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緋い記憶

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 そう。相沢って奴が俊介に見えたのも、俺がもうやらないと決めたサッカーをやったから。

 自分の思い描いた俊介の姿を、偶然ダブらせてしまったに過ぎない。

 ――只、それだけの事。

「まあいいや。帰ろうぜ」

 ベッドの乱れを心ばかし直した彬は、鞄を掌に握って肩に掛けた。もう一方の手を秀行へと伸ばす。

「ほれ、置いてくぜ」

「待ってたのは、こっちだって」

 顔を顰めた秀行は、その手を引いて重い腰をゆるゆると上げた。

「ハハッ。感謝してます」

 秀行の背中を押して、笑い声をあげる。

 それでも彬の瞳は、先程の血にまみ塗れた俊介の顔を、ずっと映したままだった。




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