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第2章 カフェから巡る四季
第131話 鶏ムネの挟み焼き(ほうれん草とチーズ入り)
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鶏肉だってメイン料理にしっかりなるのです!
「パサパサで食えたもんじゃねーよ」
とほざいた三井のために、莉子は本日、鶏むね肉料理を作ることに決定。
「ワインはロゼにしよ」
在庫整理も兼ねてだが、春らしいと仕入れたロゼがまだある。
それを冷蔵庫に入れ、温度管理をしつつ、調理の準備だ。
今回はボリュームを出すために、鶏むねを1枚どかんと使って行こうと考えているが、火の入り方にムラが出やすい料理のため、ここは慎重に考えようと、鶏むねをひっくり返して眺めてみる。
「今日は、肉と皮のところにほうれん草を詰めたいので……できれば全部均一がいいよね……」
鶏むねはいびつなハート形になっていることが多い。
皮も使いたいため、♡の上の部分を中心に使っていくことにする。
尖った下の部分ももちろん使う。
そちらは上と下で二等分し、ハンバーガーのように挟んで焼くことに決める。
「……大きい方だけでいいか。ハンバーガータイプのは、私の夜食にしよー」
各鶏むね肉に、塩胡椒と軽く酒をふりかけ、なじませておくと、詰め物の準備だ。
ほうれん草を下茹でしたものと、チーズを挟むだけ!
それだけ。
「めっちゃ、中身簡単」
ただほうれん草は水が出やすいため、茹でた後は冷水に取り、水気をしっかり切っておく。
「他は……サツマイモのサラダ……と、……あ、タコと枝豆のマリネ、……でー、カレーリゾットにしよ」
全て本日の余り物である。
20時に来店、と予告があったとおりに三井は来店した。
彼女の星川もいる。
「久しぶり、莉子ちゃん」
「お久しぶりです」
カウンターの席に着いた星川におしぼりと水を渡しつつ、横にどかりと座った三井に莉子は言う。
「今日は、うまい鶏むね、食べさせてやりますよ……!」
「言うじゃねぇか」
「ね、莉子ちゃん、その作り方、教えてもらってもいい?」
「いいですよー。めっちゃ簡単なんで」
さっそくと、いい具合に冷えたロゼワインを2人へ差し出した。
「今日はちょっと軽い感じって聞いたので、ロゼで」
「あら、ちょっと大人っぽい色ね」
薄紅色だが、少し茶色にも見える。
熟成が進んでいる証拠でもある。
香りにも重厚感があり、ゆっくりと味わいながら飲めるロゼだ。
莉子はさらにタコのマリネと、サツマイモのサラダを出し、厨房へと引っ込んだ。
バットには程よく常温の鶏むね肉がある。
莉子はそこに、みじん切りしたニンニクと、ほうれん草、そしてピザ用チーズをはさんでいく。
切り込みの中にしっかりはさみ、皮のなかにも入れていく。
フライパンをしっかり熱したあと、皮側から、蓋をして蒸しながらじっくり火を入れていく。
パリッと焼き目がついたら、ひっくり返し、10分を目安にじっくり焼いていく。
「もうすぐメインできますんで」
減ったグラスにワインを注ぐと、星川が笑う。
「聞いて、莉子ちゃん、三井くんね、ずっと言うのよ。鶏むねなんて、パサパサだって」
「あんなもん、パッサパサだろ」
「でもね、よくチキンサラダとかあるじゃない。あれはしっとりでしょ?」
「お前、それとこれは違うだろ」
わーわーと2人の掛け合いを見ながら、仲の良さを感じ、ほっこりしたところで、ブザーがなった。
焼きあがったぞ、という合図だ。
蓋を開けると、ふわりとチーズの香りが。焦げたチーズの箇所もあり、とても美味しそうだ。
フライ返しでつついてみるが、適度な弾力があり、火がしっかり通っているのがわかる。
大きめの皿にそれを盛り付けると、ハニーマスタードと、粒マスタードを添えて2人へ運んでいく。
「今日のメインです。鶏むね肉のほうれん草とチーズの挟み焼きです」
ボリュームがあるからか、星川の目がおおっと光る。
「食べきれるかしら」
「残しても構いませんので」
三井は何も言わずに、ナイフを差し込んだ。
肉はしっとりとし、肉汁が溢れてくる。ちょうどいい火の通り方だ。
パサパサは全くなく、ほどけるようなお肉とともに、ニンニクのいい風味と食感が違うほうれん草、そして、溶けたチーズの塩気がたまらない!
「……うまいな」
「ほらー。ほうれん草がいいアクセントよね? ね、莉子ちゃん、作り方教えてよ」
「いいですよ。挟んで焼くだけなんで、めっちゃ簡単ですから」
ほどよく更けたカフェ。
灯りも落とした店内だが、明るい会話がまだまだ続きそうだ。
「パサパサで食えたもんじゃねーよ」
とほざいた三井のために、莉子は本日、鶏むね肉料理を作ることに決定。
「ワインはロゼにしよ」
在庫整理も兼ねてだが、春らしいと仕入れたロゼがまだある。
それを冷蔵庫に入れ、温度管理をしつつ、調理の準備だ。
今回はボリュームを出すために、鶏むねを1枚どかんと使って行こうと考えているが、火の入り方にムラが出やすい料理のため、ここは慎重に考えようと、鶏むねをひっくり返して眺めてみる。
「今日は、肉と皮のところにほうれん草を詰めたいので……できれば全部均一がいいよね……」
鶏むねはいびつなハート形になっていることが多い。
皮も使いたいため、♡の上の部分を中心に使っていくことにする。
尖った下の部分ももちろん使う。
そちらは上と下で二等分し、ハンバーガーのように挟んで焼くことに決める。
「……大きい方だけでいいか。ハンバーガータイプのは、私の夜食にしよー」
各鶏むね肉に、塩胡椒と軽く酒をふりかけ、なじませておくと、詰め物の準備だ。
ほうれん草を下茹でしたものと、チーズを挟むだけ!
それだけ。
「めっちゃ、中身簡単」
ただほうれん草は水が出やすいため、茹でた後は冷水に取り、水気をしっかり切っておく。
「他は……サツマイモのサラダ……と、……あ、タコと枝豆のマリネ、……でー、カレーリゾットにしよ」
全て本日の余り物である。
20時に来店、と予告があったとおりに三井は来店した。
彼女の星川もいる。
「久しぶり、莉子ちゃん」
「お久しぶりです」
カウンターの席に着いた星川におしぼりと水を渡しつつ、横にどかりと座った三井に莉子は言う。
「今日は、うまい鶏むね、食べさせてやりますよ……!」
「言うじゃねぇか」
「ね、莉子ちゃん、その作り方、教えてもらってもいい?」
「いいですよー。めっちゃ簡単なんで」
さっそくと、いい具合に冷えたロゼワインを2人へ差し出した。
「今日はちょっと軽い感じって聞いたので、ロゼで」
「あら、ちょっと大人っぽい色ね」
薄紅色だが、少し茶色にも見える。
熟成が進んでいる証拠でもある。
香りにも重厚感があり、ゆっくりと味わいながら飲めるロゼだ。
莉子はさらにタコのマリネと、サツマイモのサラダを出し、厨房へと引っ込んだ。
バットには程よく常温の鶏むね肉がある。
莉子はそこに、みじん切りしたニンニクと、ほうれん草、そしてピザ用チーズをはさんでいく。
切り込みの中にしっかりはさみ、皮のなかにも入れていく。
フライパンをしっかり熱したあと、皮側から、蓋をして蒸しながらじっくり火を入れていく。
パリッと焼き目がついたら、ひっくり返し、10分を目安にじっくり焼いていく。
「もうすぐメインできますんで」
減ったグラスにワインを注ぐと、星川が笑う。
「聞いて、莉子ちゃん、三井くんね、ずっと言うのよ。鶏むねなんて、パサパサだって」
「あんなもん、パッサパサだろ」
「でもね、よくチキンサラダとかあるじゃない。あれはしっとりでしょ?」
「お前、それとこれは違うだろ」
わーわーと2人の掛け合いを見ながら、仲の良さを感じ、ほっこりしたところで、ブザーがなった。
焼きあがったぞ、という合図だ。
蓋を開けると、ふわりとチーズの香りが。焦げたチーズの箇所もあり、とても美味しそうだ。
フライ返しでつついてみるが、適度な弾力があり、火がしっかり通っているのがわかる。
大きめの皿にそれを盛り付けると、ハニーマスタードと、粒マスタードを添えて2人へ運んでいく。
「今日のメインです。鶏むね肉のほうれん草とチーズの挟み焼きです」
ボリュームがあるからか、星川の目がおおっと光る。
「食べきれるかしら」
「残しても構いませんので」
三井は何も言わずに、ナイフを差し込んだ。
肉はしっとりとし、肉汁が溢れてくる。ちょうどいい火の通り方だ。
パサパサは全くなく、ほどけるようなお肉とともに、ニンニクのいい風味と食感が違うほうれん草、そして、溶けたチーズの塩気がたまらない!
「……うまいな」
「ほらー。ほうれん草がいいアクセントよね? ね、莉子ちゃん、作り方教えてよ」
「いいですよ。挟んで焼くだけなんで、めっちゃ簡単ですから」
ほどよく更けたカフェ。
灯りも落とした店内だが、明るい会話がまだまだ続きそうだ。
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