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蒼い約束

序3

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 低く唸った彬が、俊介の返事を待たずに腕で唇を拭おうとする。

 その腕を掴んで止めると、彬はギッと俊介を睨んできた。

「相手は誰だよ? ――いや、やっぱ聞きたくねぇや」

 そっぽを向いた彬に、思わず肩を震わす。その気配にチロリと視線だけを向けた彬は、次の瞬間、悔しげに言葉を吐き出した。

「おっま! 騙したなぁー。ひでェーッ!」

 叫びだした彬に、クスクスとこらえきれずに笑いを洩らす。ブゥーと頬を膨らませたままの彬は、掴まれていない方の手で憮然と俊介の髪をかき混ぜてきた。

 それを笑いながらかわして、彬へと両手を伸ばす。


 ――只、触れたくて。


 両手で彬を抱き締め、その肩に顎を乗せる。固まっているのか、彬は身動き一つしなかった。

「……なんで、嫌がらない?」

 目を閉じて、そっと呟く。

 ビクリと反応した肩が、次の瞬間、笑いを含んで揺らされた。

「だってお前は、親友じゃん。これぐらいで嫌がるかよ」

 体を起こして彬の顔を見ると、無邪気に笑っていた。

「そっか。親友だもんな」
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