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黒い幻影
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「……逃げんなよ。死なば諸共だろ。俺を一人にすんじゃねぇ。俺が明日学園休んだら、お前の所為だかんな。行くならせめて、こいつも連れてけ」
恨み言を連発する松岡に、俺は一瞬呆気に取られてから、ハタと気付いてその腕を引き剥がそうともがいた。
「やだよ、俺。無理無理。絶対無理。どー考えても俺の手には負えないもん」
「んなの、俺も一緒だよ! 怒った友也さんとこのハイな綾香に挟まれようモンなら、俺の繊細な心臓が破裂して死ぬかもしんねぇ! そうなったら、お前も迎えに行ってやっからな!」
「えぇっ! 俺、関係ないじゃん」
見苦しい争いを繰り広げる俺達に、綾香は呆れた声で間に入った。
「なに道端でじゃれ合ってんのよ! 時間がないわよ、ほら。――もう! 仕方ないわね」
何を思ったのか、松岡が掴んでないもう一方の俺の腕を掴む。
「早くしないと、遅れちゃうでしょ!」
腕を抱きかかえた綾香が、強い力で引っ張って行く。
「いや、あの俺……」
「はいはい。言いたい事は、『ストレイ・ラム』に着いたらゆっくり聞いてあげるからね。兎に角、今は急ぐの!」
「そうそう」
もう一方の腕を掴んだままの松岡が、ケケッと意地悪く笑う。
「歩き難いんだけど……」
俺の訴えは無視され、どちらの手も緩めてくれない。
横一列に並んだ俺達は、他の通行人に多少の迷惑をかけつつ、三人仲良く喫茶店『ストレイ・ラム』へと向かった。
恨み言を連発する松岡に、俺は一瞬呆気に取られてから、ハタと気付いてその腕を引き剥がそうともがいた。
「やだよ、俺。無理無理。絶対無理。どー考えても俺の手には負えないもん」
「んなの、俺も一緒だよ! 怒った友也さんとこのハイな綾香に挟まれようモンなら、俺の繊細な心臓が破裂して死ぬかもしんねぇ! そうなったら、お前も迎えに行ってやっからな!」
「えぇっ! 俺、関係ないじゃん」
見苦しい争いを繰り広げる俺達に、綾香は呆れた声で間に入った。
「なに道端でじゃれ合ってんのよ! 時間がないわよ、ほら。――もう! 仕方ないわね」
何を思ったのか、松岡が掴んでないもう一方の俺の腕を掴む。
「早くしないと、遅れちゃうでしょ!」
腕を抱きかかえた綾香が、強い力で引っ張って行く。
「いや、あの俺……」
「はいはい。言いたい事は、『ストレイ・ラム』に着いたらゆっくり聞いてあげるからね。兎に角、今は急ぐの!」
「そうそう」
もう一方の腕を掴んだままの松岡が、ケケッと意地悪く笑う。
「歩き難いんだけど……」
俺の訴えは無視され、どちらの手も緩めてくれない。
横一列に並んだ俺達は、他の通行人に多少の迷惑をかけつつ、三人仲良く喫茶店『ストレイ・ラム』へと向かった。
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