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お付き合い〜ガン宣告〜

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「それ、ステージとか聞いてるの?」
癌という病名に動揺を隠せないが、助からないわけじゃない。冷静に確認しなければと思った。

「うん。ステージⅡだって。」

ステージⅡ。

末期ではない、まだ望みがある。
とにかく安堵した。
今すぐどうにかなるわけじゃない、助けられる。
助けなきゃ。

正直この時話したことをハッキリと覚えていない。
ただその後家事も手につかないまま何時間も経ってしまったことを覚えている。

電話を切って癌について調べた。
助かる可能性を信じて、、とにかく調べた。

私は体は健康で、親族にも癌を患った人はいなかった。
テレビで見る知識しか知らない。
早期発見が大事なこと。
若いと進行が早いこと。
抗がん剤治療は苦しく髪が抜けること。

そのくらいしか知らない。
自分の身の回りで起こることとは思わなかった。

癌が出来る場所での違いなどは無知だった。
「肺癌は死亡率が1番高い癌」
「循環が早い為進行が早い」

なんで、なんで、なんで。
頭がついてかない。

この瞬間私は壊れた。
とにかく涙が止まらなかった。

どうして。
結婚するって言ったよ。
入学式に一緒に行くって言ったよ。
家も見に行っちゃったよ。
亡くなった夫に誓ったばかりだよ。
私とむーちゃんのことは俺に任せてって。

なんで。なんで。 
私もう2回目はいい。
死別なんてもういい。
ようやく出会えたんだよ。
こんな人後にも先にも出会えないって確信を持って言える人に。
私の人生ってなんなの。
私と出会ったから彼は癌になったの?
ツインソウルの試練のせい?

結婚する。その前向きな未来を考えてからの癌宣告。
天国から地獄。
8日間の連絡取れなかった間にすり減ったメンタルからさらに下に突き落とされた。
私の心は壊れてしまった。






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