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6.焼酎持ってこいっ!

手の震えを止める為、酒を下さい

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入学式では、新入生代表としてキールが挨拶をした後、在校生代表として昨年同様、生徒会長のギムレットが挨拶をした。
ギムレットの歓声はわかっていた事だが、キールへの歓声も結構上がっていた事に、姉として誉高い思いだった。


そんな入学式後、1学年上がった2年A組のクラスへと向かった。
クラス割りのボードを見た時の違和感。。。
誰か欠けている気がする。

クラスを見渡し、誰が欠けたのか確認をする。

・・・うーん。
誰がいないのだろう・・・?


「シュタイン君が居ないのです。カシス様。」

いつの間にか私の脇に居たピニャ様がぼそりとささやいた。


あーーー!
確かにメガネ君、居ないっ!!

A組では、いつも自然に当然の様に私の隣の席に居たメガネ君が居ないっ!!

「メガネ君どうしたんだろう!? 入院でもしたのかな?!」

メガネ君の安否を心配してしまった。
そんな私にピニャ様が言い辛そうに教えてくれた。

「彼はS組になりました。それも首席です。今期2年の首席はシュタイン君です。」


・・・っえ?

「これまでA組でも中の成績だったのに、学期末の成績で突然全教科TOPの成績。きっとそれまでの成績は、あえて狙ってA組中の成績をとっていた様に思えちゃいますよね。」


突然の衝撃的な事態を受け、その後のピニャ様の言葉が入ってこない。

これまで転生者である私やキールの行動が要因で、色々な事象がゲームの設定からズレてきた。
そしてこの頃はキリュシュの奇行ぶりが重なり、ゲームのEDとは違う未来が待っている様に感じ出していたのだが。。。

ここにきて、メガネ君のゲームシナリオ通りの、S組学年首席。
前世の記憶で言う、『ゲームの矯正力』というものが働いているのか?

途端に不安が襲ってきた。

これからだんだんゲームのシナリオ通りに進んでいって、やがてカシスは処刑されてしまうのではないか?
キールとゲームのシナリオにあがなう為、頑張ってきたが『ゲームの矯正力』の前では無力なのではないか?

気持ちが重くなる。


「カシス様、私、昨年もお伝えした通り、お側にずっと居ますよ?」

私の混乱と不安を感じ取ったのか、ピニャ様がそっと優しく私に彼女の気持ちを伝えてくれた。

「私、カシス様のお側がとても心地良いのです。嫌がられてもお側に居ます。シュタイン君が居なくなって寂しいかもしれませんが、変わらない者もいる事を知ってください。」

ピニャ様の言葉に、『ゲームの矯正力』への不安が薄まった。
と、同時に冷静を取り戻す事が出来た。

まぁ、クラスが変わっても、これまで築いてきたメガネ君との信頼関係等々は変わらない。

・・・はずっ!

今回はただ、メガネ君のクラスが変わっただけだ。
昇進なのだから、祝って終わりだ。

「ほむ。まぁメガネ君が成績落ちして、出戻ってきても居場所があるように、これまで通りA組でそこそこに頑張りますかね。」

私の言葉に、満足したピニャ様が新A組メンバーに呼びかけた。

「A組ー??」

その呼びかけにもちろんメンバーは応える。

「最高ーー!!!」


・・・・。
いつも通りで何より。
メンバーが1名入れ代わったが、いつも通りで何より。



・・・1名、可哀想な人が居た。
みなさんお分かりでしょうか・・・?
メガネ君と交代で、S組から落ちてきた人です。

A組メンバーの異様な行動に恐れ慄き、狼に囲まれた野兎の様に震えてる。

そんな彼にA組メンバーも彼にどう接しようかと遠巻きだ。

だよね。
最初はそうなるよね。

ん?

でもこの彼、誰かに何となく似ているな・・・?
誰だろう・・・・??

んー・・・・・


まぁ、いいかw
 










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