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蒼い約束
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キョロキョロと辺りを見回した彬は、暫し呆然としてからポリポリと頬を掻いた。
「いやぁ…」
――ここ、どこ?
だいぶ前に聞いた、俊介の墓の場所はこの辺だった筈だ。先祖代々の墓だからどーのこーのと、確かおばさんが言っていた。
「人に訊くにしても『墓場どこ?』って訊いて判るモンなのかなぁ? ケータイも教室に忘れてきたし、どーすりゃいいんだ」
大通りを歩いていた彬は、溜め息をついてガードレールに腰掛けた。大通りの名を看板で確認して「やっぱこの辺だよなぁ」と一人呟く。
「どーすっかなぁ。放課後までには、戻るつもりだったのに」
このままでは間に合いそうにない。
透き通るような蒼い空に、吸い込まれそうな感覚を覚える。目を閉じて小さく笑みを零すと、首を傾げた。
「いや。心配してるなんて、かわいいモンじゃねぇか。きっと怒り狂ってるんだろうなぁ、特にヒデは。あいつ、けっこう心配性だし。んで、相沢は」
――あいつは、どうしてるだろう。
やはり依憑を叶える為に、気を揉んでいるのだろうか。
「だったらあいつのアセッてる表情、ちょっと見てみてぇなぁ」
「いやぁ…」
――ここ、どこ?
だいぶ前に聞いた、俊介の墓の場所はこの辺だった筈だ。先祖代々の墓だからどーのこーのと、確かおばさんが言っていた。
「人に訊くにしても『墓場どこ?』って訊いて判るモンなのかなぁ? ケータイも教室に忘れてきたし、どーすりゃいいんだ」
大通りを歩いていた彬は、溜め息をついてガードレールに腰掛けた。大通りの名を看板で確認して「やっぱこの辺だよなぁ」と一人呟く。
「どーすっかなぁ。放課後までには、戻るつもりだったのに」
このままでは間に合いそうにない。
透き通るような蒼い空に、吸い込まれそうな感覚を覚える。目を閉じて小さく笑みを零すと、首を傾げた。
「いや。心配してるなんて、かわいいモンじゃねぇか。きっと怒り狂ってるんだろうなぁ、特にヒデは。あいつ、けっこう心配性だし。んで、相沢は」
――あいつは、どうしてるだろう。
やはり依憑を叶える為に、気を揉んでいるのだろうか。
「だったらあいつのアセッてる表情、ちょっと見てみてぇなぁ」
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2019.2.13 オリジナルBL小説『日常』もサイトで更新しました。ほのぼのBLです。こちらの方もよろしくお願いします。https://rhapsodos-atar.jimdo.com/
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