ストレイ・ラム【完結】

Motoki

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黒い幻影

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「――そんな悠長な台詞、吐いてられんのも今の内だぜ。言い訳なんか通用するもんか。それどころか、あの人が最も嫌う行為だからな。余計怒らせるだけだ」

 片手で頭を抱え込んだ松岡が、緊張した面持ちで長く息を吐いた。

「バレて依羅さんが怒り出したら、友也さん。助けてよ」

 拝むように両手を合わせた松岡に、友也さんはヒョイと片眉をあげた。

「悪いね、保。この場合、私は無条件に依羅の味方だよ。まあ、これでも飲んで、頑張ってみるんだね」

 ニヤリと笑った友也さんは、俺達三人の前にコーヒーカップを置いた。

「クソ。そうだろなぁ。――いいか、山下。お前は何も、しゃべんじゃねぇぞ」

 上目遣いで言った松岡は、気合いを入れるようにコーヒーを口元へと運んだ。

「小山なんか足元にも及ばない程、マジおっかないんだからな」






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