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白い影

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 あの無感情な視線を感じ取れたなんて、俺ってスゴくね? と自分を褒めた彬は、「そーだ。あいつはどーやっててるか、訊いてみるか」と前向きに意識を変換した。

「どうせ一緒に帰るんなら、それぐらいしか話す事もねぇもんな」

 しかし彬と目を合わせた隆哉は、なんの反応も示さず視線を逸らせた。そのまま、廊下を歩いて行く。

「ちょっ、待てよ!」

 急いで鞄を閉めた彬は、それを小脇に抱えて駆け出した。廊下の角を曲がろうとしていた隆哉に追いつき、横に並んで歩き出す。

「なんだよ、せっかちな奴だなぁ。俺を待ってたんじゃねぇのかよ」

 彬が隣に来ても表情を変えない男は、眉一つ動かさず真っ直ぐ前を見つめていた。

「違うよ」

 ボソリと、愛想のない答えが返ってくる。

「なんでよ。お前は傍にいなきゃなんねぇだろ、俺が死ぬ瞬間ときにはさ。そーでなきゃ、俊介の依憑いひょうを叶えらんねぇだろが」

「死なないよ」

「えっ?」

「今日は死なない。昨日と比べて、濃くなってないもの。それを確認しに、寄っただけ」
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