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呪いの鎧武者
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「あの子犬は、どうなりました?」
「え?」
なんの事を訊かれてるのか判らず、俺は一瞬戸惑いを隠せなかった。しかしすぐにあの拾った子犬の事だと判り、笑顔を浮かべた。
「友達が引き取ってくれましたよ。でもなんで、知ってるんです?」
「あの時、渡り廊下から見てましたもの。――でも、よかったわ。大事にされてるのかしら?」
「だと思いますよ」
「――そう。どんなに小さくても、命に違いはありませんものね……」
自分に言い聞かすように呟いた彼女は、フイッと避けるように俺から離れた。急いで松岡を追いかけると、彼は玄関の所で俺を待ってくれていた。
不機嫌極まりない顔で、高科先輩の姿を目で追っている。
「あの女。握り返してきやがった」
チッと舌打ちしながら苦々しげに吐き捨てた松岡は、気を取り直したように俺に目を向けた。
「それで? 彼女、なんだって?」
「ああ。あの、お前が拾った子犬。どうなったかってさ。あの時、窓から見てたらしいよ。どんなに小さくても、命に違いはないってさ」
靴を履き替えながら答えた俺に、フンと鼻を鳴らす。
「命に違いは……か。段々とややこしくなるな」
唸るように言った松岡は、コツコツと自分の額を指先で小突いた。歩き出す松岡に、俺は靴を投げるように靴箱に入れると、小走りで彼に追いついた。
「それより、なんで高科先輩が佐藤の傘を持ってるって知ってたんだ?」
「いや、知らなかったぜ」
角を曲がりひとけが少なくなると、途端に彼は歩くスピードを落とした。
「え? だって……」
「え?」
なんの事を訊かれてるのか判らず、俺は一瞬戸惑いを隠せなかった。しかしすぐにあの拾った子犬の事だと判り、笑顔を浮かべた。
「友達が引き取ってくれましたよ。でもなんで、知ってるんです?」
「あの時、渡り廊下から見てましたもの。――でも、よかったわ。大事にされてるのかしら?」
「だと思いますよ」
「――そう。どんなに小さくても、命に違いはありませんものね……」
自分に言い聞かすように呟いた彼女は、フイッと避けるように俺から離れた。急いで松岡を追いかけると、彼は玄関の所で俺を待ってくれていた。
不機嫌極まりない顔で、高科先輩の姿を目で追っている。
「あの女。握り返してきやがった」
チッと舌打ちしながら苦々しげに吐き捨てた松岡は、気を取り直したように俺に目を向けた。
「それで? 彼女、なんだって?」
「ああ。あの、お前が拾った子犬。どうなったかってさ。あの時、窓から見てたらしいよ。どんなに小さくても、命に違いはないってさ」
靴を履き替えながら答えた俺に、フンと鼻を鳴らす。
「命に違いは……か。段々とややこしくなるな」
唸るように言った松岡は、コツコツと自分の額を指先で小突いた。歩き出す松岡に、俺は靴を投げるように靴箱に入れると、小走りで彼に追いついた。
「それより、なんで高科先輩が佐藤の傘を持ってるって知ってたんだ?」
「いや、知らなかったぜ」
角を曲がりひとけが少なくなると、途端に彼は歩くスピードを落とした。
「え? だって……」
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