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白い影

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 放課後。

 周りの生徒達が騒々しい中、彬は黙々と帰り仕度を進めていた。

 ――いや、参った。

 ほんと、心の底からそー思う。自分に霊感があるとノせられて、意気揚揚挑んでみれば、まったくもって成果なし。女の子の話を聴くどころか、その姿すら確認出来ない始末。

 見間違いかと疑いたくなる程の白い靄が、秀行の左肩にうっすらと見える程度だった。それがなんとか、人形ひとがたをしているというシロモノ。

「ダマされたかなぁ」

 ノートを鞄に詰め込みながら呟いた彬は、「いやいや」と首を振った。

 白い靄が思い込みからくる幻覚だと言われれば、それが正しいような気もする。だが、そんな筈はないのだ。少なくとも、秀行に女の子が憑いているという事実は、疑ってはいけない。

 それを否定する事は、俊介の存在をも否定する事だ。

「結局は、俺が役者不足って事かよ」

 深い溜め息と共に額に手をあてた彬は、フッと無意識に視線を上げた。その瞳が、廊下に佇む隆哉の姿を捉える。

「ありゃま。『お迎え』かよ」
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