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Ⅱ
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しおりを挟む「さて、と」
もう1度姉さんの墓前で手を合わせた裕文さんが、立ち上がる。
そうしてクスクスと笑い出した。
「結局。めかし込んだ俺達を独り占め出来る女性は、由美だけってことか」
その言葉には、僕もふふっと笑った。
「それこそ、『当たり前よ』って言ってますよ」
「――では哀しく男2人、今からデートと行きますか」
せっかくめかし込んだし、と言った裕文さんに「えー」と不満の声を洩らしてみる。
「哀しく、ですか?」
「いえいえ。大変光栄です」
これは失礼を、とお辞儀した裕文さんが、肘を三角に突き出す。
ウィンクしてくる彼に、じゃれ付くように腕を絡めた。
「――ところで。俺を裕文さんって呼ぶのはどうなったのかな?」
揶揄うように言い出した裕文さんに、「さあ?」ととぼけてみせる。
「当分先じゃないですか?」
こつんと頭を叩いてきた裕文さんに、首を縮めるようにして、笑いながらしがみ付く手に力を込めた。
この幸せを、運んでくれた姉さんに、とても感謝してる。
そしてこの幸せを与えてくれる裕文さんには、
生まれて初めての、狂おしい程の、恋しさを――……。
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