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白い影
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「まず。俺達が今聴き取れるのは、彼女の『トモダチをとられたくない』っていう感情だけなんだけど。本来彼女が此処に留まっている本当の理由はそれじゃない。それを、今あんたが突きとめようとしてるんだけど……。この銀髪の姿がその『望み』に関係している、というのが一つ目の可能性。そして、俺が昨日まで視ていた姿が偽りの姿で――それこそ、日本人形か何かに思い入れがあったとか何とかで――今までそれに縛られていたのが『本来の姿』に戻ろうとしている、というのがもう一つの可能性。ってワケ」
肩を軽く竦めた隆哉に、「なるほど」と小さく頷く。
「その場合、あの子はハーフって事になんだよなぁ」
「まあ。可能性の問題だけどね」
「で? どっちの可能性の方が高い?」
上目遣いに自分を見上げてくる彬に、隆哉は硝子の瞳を秀行へと向けた。暫くの沈黙の後、視線は秀行に向けたままで重く口を開く。
「そうだね。可能性の話なら、やっぱり一つ目」
「でも、二つ目の可能性も捨てきれねぇ?」
「うん。だって、あんたは彼女の『姿』を視ようとして、能力を使ったんだよねぇ。それに応えてかもしれないし」
肩を軽く竦めた隆哉に、「なるほど」と小さく頷く。
「その場合、あの子はハーフって事になんだよなぁ」
「まあ。可能性の問題だけどね」
「で? どっちの可能性の方が高い?」
上目遣いに自分を見上げてくる彬に、隆哉は硝子の瞳を秀行へと向けた。暫くの沈黙の後、視線は秀行に向けたままで重く口を開く。
「そうだね。可能性の話なら、やっぱり一つ目」
「でも、二つ目の可能性も捨てきれねぇ?」
「うん。だって、あんたは彼女の『姿』を視ようとして、能力を使ったんだよねぇ。それに応えてかもしれないし」
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