君との空へ【BL要素あり・短編おまけ完結】

Motoki

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碧の癒し

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「……仏間の、押入れだけど? ――これ! ちゃんと全部食べてから席を立ちなさい!」

「ご免! 母さん。今すっごく大事な探し物してるんだ! それ置いといて。必ず後で食べるからッ」

 勢いよく仏間の押入れを開けた秀行は、「頼むよ、ばぁちゃん」と仏頼みをしながらアルバムを捲っていった。何枚かは、自分も一緒に写っている写真がある。だがどれにも、それらしい女の子などいはしなかった。

「えー、どーしてだよぉ……」

 泣きたい気分で、もう一度最初から捲っていく。

「……これ……?」

 一枚の写真、そこで視線が止まる。そういえばさっきも、一瞬この写真に目を奪われた。それは祖母が一時期入院していた病院を退院してきた時に、親戚一同が集まってお祝いをした時の写真。「もう駄目かも」と言われていたのが、奇跡的に回復したのを祝ってのものだった。

 しかしそれには自分も含め、親戚しか写っていない。

「これが……いったいなんだって、言うんだ?」
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2019.2.13 オリジナルBL小説『日常』もサイトで更新しました。ほのぼのBLです。こちらの方もよろしくお願いします。https://rhapsodos-atar.jimdo.com/
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