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呪いの鎧武者
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「何してんだ、山下。来てみろよ。『幽霊の正体見たり、枯れ尾花』ってね。クソッたれ。なんで今まで気付かなかったんだろ」
三階で興奮する松岡の傍に駆け寄ると、彼は俺の両肩に手を置いて、クルリと俺の体を回転させた。
「さあ、山下。今は真っ暗で見えないけど、お前の目の先には、何がある?」
「は? 目の先……って、大鏡? まさか――この大鏡が、関係あるのか?」
「そう。鎧武者が現れるのは、この場所じゃないといけなかったんだ。この二階から三階にかけての踊り場の上部。つまり、三階部分に立った時に丁度正面にくるこの大鏡こそが、雷、カーテンに続いて、鎧武者を呼び出すのに必要なアイテムなんだ」
そう言った松岡が、俺の斜め後ろのカーテンを開けたのが気配で判った。
――ピカッと、雷によって空が光る。
「山下。後ろを、見てみろよ」
松岡に言われて振り返り、俺はギョッとした。もう少しで叫び声まであげてしまうところだった。
俺の目の前に、鎧武者が立っている。だがそれも一瞬で、すぐに消えてしまった。
「――……鎧、武者……」
呟いて松岡に目を遣ると、俺の反応を窺うように見ていた彼は、次の瞬間大きな声で笑い出した。
「お前を喜ばすには、苦労するぜ」
そう言って、爆笑を続ける。
「何が可笑しいんだよ。それより、空が光った間だけ出てきたぞ。鎧武者」
「ああ。つまらない所だと思っていたが、中々面白い学園のようだな、此処は。あの大鏡、あれ全体が、魔鏡になってるんだ」
「魔鏡?」
「鏡の裏に細工がしてあるんだ。光を当てると、反射した部分に鎧武者が映るようになってる。考えてみると不思議だよな。こんな大きな鏡が、わざわざあんな高い所の壁に嵌め込まれてるんだから」
「割られない為か……」
「まあな。それと、移動出来ないようにだろ。――それにしても、カーテンにこんな秘密があったとは、驚きだな」
三階で興奮する松岡の傍に駆け寄ると、彼は俺の両肩に手を置いて、クルリと俺の体を回転させた。
「さあ、山下。今は真っ暗で見えないけど、お前の目の先には、何がある?」
「は? 目の先……って、大鏡? まさか――この大鏡が、関係あるのか?」
「そう。鎧武者が現れるのは、この場所じゃないといけなかったんだ。この二階から三階にかけての踊り場の上部。つまり、三階部分に立った時に丁度正面にくるこの大鏡こそが、雷、カーテンに続いて、鎧武者を呼び出すのに必要なアイテムなんだ」
そう言った松岡が、俺の斜め後ろのカーテンを開けたのが気配で判った。
――ピカッと、雷によって空が光る。
「山下。後ろを、見てみろよ」
松岡に言われて振り返り、俺はギョッとした。もう少しで叫び声まであげてしまうところだった。
俺の目の前に、鎧武者が立っている。だがそれも一瞬で、すぐに消えてしまった。
「――……鎧、武者……」
呟いて松岡に目を遣ると、俺の反応を窺うように見ていた彼は、次の瞬間大きな声で笑い出した。
「お前を喜ばすには、苦労するぜ」
そう言って、爆笑を続ける。
「何が可笑しいんだよ。それより、空が光った間だけ出てきたぞ。鎧武者」
「ああ。つまらない所だと思っていたが、中々面白い学園のようだな、此処は。あの大鏡、あれ全体が、魔鏡になってるんだ」
「魔鏡?」
「鏡の裏に細工がしてあるんだ。光を当てると、反射した部分に鎧武者が映るようになってる。考えてみると不思議だよな。こんな大きな鏡が、わざわざあんな高い所の壁に嵌め込まれてるんだから」
「割られない為か……」
「まあな。それと、移動出来ないようにだろ。――それにしても、カーテンにこんな秘密があったとは、驚きだな」
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