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呪いの鎧武者
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意味ありげな台詞を吐いて、手を振ってソファを示す。
「まあ、お掛け下さい。今更十分や二十分遅れたからといって、どうなるモノでもありません。手配されるなら、俺達との話が済んでからにして下さい」
言った松岡は足を組むと、ソファに深く凭れ込んだ。
「その灯りが消えた時、時計の針も止まっていたんですか?」
「いいえ。あの針は幾つもの大きな歯車で動いていますの。大地震でも起きて歯車が噛み合わなくならない限り、永遠に時を刻みます。灯りもそうで、停電になっても消える事はありませんが、電球が切れれば別です。消えてしまいますわ」
「なるほど。後、他に奇妙な事を聞かれた憶えはありませんか? 曾爺様について」
「他に? ――そうですわね、後は理事長室ぐらいかしら」
「理事長室? 此処の事ですか?」
「あ、いいえ。違うんです。B棟の三階。西の廊下の奥に資料室がありますわよね。あそこは元理事長室だったんです。この場所に理事長室を造っておきながら、曾祖父はあの資料室を理事長室として使っていたそうです。何故あんな三階の一番端、廊下の突き当たりの部屋を気に入っていたのか解らないと、祖父がよく首を捻っていましたわ」
「……へぇ?」
興味深げに笑った松岡は、体を起こすと膝に両肘をついて前屈みになった。
「ありがとうございます、大変参考になりました。――ではお礼に、あなたの質問にもお答えしましょう。何が訊きたいんです?」
上目遣いで言った松岡に、高科先輩は脅えたような目を向けた。蛇に睨まれた蛙のように、目を見開きその動きを止めている。
「訊きたい事があったから、俺達をこんな所に連れて来たんでしょう?」
ニッコリと笑う。高科先輩は腕時計をチラリと覗いて時間を確かめると、思い切ったように口を開いた。
「まあ、お掛け下さい。今更十分や二十分遅れたからといって、どうなるモノでもありません。手配されるなら、俺達との話が済んでからにして下さい」
言った松岡は足を組むと、ソファに深く凭れ込んだ。
「その灯りが消えた時、時計の針も止まっていたんですか?」
「いいえ。あの針は幾つもの大きな歯車で動いていますの。大地震でも起きて歯車が噛み合わなくならない限り、永遠に時を刻みます。灯りもそうで、停電になっても消える事はありませんが、電球が切れれば別です。消えてしまいますわ」
「なるほど。後、他に奇妙な事を聞かれた憶えはありませんか? 曾爺様について」
「他に? ――そうですわね、後は理事長室ぐらいかしら」
「理事長室? 此処の事ですか?」
「あ、いいえ。違うんです。B棟の三階。西の廊下の奥に資料室がありますわよね。あそこは元理事長室だったんです。この場所に理事長室を造っておきながら、曾祖父はあの資料室を理事長室として使っていたそうです。何故あんな三階の一番端、廊下の突き当たりの部屋を気に入っていたのか解らないと、祖父がよく首を捻っていましたわ」
「……へぇ?」
興味深げに笑った松岡は、体を起こすと膝に両肘をついて前屈みになった。
「ありがとうございます、大変参考になりました。――ではお礼に、あなたの質問にもお答えしましょう。何が訊きたいんです?」
上目遣いで言った松岡に、高科先輩は脅えたような目を向けた。蛇に睨まれた蛙のように、目を見開きその動きを止めている。
「訊きたい事があったから、俺達をこんな所に連れて来たんでしょう?」
ニッコリと笑う。高科先輩は腕時計をチラリと覗いて時間を確かめると、思い切ったように口を開いた。
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