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ツインソウルとの別れ

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するとまさかの事態が起こった。

ツインくんからメッセージが入ったのだ。
私は驚いた。連絡出来る状態にないから連絡してこれないと思っていたから。
まさか本人から連絡くるとは思わなかった。

『元勤務先行った?勘弁して。もう連絡しないで。きついから』

なんで、なんで。
状況についていけなかった。
連絡出来たのにしなかったの?
意味が分からない。

『ずっと心配してた。別れたいってこと?』
私は冷静になれず返した。

『そう』

『理由を言って』

『癌が全身に転移して喉に転移もして声が出ない。時間の問題だから』



…うそ。なんで。
私は涙が溢れながら返事をした。

『その日まで一緒にいようよ』
本心だ。最後まで一緒にいたい。

『旦那さんと同じような想いさせたくない。愛してるからこそ頼む。傷つけたくない』

『やだよ、旦那のことがあるからこそ後悔ないようにしたいんだよ』

『感謝してる。今あやはさん泣きながらこのメッセージ打ってるでしょ?俺もそう』

『どこにいるの?会いたいよ』

『勘弁して』

なんで、なんで会わせてくれないの。

『どこにいるの。家族に繋いでよ』

『むーちゃんはいつも通り?気にしてる』

『むーちゃんはずっとツインくんからの電話待ってるよ』

『悪いことしちゃったな、電話出来なくて』

ツインくんの声はもう出ないの?なんで?
あんなに毎日何回も話していたのに。
大好きな声。もう聞けないの?
頭が追いつかない。

『なんで居場所知らせたくないの?』

『誰にも迷惑かけたくない。だから探さないで。会社にも知り合いにも家族にも聞かないで』

『愛してるから別れたくない。余命が1日でもあるならその日まで一緒にいたい。まだ何も出来てない』

『充分支えてくれたよ』

ツインくんは愛してるからこそ何もさせたくないと言う。
私は愛してるからこそ看取りたいと思う。
この3週間私が心配していたのは分かっていたけど伝えられなかったのだろう。

『分かったよ。もう別れるとか別れないとかどうでもいい。私達のことが負担で荷をおろして生きたいならそれでいい。望むように生きて。だけど何かあったか、状況がどうかだけは知りたいから家族に繋いで』

私は必死に言った。
何も知らされない状況はほんとに苦しかったから。
だけど、そのあとに言われた言葉で私の糸は切れた。

『ごめん、時間ちょうだい。これからどうするか考えるから。元会社まで行かれたりすると身の危険感じる。家族も怖がってるから』


身の危険?
家族も怖がってる?

何言ってんの?婚約者だよね?
安否気にしておかしいの?
生きてるうちに会いたいって思うことがおかしいの?

毎日の電話、あなたが言ってくれたこと全部何だったの?
私の勘違いだったの?

正直病気や薬のせいで彼の精神状態や脳がどこまで正常なのか分からない。

だけどこの言葉で私の中で何かが終わったんだ。
ただ一つ分かるのは、彼が会いたがってないってこと。
区切りのつけ時。
そう感じた。
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