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第50話 国王一行、到着
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「い、イウォールさん、これ、お願いしま……す」
「……ああ、うん」
少し早めに来た、トゥーマ、アキラ、ケレヴだが、おおよそ察していた。
『何かあったぞ、あの2人!!!!!』
トゥーマは、すぐにアキラとケレヴを角に呼んだ。
「……どこまでいったか、賭けようぜ」
「ばっか、なに言ってんの!?」
「俺は、一歩、前だな」
「嘘だろ。ヤッてんだろ。……で、アキラどうよ」
「き、キスぐらいじゃない……? あの、マスター・イウォールだよ? 絶対最後まで勇気ないって」
正解は、アキラ。
……なのだが、この正解を聞き出すことはなかなかにできなかった。
なぜなら、今日は、国王が来店する日だ!
昼間は日本以外の国との会談が分刻みで行われており、その打ち上げのような形で、莉子たちの店に来ることになっている。
すべてコンダクターである、清水至が行っているため、今日はイウォールはもちろん、ケレヴたちの出番はない状況となったのだ。
このぎこちない2人だが、準備に関しては滞りない。
むしろ、阿吽の呼吸といえるだろう。
2人それぞれに動きを見て作業を進めているため、トゥーマたちは表の準備をするだけでよかった。
エリシャとカーレンは国王を迎えに行く役となっていたため、18時を過ぎたところで、電話が入る。
『リコ、今から出るわ! 食事お願いね!』
その言葉に合わせて料理の仕上げに入っていく──
今日の料理は、韓国料理だ。
まずはヤンニョムチキンを作っていく。簡単にいうと、唐揚げに甘辛いタレをまとったものだ。
コチュジャンのニンニクが効いた風味のいいチキンだが、今日はピリ辛の日。豆板醤も足し、辛味をアップする。
今は夏だが、鍋料理も準備!
韓国料理のサムゲタンも有名だが、準備に時間がかかるので、今日はスンドゥブ鍋と、カムジャタンとなった。
スンドゥブ鍋はアサリやエビの海鮮出汁に唐辛子の効いたスープ、さらには豆腐が浮かぶ、熱々の鍋になる。
カムジャタンは豚のスペアリブと国王リクエストのじゃがいもがごろっと入った煮物になる。
どちらも美味しい出汁を吸って、たまらないおいしさだ。
あとは、もやし、にんじん、ほうれん草のナムルをはじめ、ナス、大根のナムルも用意した。
白菜キムチも準備万端である。
もう一つ、サムギョプサルも作れるように鉄鍋を用意し、韓国海苔や、サラダ菜も用意し終えると、莉子はひとつ息をつく。
「あとは、チヂミですね……イウォールさん、チヂミの具は?」
「問題ない。青唐辛子とニラ、適宜に切っておいた。これは来てから焼いた方が美味いから、そうしないか?」
2人はいつもの距離でつい話してしまい、サッとあとずさる。
その光景を見ている外野3人は、
『学生かよ!!!!!!』
突っ込んでいた。
「……まじ、もどかしい……オレ、ちょっとエロい空気にしてくる……!」
前のめりのトゥーマの服をアキラが掴む。
「トゥーマ、現実でやろうとすると、それ、すごく無理があると思う。やめて」
「はぁー……見てるだけで、なんかムラムラする」
「ケレヴもですか? 僕もなんですよ……」
「お前ら変態だな」
コソコソしゃべる3人に、イウォールの声がかかった。
「おい、何話してる? きっとろくでもないことだろうが、鍋など運んでくれ!」
「イウォール、八つ当たりはねぇだろ?」
ケレヴの声にイウォールは睨むが、それには言い返さなかった。
今できている料理が並べ終わったとき、外から少し騒がしい声がする。
「到着したんでしょうか」
莉子がカウンターから出たとき、扉がドバーンと開かれた。
「私たちが来たわーーーー! 辛っ! 空気が辛いっ! リコ、辛いわ!!!」
「今日はスタミナたっぷり辛い料理です。乾杯はシャンパンで。あとはロゼを数種類用意してます」
エリシャの後ろから、ゆっくりと入ってきたのは、ラフなシャツにパンツ姿のエルフの男性、それにカーレンと手を繋いで来たのは、ストライプのワンピースを着た銀髪の女性だ。彼女はとても胸が大きい。久しぶりの巨乳に目が止まる。
彼らをすり抜けるように入ってきたのは、中継で子どもと思っていた青年だ。トゥーマやアキラたちよりは幼い顔つきだが、190㎝は超えるだろう、モデル体型&モデルフェイス。
そんな彼はすぐにトゥーマを見つけ、ハグをする。だがすぐに不機嫌に顔を歪めた。
「トゥーマ、お前、めっちゃ卑怯だ、全く! ボクだって楽しくお祝いしたかった!」
「いやーだってさー、めんどいじゃんよ。あ、彼女がリコ。エルフ語わかるから、そのまましゃべってみ」
莉子の元に連れてこられた彼は、すぐに膝を着いた。
「私は第三国王、エスガル。この度」
「かたい。めっちゃかたい、エスガル。リコ、ドン引き」
トゥーマに無理やり立ち上がらされたことを、口をとがらせ怒るエスガルに、莉子はエプロンで手を拭き直してから差し出した。
「あの、初めまして、私はこの店のオーナーの莉子です。今日、楽しんでいただけたら嬉しいです」
「ありがとう、リコ」
エスガルは莉子の手を握り、そのまま自身の額につけようとした瞬間、イウォールの手が莉子の手をさらっていく。
「リコ、ガンディアにも挨拶を……」
「え、あ、はい」
その様子に、トゥーマとアキラとエスガルは、
「「「露骨じゃね?」」」
口を揃える。
その割にはすぐに離れるイウォールに、トゥーマとアキラは舌打ちをする。
もっとくっつけよ! という意味だ。
だが、エスガルは腕を組みながら、なにやらつぶやき、頷いている。
「あのマスター・イウォールが本当に人を好きになったのか……なんか、感慨深い。あのただただ厳しいだけだった人に、人を愛する心なんてあったんだ……」
「それは僕も思う。あのマスター・イウォールだからね……」
「お前ら知らねーんだなぁー、イウォールの過去」
ギュルンと音が鳴る。
エスガルとアキラの目はトゥーマを見つめるが、トゥーマはニヤリと唇を釣り上げ、
「3人で飲み行ったときな」
強い握手を交わす3人がいる。
一方、少し離れたところで、ガンディアとスルニスが莉子に挨拶をしていた。
「私が第一国王のガンディアだ。チュウニと呼んで欲しい」
「昨日からお聞きしてましたが、チュウニって……」
「『幼い心と夢を忘れない大きな人』という意味だ」
自信満々にこたえたガンディアの後ろから、ため息混じりに出てきたのは、日本人の男性だ。
「俺がコンダクターの清水至。チュウニはチュウニって意味だけど、俺がまあ、……前向きに説明してから、ずぅーっと気に入って使ってる……気にしないで」
「初めまして。イタルは、わたくしの夫でもあるの、よろしくね。わたくしは、第二国王のスルニス。カーレンとは友だちで、ここに来るまでに、あなたのこと、たくさん聞いたわ」
手を繋いだままのカーレンが、少し顔を赤らめながら莉子に言う。
「……たくさん、リコのこと話したよ……すごく素敵な人間だって……」
「だから、会うのがとっても楽しみだったの!」
一歩近づいてくれたスルニスだが、顔にベールがかけられて、表情が見えない。
「魔力がある人は、私の目を見ると倒れることがあって、ベールをかけたままでごめんなさい」
口元だけめくり、にっこりと微笑んだスルニスに、莉子は思わず釘付けになる。
目を見なくてもわかる!
壮絶な美人さんだ……!
「あ、イウォールさんも魔力高いんですよね? ヴェールしなくても平気なんですか?」
つい、いつもの調子で話しかけてしまい、莉子の顔が微妙にヒクつく。
「私はスルニス様ほどはない……装飾で魔力を抑えてもある。問題ないよ、リコ」
「……そう、なん、ですね。あ、残りの料理、作ってきます。え、あ、イウォールさんは、ここで、お願いしますっ」
ぴゅーんと音がなるほどの速さで厨房に消えた莉子をガンディアは視線で追ってから、イウォールに向いた。
「イウォール、例の彼女だろ?」
「……あ、は、はい。あ、今、乾杯の準備をします」
いつものように、無表情で準備をしていくイウォールだが、ガンディアはそれを見ながらふんと鼻を鳴らす。
「アレ、なんかあったな。イタル、どう思う?」
「いや、悪い感じには見えないんだけど」
「あなたたち、イウォールにはお世話になってるんだから、ちょっと良い感じになるように、手伝ってあげなさいよ」
「「それは、スルニスもだろ」」
3人でふんと鼻を鳴らすが、まずは料理を楽しまねばならない!
だって、目の前には、それはそれは辛そうな真っ赤な料理が並んでいるのだから───
「……ああ、うん」
少し早めに来た、トゥーマ、アキラ、ケレヴだが、おおよそ察していた。
『何かあったぞ、あの2人!!!!!』
トゥーマは、すぐにアキラとケレヴを角に呼んだ。
「……どこまでいったか、賭けようぜ」
「ばっか、なに言ってんの!?」
「俺は、一歩、前だな」
「嘘だろ。ヤッてんだろ。……で、アキラどうよ」
「き、キスぐらいじゃない……? あの、マスター・イウォールだよ? 絶対最後まで勇気ないって」
正解は、アキラ。
……なのだが、この正解を聞き出すことはなかなかにできなかった。
なぜなら、今日は、国王が来店する日だ!
昼間は日本以外の国との会談が分刻みで行われており、その打ち上げのような形で、莉子たちの店に来ることになっている。
すべてコンダクターである、清水至が行っているため、今日はイウォールはもちろん、ケレヴたちの出番はない状況となったのだ。
このぎこちない2人だが、準備に関しては滞りない。
むしろ、阿吽の呼吸といえるだろう。
2人それぞれに動きを見て作業を進めているため、トゥーマたちは表の準備をするだけでよかった。
エリシャとカーレンは国王を迎えに行く役となっていたため、18時を過ぎたところで、電話が入る。
『リコ、今から出るわ! 食事お願いね!』
その言葉に合わせて料理の仕上げに入っていく──
今日の料理は、韓国料理だ。
まずはヤンニョムチキンを作っていく。簡単にいうと、唐揚げに甘辛いタレをまとったものだ。
コチュジャンのニンニクが効いた風味のいいチキンだが、今日はピリ辛の日。豆板醤も足し、辛味をアップする。
今は夏だが、鍋料理も準備!
韓国料理のサムゲタンも有名だが、準備に時間がかかるので、今日はスンドゥブ鍋と、カムジャタンとなった。
スンドゥブ鍋はアサリやエビの海鮮出汁に唐辛子の効いたスープ、さらには豆腐が浮かぶ、熱々の鍋になる。
カムジャタンは豚のスペアリブと国王リクエストのじゃがいもがごろっと入った煮物になる。
どちらも美味しい出汁を吸って、たまらないおいしさだ。
あとは、もやし、にんじん、ほうれん草のナムルをはじめ、ナス、大根のナムルも用意した。
白菜キムチも準備万端である。
もう一つ、サムギョプサルも作れるように鉄鍋を用意し、韓国海苔や、サラダ菜も用意し終えると、莉子はひとつ息をつく。
「あとは、チヂミですね……イウォールさん、チヂミの具は?」
「問題ない。青唐辛子とニラ、適宜に切っておいた。これは来てから焼いた方が美味いから、そうしないか?」
2人はいつもの距離でつい話してしまい、サッとあとずさる。
その光景を見ている外野3人は、
『学生かよ!!!!!!』
突っ込んでいた。
「……まじ、もどかしい……オレ、ちょっとエロい空気にしてくる……!」
前のめりのトゥーマの服をアキラが掴む。
「トゥーマ、現実でやろうとすると、それ、すごく無理があると思う。やめて」
「はぁー……見てるだけで、なんかムラムラする」
「ケレヴもですか? 僕もなんですよ……」
「お前ら変態だな」
コソコソしゃべる3人に、イウォールの声がかかった。
「おい、何話してる? きっとろくでもないことだろうが、鍋など運んでくれ!」
「イウォール、八つ当たりはねぇだろ?」
ケレヴの声にイウォールは睨むが、それには言い返さなかった。
今できている料理が並べ終わったとき、外から少し騒がしい声がする。
「到着したんでしょうか」
莉子がカウンターから出たとき、扉がドバーンと開かれた。
「私たちが来たわーーーー! 辛っ! 空気が辛いっ! リコ、辛いわ!!!」
「今日はスタミナたっぷり辛い料理です。乾杯はシャンパンで。あとはロゼを数種類用意してます」
エリシャの後ろから、ゆっくりと入ってきたのは、ラフなシャツにパンツ姿のエルフの男性、それにカーレンと手を繋いで来たのは、ストライプのワンピースを着た銀髪の女性だ。彼女はとても胸が大きい。久しぶりの巨乳に目が止まる。
彼らをすり抜けるように入ってきたのは、中継で子どもと思っていた青年だ。トゥーマやアキラたちよりは幼い顔つきだが、190㎝は超えるだろう、モデル体型&モデルフェイス。
そんな彼はすぐにトゥーマを見つけ、ハグをする。だがすぐに不機嫌に顔を歪めた。
「トゥーマ、お前、めっちゃ卑怯だ、全く! ボクだって楽しくお祝いしたかった!」
「いやーだってさー、めんどいじゃんよ。あ、彼女がリコ。エルフ語わかるから、そのまましゃべってみ」
莉子の元に連れてこられた彼は、すぐに膝を着いた。
「私は第三国王、エスガル。この度」
「かたい。めっちゃかたい、エスガル。リコ、ドン引き」
トゥーマに無理やり立ち上がらされたことを、口をとがらせ怒るエスガルに、莉子はエプロンで手を拭き直してから差し出した。
「あの、初めまして、私はこの店のオーナーの莉子です。今日、楽しんでいただけたら嬉しいです」
「ありがとう、リコ」
エスガルは莉子の手を握り、そのまま自身の額につけようとした瞬間、イウォールの手が莉子の手をさらっていく。
「リコ、ガンディアにも挨拶を……」
「え、あ、はい」
その様子に、トゥーマとアキラとエスガルは、
「「「露骨じゃね?」」」
口を揃える。
その割にはすぐに離れるイウォールに、トゥーマとアキラは舌打ちをする。
もっとくっつけよ! という意味だ。
だが、エスガルは腕を組みながら、なにやらつぶやき、頷いている。
「あのマスター・イウォールが本当に人を好きになったのか……なんか、感慨深い。あのただただ厳しいだけだった人に、人を愛する心なんてあったんだ……」
「それは僕も思う。あのマスター・イウォールだからね……」
「お前ら知らねーんだなぁー、イウォールの過去」
ギュルンと音が鳴る。
エスガルとアキラの目はトゥーマを見つめるが、トゥーマはニヤリと唇を釣り上げ、
「3人で飲み行ったときな」
強い握手を交わす3人がいる。
一方、少し離れたところで、ガンディアとスルニスが莉子に挨拶をしていた。
「私が第一国王のガンディアだ。チュウニと呼んで欲しい」
「昨日からお聞きしてましたが、チュウニって……」
「『幼い心と夢を忘れない大きな人』という意味だ」
自信満々にこたえたガンディアの後ろから、ため息混じりに出てきたのは、日本人の男性だ。
「俺がコンダクターの清水至。チュウニはチュウニって意味だけど、俺がまあ、……前向きに説明してから、ずぅーっと気に入って使ってる……気にしないで」
「初めまして。イタルは、わたくしの夫でもあるの、よろしくね。わたくしは、第二国王のスルニス。カーレンとは友だちで、ここに来るまでに、あなたのこと、たくさん聞いたわ」
手を繋いだままのカーレンが、少し顔を赤らめながら莉子に言う。
「……たくさん、リコのこと話したよ……すごく素敵な人間だって……」
「だから、会うのがとっても楽しみだったの!」
一歩近づいてくれたスルニスだが、顔にベールがかけられて、表情が見えない。
「魔力がある人は、私の目を見ると倒れることがあって、ベールをかけたままでごめんなさい」
口元だけめくり、にっこりと微笑んだスルニスに、莉子は思わず釘付けになる。
目を見なくてもわかる!
壮絶な美人さんだ……!
「あ、イウォールさんも魔力高いんですよね? ヴェールしなくても平気なんですか?」
つい、いつもの調子で話しかけてしまい、莉子の顔が微妙にヒクつく。
「私はスルニス様ほどはない……装飾で魔力を抑えてもある。問題ないよ、リコ」
「……そう、なん、ですね。あ、残りの料理、作ってきます。え、あ、イウォールさんは、ここで、お願いしますっ」
ぴゅーんと音がなるほどの速さで厨房に消えた莉子をガンディアは視線で追ってから、イウォールに向いた。
「イウォール、例の彼女だろ?」
「……あ、は、はい。あ、今、乾杯の準備をします」
いつものように、無表情で準備をしていくイウォールだが、ガンディアはそれを見ながらふんと鼻を鳴らす。
「アレ、なんかあったな。イタル、どう思う?」
「いや、悪い感じには見えないんだけど」
「あなたたち、イウォールにはお世話になってるんだから、ちょっと良い感じになるように、手伝ってあげなさいよ」
「「それは、スルニスもだろ」」
3人でふんと鼻を鳴らすが、まずは料理を楽しまねばならない!
だって、目の前には、それはそれは辛そうな真っ赤な料理が並んでいるのだから───
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