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碧の癒し
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素で言って、カラカラと笑う。その神官と「そうだよなぁ」と頷き合った男がクイッと顎を上げ、刃のような鋭い視線を彬へと向けた。
「もし俺が『オカマ』に見えるなんて言ったら、即――」
コロス、とでも言いそうな形相で睨みつけてくる。「何、こいつら……」と弱気になった彬を横目に、隆哉が小さく吐息を洩らした。
「何やってんの。あんたらしくない。いつもの調子で、答えればいいだけでしょ」
「へ?」
隆哉の言葉を合図に、空気が一変する。まるで靄がかかったようだった頭を、彬はプルプルと振った。
「おや。裏切りましたね。隆哉君」
クスクスと笑った白い神官は、細めた目で隆哉を見つめた。その瞳には、責めるような色がうっすらと滲み出ている。
「すみません。でも、今は時間が勿体無いです。高橋にはちゃんと、俺から言っておきますから」
「何を? ってか、今の何?」
「今のはね。みんなであんたを『威圧』したんだよ」
「威圧? なんで?」
きょとん、とした彬の顔を、硝子の瞳が見つめる。
「あんたさっき言ったでしょ、霊を視るだけじゃなく話もしたいって。だからだよ」
「もし俺が『オカマ』に見えるなんて言ったら、即――」
コロス、とでも言いそうな形相で睨みつけてくる。「何、こいつら……」と弱気になった彬を横目に、隆哉が小さく吐息を洩らした。
「何やってんの。あんたらしくない。いつもの調子で、答えればいいだけでしょ」
「へ?」
隆哉の言葉を合図に、空気が一変する。まるで靄がかかったようだった頭を、彬はプルプルと振った。
「おや。裏切りましたね。隆哉君」
クスクスと笑った白い神官は、細めた目で隆哉を見つめた。その瞳には、責めるような色がうっすらと滲み出ている。
「すみません。でも、今は時間が勿体無いです。高橋にはちゃんと、俺から言っておきますから」
「何を? ってか、今の何?」
「今のはね。みんなであんたを『威圧』したんだよ」
「威圧? なんで?」
きょとん、とした彬の顔を、硝子の瞳が見つめる。
「あんたさっき言ったでしょ、霊を視るだけじゃなく話もしたいって。だからだよ」
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2019.2.13 オリジナルBL小説『日常』もサイトで更新しました。ほのぼのBLです。こちらの方もよろしくお願いします。https://rhapsodos-atar.jimdo.com/
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