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白い影
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ケホ、ケホと合い間に咳き込みながら、首を傾げて言う。その視線から逃れるように、彬は身を引いた。
「相沢、大丈夫か?」
心配そうに身を屈め、秀行が問いかける。隆哉の肩に触れようとした手を寸前で止めて、戸惑うようにそれを引っ込めた。
「もしかして。俺の所為、なのか?」
自分の掌を凝視して、呆然と呟く。「そんなバカな」と続く言葉は、声にはならなかった。
「他に誰かいる? だから言ったのに。触らないでって」
虚ろに秀行を見遣った隆哉が、詰襟の咽喉元を緩めた。第二ボタンまでを外し、中のTシャツを引っ張って、彬達にそれを見せ付ける。
「お陰で見て。彼女に烙印を押されたじゃないか」
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「もしかして。俺の所為、なのか?」
自分の掌を凝視して、呆然と呟く。「そんなバカな」と続く言葉は、声にはならなかった。
「他に誰かいる? だから言ったのに。触らないでって」
虚ろに秀行を見遣った隆哉が、詰襟の咽喉元を緩めた。第二ボタンまでを外し、中のTシャツを引っ張って、彬達にそれを見せ付ける。
「お陰で見て。彼女に烙印を押されたじゃないか」
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2019.2.13 オリジナルBL小説『日常』もサイトで更新しました。ほのぼのBLです。こちらの方もよろしくお願いします。https://rhapsodos-atar.jimdo.com/
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