉に攻撃を開始する。火炎弾や氷針、それから弓矢などが、背中を見せる皇帝鴉に集中する。
突然の奇襲に、皇帝鴉が「ガアーー!」と狼狽えたように鳴き声をあげた。2体揃って、上空へと退避していく。
シーナはその隙に冒険者を引き連れて場所を移動すると、再び「蜃気楼の城」を唱えて身を潜めた。
2体の皇帝鴉は上空で旋回すると、再び地上に視線を落とす。その視界に、一ヶ所に集まる4人の人間の姿を確認すると、再び急降下を開始した。
「電磁網」
そのときサンドラが、魔法杖を振り上げ魔法を唱える。すると空中に、2枚の魔法陣が平行に浮かび上がった。
その2枚の魔法陣の間を皇帝鴉が通過した瞬間、バチバチと弾ける電気の網が、2体の皇帝鴉を空中でからめとる。そこに追い討ちをかけるように、冒険者たちが一斉に攻撃を浴びせかけた。
「ゴアーー!」
2体の皇帝鴉が、捕らえられたまま苦痛に呻く。そうして電磁網の終了とともに、堪えきれずに地面に墜落していった。
落下と同時に飛び出していたアサノとサカシタは、手前に堕ちた皇帝鴉に狙いを定め一気に詰め寄る。
先にたどり着いたアサノは、仰向け状態の皇帝鴉の腹部に、右手の片手剣を突き刺した。直後に電流が駆け巡り、皇帝鴉の身体が痙攣を起こす。
続いて到着したサカシタがハルバードを上段に振り上げると、皇帝鴉の首元目掛けて振り下ろした。
首を斬り飛ばされた皇帝鴉は瞬時に影と化し、何かに吸い込まれるように消え去っていく。
そして目前を覆っていた影が消滅したとき、アサノたちの視界一杯に炎の津波が迫っていた。
「うおっっ!?」
残ったもう一体の皇帝鴉が、腹這いのまま、頭だけを持ち上げてブレスを吹いたのだ。
目前に迫る炎のブレスに、アサノとサカシタの身体は硬直したまま動かない。
「聖なる天幕」
そのときシーナの声と共に、アサノたちの足下に魔法陣がパッと広がる。瞬時に半球状の光のドームがふたりの姿を包み込み、炎の津波からその身を守り切った。
「雷神の怒り」
続いて響いたサンドラの声に合わせて、残りの1体を雷撃が撃ち抜く。その一撃で、皇帝鴉は影と化して消滅した。
アサノは腰に手を当て天を仰ぐと、安心したように「ふー」と大きく息を吐いた。
「最後、ヒヤッとしたな」
サカシタが「ハハハ」と苦笑いする。
「少し肝を冷やしましたよ」
ラントはアサノとサカシタの無事を確認すると「ホッ」とした表情を見せた。
「お疲れ、さま」
ラントの後ろに控えていたサンドラが、細い声でボソッと呟く。
「皆さん、ご無事でなによりです!」
別行動をとっていたシーナが、冒険者を引き連れて手を振りながら戻ってきた。
「やったな、オイ!」
「やっぱり流石です!」
冒険者たちも興奮冷めやらずといった感じで、口々に褒め称える。
「アサノ、本隊が到着しました」
そのときセーレーが、アサノの耳元で囁くように状況を報告した。
「アンタらのおかげで助かったよ」
アサノは改めて冒険者たちをゆっくりと見回す。
「本隊も着いたようだし、後はヤツらに任せてゆっくり休もうか」
そうしてアサノは、優しく微笑んだ。
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