80 / 153
第2章 カフェから巡る四季
第80話 炊飯器でリゾット
しおりを挟む
莉子は疲れている。
定休日だったのだが、仕込みで丸一日を費やしたからだ。
「繁盛はありがたいんですけどね……」
言いつつ、炊飯器を開けるが、米もなにもない。
「炊いてなかったっけ」
絶望しつつも、莉子は炊飯器に米を投入し、ふと考える。
何を食べよう、と。
今日は連藤が来ない日だ。
自分しかいないのであれば、好きなものを食べればいいのだが、適当にすると、連藤のお小言がうるさい。
「なんにしよ……」
そう言いつつも、研いだ1合の米に、水を300入れ、コンソメキューブとカットトマトのパックを1つ、玉ねぎの微塵切りを入れてから、適当に塩と胡椒をし、炊飯ボタンを押した。
「これで、多分、リゾットっぽいものができるはず」
あとは冷凍の唐揚げでも食べようと、莉子はソファに腰をおろす。
「なんか、久々に座った気がする」
それもそうだ。
本当に休む暇なく、仕込みをしていたのである。
立ちっぱなしはもちろん、歩き回ってもいたため、体が全く休めていない。
お風呂の準備をしつつ、テレビをぼーーーと見てれば、炊飯器が鳴る。
「できたー!」
蓋をひらき、混ぜてみるが、おこげがある。
「マジで? なんで、焦げるんだよぉ」
ぐるぐるとかきまわし、味見をしつつ、問題ないと判断した莉子は、半分量を皿にもりつけた。
オーブントースターで温めておいた冷凍の唐揚げをのせ、今日の夕飯は完成だ。
「あとは、ビールビール」
ワインは一人では飲み干せないのが一番の難点だ。
莉子はビールと唐揚げ、トマトリゾットでのんびり晩酌だ。
「……なんか、あんまし、ゆっくりできなくてやだなぁ」
莉子はぼやきながらも、新しいメニューのレシピに目をとおしていく。
マンネリになってからでは遅い。
ひと口、リゾットを頬張る。
「意外と美味しい……」
炊飯器でそこそこ美味しいリゾットが食べられるとは思っていなかった。
莉子は感謝しつつ、ビールを飲みつつ、もう少しアレンジできるメニューはないか、と、探していく。
「やっぱ、料理好きなんだな……」
疲れても、料理のことを考え続ける自分に呆れて笑ってしまう。
だが、美味しそうなレシピを見つけてしまった。
手早くノートに書き写していたとき、メッセージが入る。
『莉子さん、しっかり食事をするように』
連藤だ。
莉子は口をとがらせながらも返信だ。
『ちゃんとリゾットと唐揚げ食べてます!』
『それなら良かった
酒はほどほどにな』
またの千里眼に、イラりとするが、莉子はそれ以上の返信をやめた。
今はぬるくなる前にビールを飲み干さなければならないからだ。
ただ……
お互いを思いやれる人がいるって幸せだな。
そう思う。
が、連藤はちょっと細かいと思う。
「連藤さん、お風呂上がりに返信しまーす」
ビール2本目をぷしゅりと開けた。
定休日だったのだが、仕込みで丸一日を費やしたからだ。
「繁盛はありがたいんですけどね……」
言いつつ、炊飯器を開けるが、米もなにもない。
「炊いてなかったっけ」
絶望しつつも、莉子は炊飯器に米を投入し、ふと考える。
何を食べよう、と。
今日は連藤が来ない日だ。
自分しかいないのであれば、好きなものを食べればいいのだが、適当にすると、連藤のお小言がうるさい。
「なんにしよ……」
そう言いつつも、研いだ1合の米に、水を300入れ、コンソメキューブとカットトマトのパックを1つ、玉ねぎの微塵切りを入れてから、適当に塩と胡椒をし、炊飯ボタンを押した。
「これで、多分、リゾットっぽいものができるはず」
あとは冷凍の唐揚げでも食べようと、莉子はソファに腰をおろす。
「なんか、久々に座った気がする」
それもそうだ。
本当に休む暇なく、仕込みをしていたのである。
立ちっぱなしはもちろん、歩き回ってもいたため、体が全く休めていない。
お風呂の準備をしつつ、テレビをぼーーーと見てれば、炊飯器が鳴る。
「できたー!」
蓋をひらき、混ぜてみるが、おこげがある。
「マジで? なんで、焦げるんだよぉ」
ぐるぐるとかきまわし、味見をしつつ、問題ないと判断した莉子は、半分量を皿にもりつけた。
オーブントースターで温めておいた冷凍の唐揚げをのせ、今日の夕飯は完成だ。
「あとは、ビールビール」
ワインは一人では飲み干せないのが一番の難点だ。
莉子はビールと唐揚げ、トマトリゾットでのんびり晩酌だ。
「……なんか、あんまし、ゆっくりできなくてやだなぁ」
莉子はぼやきながらも、新しいメニューのレシピに目をとおしていく。
マンネリになってからでは遅い。
ひと口、リゾットを頬張る。
「意外と美味しい……」
炊飯器でそこそこ美味しいリゾットが食べられるとは思っていなかった。
莉子は感謝しつつ、ビールを飲みつつ、もう少しアレンジできるメニューはないか、と、探していく。
「やっぱ、料理好きなんだな……」
疲れても、料理のことを考え続ける自分に呆れて笑ってしまう。
だが、美味しそうなレシピを見つけてしまった。
手早くノートに書き写していたとき、メッセージが入る。
『莉子さん、しっかり食事をするように』
連藤だ。
莉子は口をとがらせながらも返信だ。
『ちゃんとリゾットと唐揚げ食べてます!』
『それなら良かった
酒はほどほどにな』
またの千里眼に、イラりとするが、莉子はそれ以上の返信をやめた。
今はぬるくなる前にビールを飲み干さなければならないからだ。
ただ……
お互いを思いやれる人がいるって幸せだな。
そう思う。
が、連藤はちょっと細かいと思う。
「連藤さん、お風呂上がりに返信しまーす」
ビール2本目をぷしゅりと開けた。
0
お気に入りに追加
140
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~
白い黒猫
ライト文芸
ここは東京郊外松平市にある希望が丘駅前商店街、通称【ゆうYOU ミラーじゅ希望ヶ丘】。
国会議員の重光幸太郎先生の膝元であるこの土地にある商店街は、パワフルで個性的な人が多く明るく元気な街。就職浪人になりJazzBarを経営する伯父の元で就職活動をしながら働く事になった東明(とうめい)透(ゆき)は、商店街のある仕事を担当する事になり……。
※ 鏡野ゆうさんの『政治家の嫁は秘書様』に出てくる商店街が物語を飛び出し、仲良し作家さんの活動スポットとなってしまいました。その為に同じ商店街に住む他の作家さんのキャラクターが数多く物語の中で登場して活躍しています。鏡野ゆうさん及び、登場する作家さんの許可を得て創作させて頂いております。
コラボ作品はコチラとなっています。
【政治家の嫁は秘書様】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/210140744/354151981
【希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』とその周辺の人々 】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/274274583/188152339
【日々是好日、希望が丘駅前商店街-神神飯店エソ、オソオセヨ(にいらっしゃいませ)】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/177101198/505152232
【希望が丘駅前商店街~看板娘は招き猫?喫茶トムトム元気に開店中~】
https://ncode.syosetu.com/n7423cb/
【希望が丘駅前商店街 ―姉さん。篠宮酒店は、今日も平常運転です。―】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/172101828/491152376
【Blue Mallowへようこそ~希望が丘駅前商店街】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
【希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
【希望が丘駅前商店街~黒猫のスキャット~】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/813152283
Husband's secret (夫の秘密)
設樂理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
『 ゆりかご 』 ◉諸事情で非公開予定ですが読んでくださる方がいらっしゃるのでもう少しこのままにしておきます。
設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。
最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで
くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。
古い作品ですが、有難いことです。😇
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる