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碧の癒し
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しおりを挟む「えと、俺があんたを『オカマ』って言ったのは、どー見てもあんたは男なのに、何かな、内側から出す雰囲気? みたいなモンが女みたいで、やさしげだったから。心は女なのかなって思って。俺って言葉あんま知らないからさ、それしか適当な呼び方出てこなくて、だから、んと――すんません」
「言葉だけじゃなく、敬語も知らないようだな」
呆れ声の裕の台詞にクスリと笑みを零した冬樹は、胸に片手を置いて瞼を伏せた。
「大丈夫。それでもちゃんと、彼の気持ちは僕に届きましたから。――僕のここにはね、もう一つ魂が入っているんですよ。それは僕の双子の姉の魂。生まれる前まで一つだった、僕の片割れです。君が感じたのは、姉の魂でしょう」
「姉貴?」
「ええ。今ある僕の霊力は、元々は十年前に死んだ姉の能力なんです。姉の魂を取り込んだ時、それらも一緒に流れ込んできましたから。僕の中に」
「取り込む? あんたそんな事出来んのか。スゲェな」
感心する彬に、冬樹が微笑んでみせる。
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2019.2.13 オリジナルBL小説『日常』もサイトで更新しました。ほのぼのBLです。こちらの方もよろしくお願いします。https://rhapsodos-atar.jimdo.com/
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