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碧の癒し

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「彼女は死んだ後、『何か大事な物』を落としたんだ。それが『拒絶』の理由。それを彼女に返せばいいと思うんだけど。問題は、その『物』自体がえなかったという事だ。……ねぇ、あんたには視えた?」

 顔を彬へと向けた隆哉が、動きを止める。「どうした」と呟く隆哉の手を払って、彬は額へと手をあてた。

「ワリィ、俺。さっき冬樹さんから注意受けたばっかなのに……。心無い『言霊ことだま』言っちゃって。また俺の所為で、お前に痛い思い……させちまって」

 落ち込む彬に、隆哉は気のない様子で「ああ」と頷いて言葉を続けた。

「そんな事より。視えた? 視えなかった?」

「そんな事よりって、お前なぁ……ちょっとは怒れよ! お前の三つの烙印。そりゃ全部、俺の所為だっつっても過言じゃねぇんだぞ」

 彬の台詞にフゥと細く息をついた隆哉が、呆れたように声を吐き出す。

「何言ってんの。心ある言霊だったから、彼女には届いたんでしょーが。あんた以外に出来ないよ、あんな芸当。そのお陰で、彼女の『拒絶』の理由が判ったんだ。俺には怒る理由なんてない。それどころか――」

 フイッと顔を再び枝へと向けた隆哉は、微かな声をポツリと吐き出した。

「冬樹さんの体も守れた。――感謝してる」
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