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23 ロックオン
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ラッパのファンファーレに伴って、周りの喧騒が静まり始めた。同時に中庭にいた魔族たちが、一定方向へと姿勢を正す。
「漸くお出ましのようだの」
同じ方向を見上げながら、ホシワリが口の端でニヤリと笑った。宝来尊も釣られるように、その方向へと視線を向ける。すると城の三階あたりに位置する広いバルコニーに、ひとりの男が立っていた。
輝くような金色の髪は背中の中程まで伸び、側頭部から生える二本の漆黒のツノは途中で曲がって天を目指す。前髪の隙間から覗く真紅の双眸は鋭い眼光を放ち、全身を闇と見紛う暗黒のマントで覆い隠していた。
「あれが向こうの魔王か…」
宝来尊がポツリと呟く。しかし次の瞬間、真紅の瞳から放たれた激しい憎悪の眼光が、宝来尊の全身を貫いた。
気が付くと、寄り添うように宝来尊の右袖をちょこんと摘む、シラネの姿があった。
(あー今、俺、ロックオンされた?)
「どうかなさいましたか、ミコトさま?」
困ったような苦笑いを浮かべる宝来尊に気付いたシラネが、不思議そうな表情を浮かべる。
「あーいや、何でもない」
どのみちシラネは渡せないのだから、向こうの魔王と友好的な関係になるのは無理そうだ。宝来尊は仕方がないと腹を決めた。
~~~
「何とかなりそうか?」
ゾロゾロと現れた図体の大きな相手を確認して、宝来尊がホシワリにコソッと相談する。
「まあ嬢チャン並みが半数といったところだ。何も問題ないわい」
その返答を聞いて、シラネが凍てつくような視線をホシワリに向けた。
「ふざけないでください。わたくしより強い相手など、この会場全体でも五人と居ません」
「ガハハ、これは失敬! 嬢チャンにも劣る相手が何人集まったところで、尚更負ける気はせんわな」
「…ミコトさま」
「ん?」
その時シラネが、宝来尊の右腕をクイッと引っ張った。
「このクソジジィを、今すぐ八つ裂きにしてもよろしいでしょうか?」
「ま…まあまあシラネ、その時が来たら俺も手伝うから、今は堪えて」
深淵のような昏い瞳で天使の微笑みを見せるシラネを、宝来尊が頭を撫でながら必死になだめる。
その直後……
何故か相手の最後尾の選手が、三メートルを超える緑肌の巨人に入れ替えられた。
「漸くお出ましのようだの」
同じ方向を見上げながら、ホシワリが口の端でニヤリと笑った。宝来尊も釣られるように、その方向へと視線を向ける。すると城の三階あたりに位置する広いバルコニーに、ひとりの男が立っていた。
輝くような金色の髪は背中の中程まで伸び、側頭部から生える二本の漆黒のツノは途中で曲がって天を目指す。前髪の隙間から覗く真紅の双眸は鋭い眼光を放ち、全身を闇と見紛う暗黒のマントで覆い隠していた。
「あれが向こうの魔王か…」
宝来尊がポツリと呟く。しかし次の瞬間、真紅の瞳から放たれた激しい憎悪の眼光が、宝来尊の全身を貫いた。
気が付くと、寄り添うように宝来尊の右袖をちょこんと摘む、シラネの姿があった。
(あー今、俺、ロックオンされた?)
「どうかなさいましたか、ミコトさま?」
困ったような苦笑いを浮かべる宝来尊に気付いたシラネが、不思議そうな表情を浮かべる。
「あーいや、何でもない」
どのみちシラネは渡せないのだから、向こうの魔王と友好的な関係になるのは無理そうだ。宝来尊は仕方がないと腹を決めた。
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「何とかなりそうか?」
ゾロゾロと現れた図体の大きな相手を確認して、宝来尊がホシワリにコソッと相談する。
「まあ嬢チャン並みが半数といったところだ。何も問題ないわい」
その返答を聞いて、シラネが凍てつくような視線をホシワリに向けた。
「ふざけないでください。わたくしより強い相手など、この会場全体でも五人と居ません」
「ガハハ、これは失敬! 嬢チャンにも劣る相手が何人集まったところで、尚更負ける気はせんわな」
「…ミコトさま」
「ん?」
その時シラネが、宝来尊の右腕をクイッと引っ張った。
「このクソジジィを、今すぐ八つ裂きにしてもよろしいでしょうか?」
「ま…まあまあシラネ、その時が来たら俺も手伝うから、今は堪えて」
深淵のような昏い瞳で天使の微笑みを見せるシラネを、宝来尊が頭を撫でながら必死になだめる。
その直後……
何故か相手の最後尾の選手が、三メートルを超える緑肌の巨人に入れ替えられた。
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