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呪いの鎧武者
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「赤ん坊が望んでいるのは、唯一つ。母親の幸せです。子供はみんな、大好きですからね、母親の事が……。この話が本当なのかどうかは判りません。でも俺は好きですよ、この話。だからねぇ、先輩。自分を責めるだけじゃなく、時折感謝してあげて下さい。あなたの為に、自分の意志で流れ出た小さな命に。あなたの幸せを、誰よりも望む魂に……」
――それを聞いた彼女の頬を、静かに雫が伝っていく。
松岡の顔を見上げたまま肩を震わせ、声を出す事もなく。彼女は只、ポロポロと涙を流していた。
「資料室の鍵はどれですか? ああ、これね。で、此処の鍵がこれで、これは? ああ、カードキィですか。判りました。――では、新崎の事は任せます。鍵は明日の朝一番にお返ししますよ」
そう言ってやさしく彼女の背中を押した松岡は、ドアの所でそっと手を放した。微かに振り返った彼女が、俺達に頭を下げて階段を下りて行く。それをドアに凭れ掛かって見送った松岡は、彼女の足音が聞こえなくなっても、暫くその体勢のまま動かなかった。
――それを聞いた彼女の頬を、静かに雫が伝っていく。
松岡の顔を見上げたまま肩を震わせ、声を出す事もなく。彼女は只、ポロポロと涙を流していた。
「資料室の鍵はどれですか? ああ、これね。で、此処の鍵がこれで、これは? ああ、カードキィですか。判りました。――では、新崎の事は任せます。鍵は明日の朝一番にお返ししますよ」
そう言ってやさしく彼女の背中を押した松岡は、ドアの所でそっと手を放した。微かに振り返った彼女が、俺達に頭を下げて階段を下りて行く。それをドアに凭れ掛かって見送った松岡は、彼女の足音が聞こえなくなっても、暫くその体勢のまま動かなかった。
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