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蒼い約束

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 よいしょ、と彬を脇へと押し遣って手の甲を振ってみせる。涙が零れそうになった彬は、膝を抱え込むように座って顔を埋めた。

「大丈夫なのか?」

「まあ、大した事はないんだけどね」

 血の滴る手を舐める隆哉に、彬が膝に顔を乗せて苦笑した。

「俺と、心中でもする気だったのかよ?」

「んー…。――それもいいかなって、思ったのは確かなんだけどねぇ」

 膝に肘をついて頬を支えた隆哉は、クイッと顎をしゃくって道路を示した。そこには今しがたぶつかりかけた車の運転手と秀行が、何やら話し込んでいた。

「彼を巻き込むのも、ややこしそうだったから」

 隆哉の呟きに、「同感」と笑う。若い運転手から何かを受け取り車を見送った秀行が、こちらに顔を向けて微笑んだ。近付いて来ると、運転手から預かった名刺を彬に差し出す。

「気の毒に……。免許取りたてだよ、あのおにーさん。何かあったら連絡くれってさ」

「気の毒なのは俺じゃなく、運転手なのかよ。俺なんか、轢かれかけたのに」

「当然。自殺願望の奴を轢いた運転手程、気の毒な人はいないからね」

 秀行の厭味混じりの台詞に、彬が肩を竦める。
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