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第1章 入門編
異界の法則
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爆発によって数回バウンドしながら壁に激突し、床に倒れた。
「……………う、ぐ」
駄目だ。意識が朦朧とする。視界が明滅する。手足がわずかしか動かない。
当然だ。拳の速度に加えて自分の移動速度と体重も加わった、更には炎属性の爆風も上乗せされたカウンターの一撃、それをもろに頭に喰らったんだから。
「ハハッ、今になって言うのもなんだが、お前なかなか手応えのある相手だったよ。今の一撃だって、とっさに首振ってなきゃ首が折れてるとこだぜ、お前」
男はのうのうと語り出す。まるで俺をあざ笑ってるみたいに。
「一体どこで養ったのかはしらねーが、人並みはずれた格闘センスを持ってやがる。並みの奴なら能力無しでもやり合えるくらいになー。だが、」
語りながら歩いていく先には、ずるずると後ずさるユリアの姿…………。
(逃げてなかったのか…………!?)
洋斗の全身から嫌な汗が吹き出る。
「い…………いや…………」
「俺の方が遙かに上だったようだな!つー訳で、お姫様はさらっていくぜェ配管工ォ!」
男は一気に距離を積めるとユリアの襟首を掴んだ。
「嫌ァ!離してくださいッ!!」
「くそ!暴れんな!」
「ゃ………やめ……ろ………」
俺は何とか死力を振り絞って四つん這いの形にはなれた。
だがそれまで。そこから立ち上がるだけの力は残ってなかった。
「黙れっつってんだろ!」
「うぐっ!?」
「!」
ドズン!と鈍い音とともに男がユリアの鳩尾を殴る。
「う、ァ………!」
「たく…………まぁ気絶くらいなら許してくれんだろ」
男はユリアの目の前で火球を作り始めた。
「ひっ!?」
ユリアが小さく悲鳴を上げる。ユリアも能力が使えないため、抵抗する術が無い。
想定しうる最悪の事態が今、目の前で起ころうとしている。
(…………させてたまるか)
洋斗は前進にありったけの力を込めた。
(俺の前で大事な人を失わないって、決めたんだ…………)
頭をよぎるのは、あの景色。
焼け野原の中、俺の前で
友達が隣のおっちゃんが母さんが父さんが…………
そして今、ユリアが。
(あんなことは二度と起こさせないって決めた!)
脳が揺れて視界がグラつく。
頭の右半分が焼けるように熱い。
───それでも
洋斗は前に進もうと足に精一杯の力を込める。
(あの時は何も出来なかった。けど、今度は止める!)
ギリギリと、つま先が悲鳴を上げる。
(間に合え。届けこの手!届け……………!!)
「ぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
その時、
限界まで力のこもったつま先から、
バチッ、と電流が走った。
そのまま足に込めていた力を解放し、一気に前へ駆け出す。
───瞬間。
景色がまたたく間に後方へ流れる───そんな感覚を得る暇もないほどの刹那の時間の先に。
目の前に男の顔面があった。
未だに洋斗の方さえ見ていない。
俺はその男の頬に合わせて握り拳を合わせた。
「ふぐェ!?!」
男は顔が一発でひしゃげて向こう側の壁にノーバウンドで吹っ飛び、校舎の壁を何枚も突き破り、校舎の外へ吹き飛んだ。
一方で洋斗の身体も勢いが止められず、壁に投げつけた人形のように壁に衝突する。
「ゴホッ……ぅ…………」
流石にここで限界だった。
「ひ、洋斗君!!」
遠くでユリアの声が聞こえるが、ここまでだ。
俺の意識が、ゆっくりと遠のいていく…………………
………………
………
。
~~~~~~~~~~~~~~
…………。
ようやく『起きて』くれたか。
これで僕も
外に出られる
これで君を
「……………う、ぐ」
駄目だ。意識が朦朧とする。視界が明滅する。手足がわずかしか動かない。
当然だ。拳の速度に加えて自分の移動速度と体重も加わった、更には炎属性の爆風も上乗せされたカウンターの一撃、それをもろに頭に喰らったんだから。
「ハハッ、今になって言うのもなんだが、お前なかなか手応えのある相手だったよ。今の一撃だって、とっさに首振ってなきゃ首が折れてるとこだぜ、お前」
男はのうのうと語り出す。まるで俺をあざ笑ってるみたいに。
「一体どこで養ったのかはしらねーが、人並みはずれた格闘センスを持ってやがる。並みの奴なら能力無しでもやり合えるくらいになー。だが、」
語りながら歩いていく先には、ずるずると後ずさるユリアの姿…………。
(逃げてなかったのか…………!?)
洋斗の全身から嫌な汗が吹き出る。
「い…………いや…………」
「俺の方が遙かに上だったようだな!つー訳で、お姫様はさらっていくぜェ配管工ォ!」
男は一気に距離を積めるとユリアの襟首を掴んだ。
「嫌ァ!離してくださいッ!!」
「くそ!暴れんな!」
「ゃ………やめ……ろ………」
俺は何とか死力を振り絞って四つん這いの形にはなれた。
だがそれまで。そこから立ち上がるだけの力は残ってなかった。
「黙れっつってんだろ!」
「うぐっ!?」
「!」
ドズン!と鈍い音とともに男がユリアの鳩尾を殴る。
「う、ァ………!」
「たく…………まぁ気絶くらいなら許してくれんだろ」
男はユリアの目の前で火球を作り始めた。
「ひっ!?」
ユリアが小さく悲鳴を上げる。ユリアも能力が使えないため、抵抗する術が無い。
想定しうる最悪の事態が今、目の前で起ころうとしている。
(…………させてたまるか)
洋斗は前進にありったけの力を込めた。
(俺の前で大事な人を失わないって、決めたんだ…………)
頭をよぎるのは、あの景色。
焼け野原の中、俺の前で
友達が隣のおっちゃんが母さんが父さんが…………
そして今、ユリアが。
(あんなことは二度と起こさせないって決めた!)
脳が揺れて視界がグラつく。
頭の右半分が焼けるように熱い。
───それでも
洋斗は前に進もうと足に精一杯の力を込める。
(あの時は何も出来なかった。けど、今度は止める!)
ギリギリと、つま先が悲鳴を上げる。
(間に合え。届けこの手!届け……………!!)
「ぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
その時、
限界まで力のこもったつま先から、
バチッ、と電流が走った。
そのまま足に込めていた力を解放し、一気に前へ駆け出す。
───瞬間。
景色がまたたく間に後方へ流れる───そんな感覚を得る暇もないほどの刹那の時間の先に。
目の前に男の顔面があった。
未だに洋斗の方さえ見ていない。
俺はその男の頬に合わせて握り拳を合わせた。
「ふぐェ!?!」
男は顔が一発でひしゃげて向こう側の壁にノーバウンドで吹っ飛び、校舎の壁を何枚も突き破り、校舎の外へ吹き飛んだ。
一方で洋斗の身体も勢いが止められず、壁に投げつけた人形のように壁に衝突する。
「ゴホッ……ぅ…………」
流石にここで限界だった。
「ひ、洋斗君!!」
遠くでユリアの声が聞こえるが、ここまでだ。
俺の意識が、ゆっくりと遠のいていく…………………
………………
………
。
~~~~~~~~~~~~~~
…………。
ようやく『起きて』くれたか。
これで僕も
外に出られる
これで君を
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