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第1章

チュートリアル 3

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「次、私!」

アイは右の手のひらを空に向けて叫んだ。

「ライトニング!」

掛け声の直後に、短銃が瞬時に右手に装着される。それから自分の手の中にある短銃を見つめると、アイは「ヘヘッ」と嬉しそうに笑った。

「今の何!?」
「銃士はハンドガンの筈だろ?」

おキクとサカシタが驚いたように声を張り上げた。

「変更したの」

アイが胸を張って、得意げに言った。

「出来るんだ?…知らなかった」

「俺も知らないこと、何で知ってるんだ?」

「聞いたら教えてくれたよ」

(聞かなきゃ教えてくれないのか)

おキクとサカシタは開いた口が塞がらなかった。

「ふたりも変えてみたら?」

その様子を見て、アイは無邪気に提案した。

「え?…そうねー」

おキクは口元に手を当て思案した。確かにグレートソードは言い難いと思っていた。

「俺はこれで慣れたから、今さら変更出来ない」

サカシタは少し残念そうに呟いた。

「私、変更する!」

おキクはグッと拳を握りしめた。

「ミーコ」

「了解しました。お名前をどうぞ」

白い仔猫が、足元からおキクを見上げた。

バステト猫の女神!」

「了解しました。登録します」

「不思議な名前!何か意味とかあるの?」

アイが瞳をキラキラさせながら、おキクの方に詰め寄った。

「一応、猫の姿をした女神の名前」

「カワイイ!今のおキクにピッタリだね」

アイがクネクネと身悶えた。

(残ってる資料とアイの空想は、かなりかけ離れているでしょうね…)

知らぬが仏とはこういうことを言うのだろうか。おキクはコッソリ苦笑いした。

   ~~~

「次はスキルを試そう」

サカシタの提案に、アイとおキクは揃って頷く。

「あ、おキクさんは、まずは武器無しで試す方がいいと思う」

「私も…そう思います」

おキクも自分で同じことを考えていた。

「ただスキルに関してはセーレーに詳細の説明を受けるしかない。俺も全然知らないんだ」

サカシタが申し訳なさそうに微笑んだ。

おキクは「ううん」と首を横に振ると、足元の白い仔猫に視線を落とす。

「ミーコ、お願い」

「了解しました」

ミーコはその場にちょこんと座ると、おキクをフイッと見上げた。

「『カタパルト』の音声入力により、スキルモード開始。『セット』の音声入力により力場設置。『モードエンド』の音声入力によりスキルモード終了。現在のレベルでは、自分の足元にひとつだけ設置が可能です」

「と言うことは、そのうち増えるの?」

「熟練度の上昇により、任意の場所に最大三ヶ所まで、同時に設置が可能になります」

「へぇー」

おキクはセーレーの説明を聞いて、格好良く飛び回る自分の姿を夢想した。さらにヤル気が、沸々と湧いてくる。

「設置した後はどうするの?」

「設置されたカタパルトの上で任意の方向へ普通に移動してください。おキクの重心を感知し、進行方向に射出します。射出後は自動で消滅します」

「なるほど、分かった」

やってみなくては分からないけど、それほど難しいモノでも無さそうだ。

「カタパルト!セット!」

おキクの掛け声とともに、彼女の足下に魔法陣が描き出される。それからおキクは前に一歩踏み出そうと身体を動かした。

「きゃっっ!?」

次の瞬間、凄まじい力でおキクの体が射出された。

おキクの進行方向に立っていたサカシタに、身構える暇もなく衝突する。そのまま彼の身体を巻き込んで、直線上の大木に激突した。

サカシタは目を回して、意識が完全にトンでいる。

おキクはそんなサカシタのおかげで、大した怪我もなく何とか無事であった。

   ~~~

「両手剣は、かなりのジャジャ馬だな」

サカシタは念のために自分にヒールをかけながら、おキクに素直な感想を述べた。

おキクは申し訳なさそうに、シュンと身体を縮こませる。

「だけどコレを使いこなせたら、一騎当千の大活躍が出来る可能性が充分にある。これは物凄いスキルだぞっ!」

サカシタは顔を真っ赤に染めて大興奮した。

「私もそう思う。おキクは絶対強くなる!」

アイもおキクを称賛した。それから自分の短銃に目を向ける。

「私も負けてられない!」

短銃を握る手に、自然と力がこもる。

「セーレー。バーストバレットのこと教えて!」
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