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第1章

チュートリアル 4

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「セーレー。バーストバレットのこと教えて」

「了解しました」

アイのピアスがキラリと光る。

「任意の対象に触れながら『バーストバレット』と音声入力を行うと、対象のデータを読取り特殊弾を作成します」

アイは「ふんふん」と聞いていたが、セーレーからそれ以上の説明はなかった。

「…終わり?」

アイは念のため確認した。

「以上です」

「短い!」

突然、アイが吠えた。

「なんか私の、短い!」

(長けりゃ良いってモノでもないでしょう!)

おキクのツッコミは声にはならなかった。

「まあまあ、とりあえず試してみようよ」

サカシタが苦笑いを見せながら、「どーどー」と両手でアイを落ち着かせる。

アイは面白くなさそうに口を尖らせながら、それでも素直に従った。それからその場にしゃがみ込んで左手を地面に添える。

「バーストバレット!」

すると左手の下から魔法陣が、広がるように描き出された。少しすると、読取りが完了したことを告げるサインが、アイの頭に伝わってくる。

アイはゆっくりと地面から左手を離した。

すると魔法陣の上に、ピンポン玉程度の大きさの光輝く正四面体が「フワリ」と浮かび上がる。そしてそのまま、ゆっくりと自転を開始した。

「どうしたらいいの?」

「デルタ四面体を掴み取ってください。すると直ぐに特殊弾に変化しますので、短銃のグリップエンドに装填してください」

アイは言われたとおりに正四面体を左手で掴む。すると手の中で、1枚のSDカードに変化した。

「これが特殊弾?」

「はい。読み取ったデータが蓄積されています」

それからアイはグリップエンドを確認する。そこには確かにSDカードの差込口があった。アイがカードを差し込むと同時に、短銃が光を放ち始める。

短銃が、バーストモードに突入した。

「これ…スゴい!」

アイは輝く短銃を見つめながら、思わず感嘆の息を漏らした。

「分かる…凄い力が伝わってくる」

アイは両手で短銃を握ると、意を決して引金トリガーを引いた。

銃口から直径70cm程のエネルギー光線が放射され、同時に凄まじい反動がアイを襲った。

アイは踏ん張りきれずに後方に吹き飛ばされ、そのままゴロゴロ後転を繰り返す。そしてそのまま勢いよく木の幹に激突した。

放ったエネルギー光線は、サカシタのすぐ横の地面を10m程抉り取り、軌道を変えて空の彼方に消え去っていった。

「イタタ…」

アイはヨロヨロと立ち上がると、頭を押さえながら周囲の様子を伺った。

「ごめん、私、吹き飛ばされて見てなくて。どんな感じだった?」

アイは照れくさそうに「アハハ」と笑いながら、おキクとサカシタに声をかけた。

「俺……今絶対死んだと思った…」

サカシタが放心状態で呟いた。

おキクは爆風で乱れた髪を直そうともせずに、ただ呆然と立ち尽くしていた。

   ~~~

「触れないものはバーストバレットに出来ないの?例えば、空気とか」

おキクはセーレーに疑問を投げかけた。

「触れずとも手で感じられるものであれば、作成可能です。例として、風や熱などがそうです」

「なるほど」

おキクは納得したように頷いた。

「ナルホド」

アイも頷いたが、おキクが思うに、高確率でポーズである。

「とにかくアイくんは暫くバーストバレット禁止!分かったかい?」

サカシタが腰に手を当てながら、かなり強い口調で言い聞かせた。

「…はーい」

アイは渋々と承諾する。

「僕はこの後アサノと一緒に用事に行くから、これで失礼するよ。君たちはこのまま、自主練を続けるといい」

「ありがとうございました」

アイとおキクは揃って頭を下げた。

「ああそれと、食事は市長官邸のお店で用意して貰えるよ。夜はカタン出張所のベッドを、自由に使うといい」

「お二人とも、今日は戻らないんですか?」

おキクが少し心配そうな顔になる。

「僕らは今、違う街を拠点にしてるんだ」

考えてみれば、いつまでも初めの街を拠点にしている訳がない。アイとおキクは納得した。

「それじゃ、頑張るんだよ」

「はい!」

二人の少女は声を揃えて、力強い笑顔を見せた。
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