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第2章 カフェから巡る四季
第120話 ラムチョップを焼く
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持込ワインが、ブルゴーニュのピノ・ノワール、ではなく、ニュージーランドのピノ・ノワールだという。
それならと、ニュージーランドのラムチョップを仕入れ、合わせることに莉子は決めた。
本日は、三井と巧のふたりでの来店。
たまたま巧が入手し、ラム肉が食べたかった三井がくっついてきた流れだ。
瑞樹は優とデート、連藤は関西の方へ出張とあって、タイミングが合わなかったのである。
「今日のメインはラムチョップ。前菜出していきますね」
葉野菜のチーズサラダ、生ハムとピクルスのピンチョス、クリームチーズのクラッカーのせと出していくと、三井は不満顔だ。
「肉、食いたいんだが」
「一応、コースのように考えてましたが、ドンと出していいなら出しますけど」
「やめて、莉子さん! こいつ、ひたすら食うだけになる! せっかく、ニュージーの良いピノだから、ゆっくり味わいたい!」
「ここは、巧くんを優先しますねー」
きのこのキッシュを出したところで、ラムチョップを焼いていく。
先ほど、1杯だけいただいたのだが、莉子の口の中に、ほどよくピノ・ノワールの香りが残っている。
ほどよい渋み、エレガントな果実味も感じる。南の方だからか、ブルゴーニュの繊細でエレガントな味、というより、好奇心旺盛なお姫様のような、元気のあるピノ・ノワールだった。
「少しハーブを効かせてもいいかも」
莉子は生のローズマリーをオリーブオイルに転がし、ラムチョップの脂の面から焼いていく。
強めの火でじっくりと焼き、しっかり脂の臭みが抜けたら、面を焼いていく。
このときはじっと弱火だ。
じっくり、じっくり火を入れながら、あとはつついて、肉のはね返りで、焼き具合を見ていく。
となりのフライパンでは、インゲンのロースト、さらにとなりのフライヤーではポテトが揚げられている。
いい弾力になったところで、アルミホイルで肉を包み放置。
温めた皿を用意し、そこへインゲンとポテト、休ませたラムチョップをのせ、完成だ。
味付けは濃いめにしてあるため、マスタードと岩塩を添えてふたりの元へ。
皿を運ぶ莉子を見て、三井の目が輝いた。
「俺はめっちゃ待ってたぞ!」
「オレも待ってたー!」
ふたりの前へ皿を置くと、速攻でフォークが刺さり込む。ナイフでそっと切ると、桜色の肉が現れる。
慣れた手つきで、皿のふちにのせられたマスタードをつけ、口に運ぶ。そこへすかさずワイン!
「「……うまい!」」
いい色のラムチョップに安心しながら、莉子が厨房に戻ろうとすると、手が握られた。
巧だ。
「ねー、莉子さん、まだー? これさ、莉子さんと飲みたくて入手したんだけど? 自分の分も肉、焼いてんでしょ?」
巧の優しさと、先読みの力には感服である。
「ありがとうございます! おふたりのパンを用意してからいただきますね」
ちょうど後方のオーブンが、チンと音を立てた。
温めておいたパンができたのだ。
常温のバターを添えて、ふたりに差し出し、莉子も席に着く。
「改めて、莉子さん、いつもありがとうー! これ、一応、ホワイトデーのお返しだから」
ゆっくりと2杯目のワインが注がれる。
だが、1杯目とは香りが違う。
もっとふくよかな香りが立っている。
「ありがとうございます。……それでは私もいただきます」
すでにクローズとなった店内だが、温かなライトで包まれて、ゆったりとした時間が流れている。
こういうカフェの過ごし方も、いいものだ。
莉子は最高のラム肉を頬張り、最高のワインを飲み込んだ。
それならと、ニュージーランドのラムチョップを仕入れ、合わせることに莉子は決めた。
本日は、三井と巧のふたりでの来店。
たまたま巧が入手し、ラム肉が食べたかった三井がくっついてきた流れだ。
瑞樹は優とデート、連藤は関西の方へ出張とあって、タイミングが合わなかったのである。
「今日のメインはラムチョップ。前菜出していきますね」
葉野菜のチーズサラダ、生ハムとピクルスのピンチョス、クリームチーズのクラッカーのせと出していくと、三井は不満顔だ。
「肉、食いたいんだが」
「一応、コースのように考えてましたが、ドンと出していいなら出しますけど」
「やめて、莉子さん! こいつ、ひたすら食うだけになる! せっかく、ニュージーの良いピノだから、ゆっくり味わいたい!」
「ここは、巧くんを優先しますねー」
きのこのキッシュを出したところで、ラムチョップを焼いていく。
先ほど、1杯だけいただいたのだが、莉子の口の中に、ほどよくピノ・ノワールの香りが残っている。
ほどよい渋み、エレガントな果実味も感じる。南の方だからか、ブルゴーニュの繊細でエレガントな味、というより、好奇心旺盛なお姫様のような、元気のあるピノ・ノワールだった。
「少しハーブを効かせてもいいかも」
莉子は生のローズマリーをオリーブオイルに転がし、ラムチョップの脂の面から焼いていく。
強めの火でじっくりと焼き、しっかり脂の臭みが抜けたら、面を焼いていく。
このときはじっと弱火だ。
じっくり、じっくり火を入れながら、あとはつついて、肉のはね返りで、焼き具合を見ていく。
となりのフライパンでは、インゲンのロースト、さらにとなりのフライヤーではポテトが揚げられている。
いい弾力になったところで、アルミホイルで肉を包み放置。
温めた皿を用意し、そこへインゲンとポテト、休ませたラムチョップをのせ、完成だ。
味付けは濃いめにしてあるため、マスタードと岩塩を添えてふたりの元へ。
皿を運ぶ莉子を見て、三井の目が輝いた。
「俺はめっちゃ待ってたぞ!」
「オレも待ってたー!」
ふたりの前へ皿を置くと、速攻でフォークが刺さり込む。ナイフでそっと切ると、桜色の肉が現れる。
慣れた手つきで、皿のふちにのせられたマスタードをつけ、口に運ぶ。そこへすかさずワイン!
「「……うまい!」」
いい色のラムチョップに安心しながら、莉子が厨房に戻ろうとすると、手が握られた。
巧だ。
「ねー、莉子さん、まだー? これさ、莉子さんと飲みたくて入手したんだけど? 自分の分も肉、焼いてんでしょ?」
巧の優しさと、先読みの力には感服である。
「ありがとうございます! おふたりのパンを用意してからいただきますね」
ちょうど後方のオーブンが、チンと音を立てた。
温めておいたパンができたのだ。
常温のバターを添えて、ふたりに差し出し、莉子も席に着く。
「改めて、莉子さん、いつもありがとうー! これ、一応、ホワイトデーのお返しだから」
ゆっくりと2杯目のワインが注がれる。
だが、1杯目とは香りが違う。
もっとふくよかな香りが立っている。
「ありがとうございます。……それでは私もいただきます」
すでにクローズとなった店内だが、温かなライトで包まれて、ゆったりとした時間が流れている。
こういうカフェの過ごし方も、いいものだ。
莉子は最高のラム肉を頬張り、最高のワインを飲み込んだ。
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