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呪いの鎧武者
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それから数日たったある日。俺は珍しく寝坊をして朝の道路を学園に向かって走っていた。
小さな公園の前を通り過ぎようとした時、俺の名を呼ぶ声に立ち止まった。キョロキョロと周りを見回す。すると公園の中、ブランコに腰掛けた松岡がこっちに向かって手を振っている。
俺はチラリと腕時計を確認すると、急いでブランコに駆け寄った。
「――何、それ」
彼の腕には、三匹の子猫が乗っている。片手の掌に充分乗りそうなその子猫達を抱えた松岡が、ニッコリと俺に微笑みかけた。
「子猫。拾ったんだ」
「ああ、ああ、そうだろうな。でも、もうすぐチャイムが鳴るってこの時間に、なんで子猫を抱いてんだ?」
イライラと言った俺に、松岡がのんびりと声を出す。
「だって。あの茂みの前を通ったら、ミャーミャー何か鳴いてんだぜ。気になんだろ?」
「だぁー! 子犬の時とおんなじパターンじゃねぇか! それも、一時限目は地理……」
目眩をおこした俺は、大きく溜め息を吐き、取り敢えず彼の腕を掴んで歩き出した。
「帰りまで置いといて帰りに拾う、じゃ駄目だったのか。しかも三匹も……」
「だって、こんなに小さいんだぜ。犬とかに襲われるかもしれねぇし、車に轢かれるかもしれねぇ。そーなったら、寝覚め悪いだろ?」
「そりゃ、そうかもしれないけど……」
言った俺に、松岡はハタと足を止めた。
「あっ、そういや知ってるか? 佐藤なんだけどよ、あの事故に遭った時、確かに見たって言ってるそうなんだ」
「何を?」
俺も足を止めて松岡を振り返る。その俺から視線を逸らし、彼は眉間に皺を寄せた。
「鎧武者」
「なんだと?」
「先回りしてた新崎の後ろに、確かに刀を抜いて立ってたって言ってるらしい。今にも新崎に切り掛かろうとしてたって……。それともう一つ――」
「まだ、あるのかよ?」
俺に顔を近付けた松岡が、そっと声を顰める。
「あのカーテン。佐藤が見た時、二枚カーテンが開いてたよな、まるで佐藤に鎧武者の映像を見せるかのように。だが高科先輩の話では、あの晩、確かにカーテンは閉まっていたそうだ」
「高科先輩? ……お前、あれから高科先輩としゃべったの?」
「ああ」
俺は意外な面持ちで松岡を見つめた。
「いつ? ってか、お前手ェ早くないか?」
「早くねぇよ。先輩が昨日うちの店に来たんだ」
「――何しに?」
小さな公園の前を通り過ぎようとした時、俺の名を呼ぶ声に立ち止まった。キョロキョロと周りを見回す。すると公園の中、ブランコに腰掛けた松岡がこっちに向かって手を振っている。
俺はチラリと腕時計を確認すると、急いでブランコに駆け寄った。
「――何、それ」
彼の腕には、三匹の子猫が乗っている。片手の掌に充分乗りそうなその子猫達を抱えた松岡が、ニッコリと俺に微笑みかけた。
「子猫。拾ったんだ」
「ああ、ああ、そうだろうな。でも、もうすぐチャイムが鳴るってこの時間に、なんで子猫を抱いてんだ?」
イライラと言った俺に、松岡がのんびりと声を出す。
「だって。あの茂みの前を通ったら、ミャーミャー何か鳴いてんだぜ。気になんだろ?」
「だぁー! 子犬の時とおんなじパターンじゃねぇか! それも、一時限目は地理……」
目眩をおこした俺は、大きく溜め息を吐き、取り敢えず彼の腕を掴んで歩き出した。
「帰りまで置いといて帰りに拾う、じゃ駄目だったのか。しかも三匹も……」
「だって、こんなに小さいんだぜ。犬とかに襲われるかもしれねぇし、車に轢かれるかもしれねぇ。そーなったら、寝覚め悪いだろ?」
「そりゃ、そうかもしれないけど……」
言った俺に、松岡はハタと足を止めた。
「あっ、そういや知ってるか? 佐藤なんだけどよ、あの事故に遭った時、確かに見たって言ってるそうなんだ」
「何を?」
俺も足を止めて松岡を振り返る。その俺から視線を逸らし、彼は眉間に皺を寄せた。
「鎧武者」
「なんだと?」
「先回りしてた新崎の後ろに、確かに刀を抜いて立ってたって言ってるらしい。今にも新崎に切り掛かろうとしてたって……。それともう一つ――」
「まだ、あるのかよ?」
俺に顔を近付けた松岡が、そっと声を顰める。
「あのカーテン。佐藤が見た時、二枚カーテンが開いてたよな、まるで佐藤に鎧武者の映像を見せるかのように。だが高科先輩の話では、あの晩、確かにカーテンは閉まっていたそうだ」
「高科先輩? ……お前、あれから高科先輩としゃべったの?」
「ああ」
俺は意外な面持ちで松岡を見つめた。
「いつ? ってか、お前手ェ早くないか?」
「早くねぇよ。先輩が昨日うちの店に来たんだ」
「――何しに?」
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