91 / 215
白い影
34
しおりを挟む
どうして、あんなに必死になるんだ?
その子がずっと自分に憑いているにしても、今までなんの悪影響もなかったのだ。自分を特別な友達と思い込んで憑いているのなら、それでも構わない。好きなようにさせてやるだけだ。
よくテレビなどで言っているような、自分の身辺で悪い事が起こるなどという事も……。
「あれ?」
ピタリと足を止めた秀行は、「ちょっと待てよ」と眉間に皺を寄せた。そういえば、高橋はあの時なんて言ってた?
――『じゃあさ、今までの友達で死んだヤツは? 勿論、男も含めて』
あれは、どういう意味だ? 何故あの場面で、あの台詞?
ゆっくりと視線を泳がせた秀行は、思い当たった考えに「チッ」と舌打ちした。強く確信して、勢いよく走り出す。
「あのバカ。一番肝心な事を言わないで!」
唸るように言葉を吐き出した秀行は、グッとカバンを握る手に力を入れた。
急いで靴を履き替え、玄関から外へと飛び出す。左右に素早く走らせた目線が、先を行く二人を捕え、そしてそのまま凍りついた。
「うそっ…だろぉ……」
声が、震える。
二人の後ろ姿。隆哉に向けられた彬の横顔が、血に染まっている。血に濡れた死体が、じゃれ合うように、隣の男に拳を繰り出していた。
目の前に広がる信じられない光景に、秀行は暫く呆然と、只その場に立ち尽くしていた。
その子がずっと自分に憑いているにしても、今までなんの悪影響もなかったのだ。自分を特別な友達と思い込んで憑いているのなら、それでも構わない。好きなようにさせてやるだけだ。
よくテレビなどで言っているような、自分の身辺で悪い事が起こるなどという事も……。
「あれ?」
ピタリと足を止めた秀行は、「ちょっと待てよ」と眉間に皺を寄せた。そういえば、高橋はあの時なんて言ってた?
――『じゃあさ、今までの友達で死んだヤツは? 勿論、男も含めて』
あれは、どういう意味だ? 何故あの場面で、あの台詞?
ゆっくりと視線を泳がせた秀行は、思い当たった考えに「チッ」と舌打ちした。強く確信して、勢いよく走り出す。
「あのバカ。一番肝心な事を言わないで!」
唸るように言葉を吐き出した秀行は、グッとカバンを握る手に力を入れた。
急いで靴を履き替え、玄関から外へと飛び出す。左右に素早く走らせた目線が、先を行く二人を捕え、そしてそのまま凍りついた。
「うそっ…だろぉ……」
声が、震える。
二人の後ろ姿。隆哉に向けられた彬の横顔が、血に染まっている。血に濡れた死体が、じゃれ合うように、隣の男に拳を繰り出していた。
目の前に広がる信じられない光景に、秀行は暫く呆然と、只その場に立ち尽くしていた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
すべて実話
さつきのいろどり
ホラー
タイトル通り全て実話のホラー体験です。
友人から聞いたものや著者本人の実体験を書かせていただきます。
長編として登録していますが、短編をいつくか載せていこうと思っていますので、追加配信しましたら覗きに来て下さいね^^*
さよなら私の愛しい人
ペン子
恋愛
由緒正しき大店の一人娘ミラは、結婚して3年となる夫エドモンに毛嫌いされている。二人は親によって決められた政略結婚だったが、ミラは彼を愛してしまったのだ。邪険に扱われる事に慣れてしまったある日、エドモンの口にした一言によって、崩壊寸前の心はいとも簡単に砕け散った。「お前のような役立たずは、死んでしまえ」そしてミラは、自らの最期に向けて動き出していく。
※5月30日無事完結しました。応援ありがとうございます!
※小説家になろう様にも別名義で掲載してます。
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
五年目の浮気、七年目の破局。その後のわたし。
あとさん♪
恋愛
大恋愛での結婚後、まるまる七年経った某日。
夫は愛人を連れて帰宅した。(その愛人は妊娠中)
笑顔で愛人をわたしに紹介する夫。
え。この人、こんな人だったの(愕然)
やだやだ、気持ち悪い。離婚一択!
※全15話。完結保証。
※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第四弾。
今回の夫婦は子無し。騎士爵(ほぼ平民)。
第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』
第二弾『そういうとこだぞ』
第三弾『妻の死で思い知らされました。』
それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。
※この話は小説家になろうにも投稿しています。
※2024.03.28 15話冒頭部分を加筆修正しました。
夜通しアンアン
戸影絵麻
ホラー
ある日、僕の前に忽然と姿を現した謎の美少女、アンアン。魔界から家出してきた王女と名乗るその少女は、強引に僕の家に住みついてしまう。アンアンを我が物にせんと、次から次へと現れる悪魔たちに、町は大混乱。僕は、ご先祖様から授かったなけなしの”超能力”で、アンアンとともに魔界の貴族たちからの侵略に立ち向かうのだったが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる