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緋い記憶

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「そりゃ、殴る気満々なくせに、人がせっかく殴られてもいい覚悟をしたら、肩透かしをくらわしてくれるし。調子狂うったら」

 その台詞に、彬がブランコからずり落ちる。

「それはこっちの台詞だっての!」

「なんで? 俺はあんたの事、殴る気なんてなかったよ」

「言いてぇのは、そこじゃねぇ!」

 ビシッと手をつけて突っ込んだ彬は、その手を額にあてて頭を振った。

「ハーッ。俺とお前がすんなりと会話出来るようになるには、長い時間がかかりそうだな。問題点が山積みだ」

「累累たるもんだね」

 のんびりと答える隆哉の顔を指差しながら、取り敢えず宣言してみる。

「ちなみに俺は、お前が一つ年上だと知ったからって、敬語を使うつもりはさらさらないからな」

「なら俺は、短気なあんたに合わせるつもりはないかな」

「お前ののんびりさにも、付き合いきれねぇ」

「好戦的な性格もちょっと……」

 上等! と張り合ってくる相手を睨みつけた彬は、唇の端をチロリと舐めた。

「それなら! その無表情な顔と感情のない声をやめろッ」

「ああ、それは無理」
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