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第2章 カフェから巡る四季
第114話 ワインと柚子胡麻ポン酢
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夜の8時となり、閉店準備を進めながらも、連藤と巧が来店となっていた。
莉子はワインが飲みたいという2人に何を出せるか考えながら、小鍋を用意する。
すでにワインは決まっていた。
トリンバックという、アルザスのワインだ。
トリンバックというと、アルザスの白ワイン・リースリングを思い出す人が多いと思う。
だが、なんとピノ・ノワールで造った赤ワインがあるのだ。
たまたま見かけて購入してみたのだが、程よい酸味とジャムのような風味があり、柚子の風味に似合うワインだ。
さらにピノ・ノワールは出汁にも合う。
「よーし、今日は牛のしゃぶしゃぶだから、牛肉となんにしようかな……」
豪華に見せかけた、お手軽な鍋、牛しゃぶを準備していく───
「ただいまー!」
21時をまわり、勢いよく入って来たのは巧だ。
そのあとにゆっくりと連藤がドアをくぐる。
「おかえりなさい。お2人ともお疲れ様でした」
2人のコートを預かり、ハンガーにかけていると、巧はカウンターに突っ伏した。
「あーーーーーもーーーーー疲れたーーーーー」
「確かに今日の会議は骨が折れたな」
隣に座った連藤の背も、今日はくたびれて見える。
「夜なのもあるんで、牛しゃぶにしました。野菜も食べて、ワインも飲んで、リフレッシュしてください」
2人用の鍋をカセットコンロで火にかける。
昆布が沈んだ鍋の横には、1人ずつ、肉と各種野菜の皿が置かれた。
そして小鉢には胡麻ポン酢だ。
「オレ、ふつーのがいい」
「そう言わず。今日のは柚子がきいてて、ワインに合うんです」
莉子はほどよい温度にならしたボトルを取り出した。
「ほっそ! え? それ、リースリングじゃない? 撫で肩の瓶だもん」
「巧くんも学んできましたね。そうなんです、リースリングも造っているんですが、ピノ・ノワールも造ってるんです!」
2人のグラスに注ぐと、明るめのガーネット色がグラスに広がる。
連藤はグラスをそっと取り上げ、グラスを回した。
「いちごジャムみたいな香りがする……」
「マジ?」
くんくん匂いをかぐ2人を眺めながら、莉子も1杯いただく。
ジャムの香り、ベリーの雰囲気もあるが、フレッシュさも感じられる素敵なピノだ。
「じゃあ、お2人とも、お疲れ様でした」
莉子がいうと、2人も小さくグラスを掲げ、
「「お疲れ様でした」」
そっと口に含む。
「おー……すげぇ……ちょっと想像したピノと違うかも? でも渋みも軽めで、めっちゃ飲みやす!」
「ああ、これは軽めでいいな。飲みやすいし、余韻もいい」
「よかったです」
莉子はしゃぶしゃぶ以外に、各種チーズと、ナスの煮浸しを運んでくる。
その間に、2人は和やかにしゃぶしゃぶしていた。
「いやー、今日のやばかったなぁー。連藤いてよかったわー」
「なに。俺がいなくても、巧一人でどうにかなっただろ」
「無理だって」
ちょっと前まで、いつも巧が怒られていたのに、いつの間にか対等な立場になっていたなんて……!
莉子が感動すら覚えたとき、2人から歓声が上がった。
柚子胡麻ポン酢につけた牛肉を頬張り、ワインを飲んだ瞬間だ。
「「うまい!!」」
小鉢を並べる莉子に、2人が変わるがわるにしゃべってくる。
「莉子さん、鬼ヤバ! なにこの柚子の風味とピノって合うの?」
「柚子の余韻がワインで長くなる! こんなことあるのか!?」
「はいはい。あるみたいです」
莉子は、味見用によけておいた牛しゃぶを柚子胡麻ポン酢でひと口頬張る。
「……おいしー。和食とワインの合わせって、マッチしたとき感動大きいですよねー」
莉子の呟きに2人は首が取れるほど頷いた。
洋食に合わせやすいワインが和食に合ったときの感動は、巧の言葉どおり、鬼ヤバい。
出汁の余韻が広がるのがわかるのも、素晴らしい!!!
「さ、お2人とも、まだお肉ありますから、食べてくださいね」
「ね、莉子さん、〆はー?」
「おうどんにしようかと」
今日も、和やかに夜が更けていく。
莉子はワインが飲みたいという2人に何を出せるか考えながら、小鍋を用意する。
すでにワインは決まっていた。
トリンバックという、アルザスのワインだ。
トリンバックというと、アルザスの白ワイン・リースリングを思い出す人が多いと思う。
だが、なんとピノ・ノワールで造った赤ワインがあるのだ。
たまたま見かけて購入してみたのだが、程よい酸味とジャムのような風味があり、柚子の風味に似合うワインだ。
さらにピノ・ノワールは出汁にも合う。
「よーし、今日は牛のしゃぶしゃぶだから、牛肉となんにしようかな……」
豪華に見せかけた、お手軽な鍋、牛しゃぶを準備していく───
「ただいまー!」
21時をまわり、勢いよく入って来たのは巧だ。
そのあとにゆっくりと連藤がドアをくぐる。
「おかえりなさい。お2人ともお疲れ様でした」
2人のコートを預かり、ハンガーにかけていると、巧はカウンターに突っ伏した。
「あーーーーーもーーーーー疲れたーーーーー」
「確かに今日の会議は骨が折れたな」
隣に座った連藤の背も、今日はくたびれて見える。
「夜なのもあるんで、牛しゃぶにしました。野菜も食べて、ワインも飲んで、リフレッシュしてください」
2人用の鍋をカセットコンロで火にかける。
昆布が沈んだ鍋の横には、1人ずつ、肉と各種野菜の皿が置かれた。
そして小鉢には胡麻ポン酢だ。
「オレ、ふつーのがいい」
「そう言わず。今日のは柚子がきいてて、ワインに合うんです」
莉子はほどよい温度にならしたボトルを取り出した。
「ほっそ! え? それ、リースリングじゃない? 撫で肩の瓶だもん」
「巧くんも学んできましたね。そうなんです、リースリングも造っているんですが、ピノ・ノワールも造ってるんです!」
2人のグラスに注ぐと、明るめのガーネット色がグラスに広がる。
連藤はグラスをそっと取り上げ、グラスを回した。
「いちごジャムみたいな香りがする……」
「マジ?」
くんくん匂いをかぐ2人を眺めながら、莉子も1杯いただく。
ジャムの香り、ベリーの雰囲気もあるが、フレッシュさも感じられる素敵なピノだ。
「じゃあ、お2人とも、お疲れ様でした」
莉子がいうと、2人も小さくグラスを掲げ、
「「お疲れ様でした」」
そっと口に含む。
「おー……すげぇ……ちょっと想像したピノと違うかも? でも渋みも軽めで、めっちゃ飲みやす!」
「ああ、これは軽めでいいな。飲みやすいし、余韻もいい」
「よかったです」
莉子はしゃぶしゃぶ以外に、各種チーズと、ナスの煮浸しを運んでくる。
その間に、2人は和やかにしゃぶしゃぶしていた。
「いやー、今日のやばかったなぁー。連藤いてよかったわー」
「なに。俺がいなくても、巧一人でどうにかなっただろ」
「無理だって」
ちょっと前まで、いつも巧が怒られていたのに、いつの間にか対等な立場になっていたなんて……!
莉子が感動すら覚えたとき、2人から歓声が上がった。
柚子胡麻ポン酢につけた牛肉を頬張り、ワインを飲んだ瞬間だ。
「「うまい!!」」
小鉢を並べる莉子に、2人が変わるがわるにしゃべってくる。
「莉子さん、鬼ヤバ! なにこの柚子の風味とピノって合うの?」
「柚子の余韻がワインで長くなる! こんなことあるのか!?」
「はいはい。あるみたいです」
莉子は、味見用によけておいた牛しゃぶを柚子胡麻ポン酢でひと口頬張る。
「……おいしー。和食とワインの合わせって、マッチしたとき感動大きいですよねー」
莉子の呟きに2人は首が取れるほど頷いた。
洋食に合わせやすいワインが和食に合ったときの感動は、巧の言葉どおり、鬼ヤバい。
出汁の余韻が広がるのがわかるのも、素晴らしい!!!
「さ、お2人とも、まだお肉ありますから、食べてくださいね」
「ね、莉子さん、〆はー?」
「おうどんにしようかと」
今日も、和やかに夜が更けていく。
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・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・
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