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蒼い約束
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「俺はあんたの『親友』でもなければ『恋人』でもないからね。あんたの表情や態度から気持ちを汲み取るなんて、出来やしないよ」
だから俺は、聴いた『依憑』を叶えるまで……と頑なに、そう思う。
「そうか」
クスリと笑った俊介は、呆れた瞳を隆哉に向けた。
「だがなぁ、判ってんだろ? ここにいても彬は来ないぞ。いないと判ってんのにどーして来たんだ。死ぬ気のあいつが俺に会いに来る訳がない。死んでから幾らでも会えるんだからな。だろう?」
俊介の言う通り、疑惑が確信へと変わった時点で、隆哉には彬がここにはいないと判っていたのかもしれない。だが、それでも心の隅では少しだけ、隆哉は望みを持っていたのだ。
「俺とお前。あいつがどっちを選んだか、確かめたかったの?」
揶揄うように細められた目を無視して、無表情に口を開く。
「こんな時、高橋はどこに行くと思う? あんたなら判るでしょ」
その問いに唸りながら首を傾げた俊介は、暫く考えてから「ああ、きっとあそこだ」と呟いた。
「どこ?」
「――俺の墓」
「は?」
だから俺は、聴いた『依憑』を叶えるまで……と頑なに、そう思う。
「そうか」
クスリと笑った俊介は、呆れた瞳を隆哉に向けた。
「だがなぁ、判ってんだろ? ここにいても彬は来ないぞ。いないと判ってんのにどーして来たんだ。死ぬ気のあいつが俺に会いに来る訳がない。死んでから幾らでも会えるんだからな。だろう?」
俊介の言う通り、疑惑が確信へと変わった時点で、隆哉には彬がここにはいないと判っていたのかもしれない。だが、それでも心の隅では少しだけ、隆哉は望みを持っていたのだ。
「俺とお前。あいつがどっちを選んだか、確かめたかったの?」
揶揄うように細められた目を無視して、無表情に口を開く。
「こんな時、高橋はどこに行くと思う? あんたなら判るでしょ」
その問いに唸りながら首を傾げた俊介は、暫く考えてから「ああ、きっとあそこだ」と呟いた。
「どこ?」
「――俺の墓」
「は?」
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