ストレイ・ラム【完結】

Motoki

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呪いの鎧武者

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「そうだね。もしいくら調べてもなんの痕跡も見つからなかったら、その時は知り合いの霊能者に来てもらうよ。信用の置ける者だからね、鎧武者の正体を視てもらう事にしよう」

 それは、ひどく予想外の依羅さんの答えだった。その台詞は以前聞いた「そういった可能性をゼロとしている訳ではない」という言葉を証明してはいたが、依羅さんには似つかわしくない台詞のような気がした。

「――それにしても、此処。依頼したい人の指名も出来るんだな」

「俺も、初耳だ」

 肩を竦めてみせた松岡は、依羅さんに目を向けた。

「それは、依頼内容によるね。今回は場所が保の学園という事もあるし、私も妥当な処だと思う。これがもし、友也をご指名だったら――」

 そこで言葉を切った依羅さんは、横目で友也さんを窺い見るとクスリと笑みを洩らした。

「――断らないと、いけない処だ」

「えっ。どーしてですか」

 依羅さんはカウンターに両肘をつくと、俺達に顔を近付けて小さく囁いた。

「友也は、幽霊が苦手なんだよ。……勇敢な妹君いもうとぎみとは違ってね」

 ククッと笑いを噛み殺そうとする依羅さんに、友也さんは照れくさそうにそっぽを向いた。

「仕方ないだろう。苦手なものは、苦手なんだ」

 それにプッと、松岡が吹き出す。頭を抱え込むようにして肩を震わす二人に、友也さんの頬が赤らんだ。

「何、いつまでも笑ってるんだ。保、二番テーブルのお客がお帰りだ。早くレジへ行け!」

 最後は叫ぶように言った友也さんの意外な一面に、俺も思わず笑ってしまった。




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