君との空へ【BL要素あり・短編おまけ完結】

Motoki

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碧の癒し

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「ここには冬樹さんがいるからね。死を選んだ人はみんな無意識に感じちゃうんだ。『ここならきっと、自分を楽にしてくれる』って」

「僕がというより、この鎮守の森が、なんですけれどね。ほら、こうして立ってるだけで、木の温もりが伝わってくるでしょう? 独りで死のうとする人でもやっぱり、人恋しいというか、温もりを求めるものですから」

「一緒の事でしょ」

「まあ、そうとも言えるかもしれません」

 クスクスと笑う。この冬樹という神官からは、なるほど木と同じ匂いがしていた。同じみどりの温もりが、滲み出るように体を取り巻いている。

「でも彼女は」

「そう、求めてくれてないんですよねぇ」

 フゥと吐息を洩らした二人は、同じように腕を組んで悩みだした。

「ここを選んだという事は、最初はきっと僕の手を望んでくれてたと思うんですけど」

「温もりを求めてここまで来たのに、それを拒絶するような何かが起こった」

 顎に手をあてた隆哉が、ポツリと呟く。

「それは死ぬ前か、それとも後か……」

「この場所で死んでんだから、そりゃ後だろうよ」
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2019.2.13 オリジナルBL小説『日常』もサイトで更新しました。ほのぼのBLです。こちらの方もよろしくお願いします。https://rhapsodos-atar.jimdo.com/
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