上 下
1 / 18
第一章 すみれさんの秘密

1「ハプニング!」

しおりを挟む
 家の玄関から出ると、突然大量の水をかけられて、全身びしょびしょになった。

「わあっ! ごめんなさい~。私ったら、またやっちゃった」

 そう、家から出た瞬間水浸しになるのはこれで二度目だ。なんとすみれさんは家の前の花壇に水をやろうとして足を滑らせ、花たちを潤すはずの水は俺にぶっかかったというわけだ。しかし今回はまだマシで、前回は洗車する水がかかったから、メガネが吹っ飛んで大変なことになった。

「とりあえず体を拭かなきゃね。勇くん、うちへきて」

 遠慮なく彼女の家に上がる。この家には何度もお邪魔しているのだ。うちとは違う匂いがする。俺はこの家の匂いが苦手である。なんだかいろんな材料を一度に鍋に入れて、煮詰めたような匂いがするのだ。
 それにしても、家の中に入った瞬間に気づいたが、今日も旦那さんはいないようだ。日曜日なのに。そのことをさりげなく彼女に尋ねると、「忙しいのよ」と悲しそうに答えた。

 俺はタオルを借りて体を拭き、その後風呂を勧められて、せっかくなので入らせてもらうことにした。
 湯船に浸かりながらおっとりしたこの家の奥さんのことを考える。上原すみれ、28歳。栗色の髪は肩にかかるくらいの長さで、いつもポニーテールにしている。特別美人でもないがなんだか色っぽい感じだ。身長は高くもなく低くもない。正直言って俺はこういう女性が好みだ。だから一つ屋根の下、男と女が二人きりという今の状況にめちゃくちゃ興奮している。いかん、なんだか勃ってきた。

「お湯加減はどうですかー?」

「はい、もうバッチリです」

 俺はすみれさんの家の風呂場を堪能していた。すみれさんの髪の毛は落ちていないか!? いや、下の毛でもいいんだけど! ハアハア……。いかん、興奮してしまった。そもそも旦那の毛も混じってるかもしれない。そんな毛は見たくない。
 すみれさんの毛を探すのを諦めて、俺は風呂場を出た。

「ずいぶん長かったわね~。湯冷めしないようにあったかくしてね」

 暖かい麦茶を出してもらい、それをすする。さっきからテレビがニュースを流している。芸能人の不倫だ。

「まったく、不倫なんてなんでするんでしょうね。どうせばれるのに」

「そうね、なんででしょうね……。そんなことをするのは、きっとおばかさんなんでしょう」

 すみれさんの笑顔はいつも悲しげで、儚い。俺は麦茶を飲み干し、礼を言って自分の家に帰った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

抱きたい・・・急に意欲的になる旦那をベッドの上で指導していたのは親友だった!?裏切りには裏切りを

白崎アイド
大衆娯楽
旦那の抱き方がいまいち下手で困っていると、親友に打ち明けた。 「そのうちうまくなるよ」と、親友が親身に悩みを聞いてくれたことで、私の気持ちは軽くなった。 しかし、その後の裏切り行為に怒りがこみ上げてきた私は、裏切りで仕返しをすることに。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

奪ってやったのよ!証拠写真には旦那と実の妹が抱き合う姿が写っていた…では、こうして解決しましょう。

白崎アイド
大衆娯楽
夫が浮気をしているのではないかと思った私。 調査会社に浮気調査の依頼をした。 すると、調査員は写真を取り出し、私に見せる。 その証拠写真に写っていた人物に愕然とする…

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

処理中です...