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第2章 カフェから巡る四季
第70話 今日は、雨の日ですよ?
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今日は天気予報が大きく外れ、生憎の雨模様。
日曜日の今日は、カフェは15時閉店としていたこともあり、店内では雨音がよく響く。
現在17時となっても灰色の厚い雲から雨が落ちるのは止まっていない。
そんないい天気とも言えないなか、なぜ、彼は嬉々として炭をおこしているのだろう……
「おい、莉子、ぼぅってしるなよ。いろいろやれることあんだろ?」
そう言うのは三井である。
ランニングにスエットという簡素な服装なのだが、彼の引き締まった肉体、淡く焼いた肌、うっすらと流れる汗があるだけで、これほど色気がでるものなのか。
莉子は彼の天性とも言える彼の『色気』に倒れることなく、悪態をつく。
「私は場所の提供者であって、焼肉をしたいと言ったわけではありません」
「焼肉じゃねぇの、バーベキュー。B・B・Q! しょうがねぇだろ、雨降ったんだから。お前んとこなら、外に屋根あるし、問題ないだろ?」
今日はみんなでバーベキューをすることは聞いていた。
お店を休むことはできないので、仕事が終わり次第合流予定だったのだが、まさかカフェで開催させることになるとは思ってもおらず。
何もせずに食べられると思っていたバーベキューを手伝わされ、莉子は少し不機嫌である。
莉子はしぶしぶと、取り皿など彼が持参したものを開封することにした。
火を起こす隣では、連藤が三井の妻のごとく、切って持ってきた食材を手際よく鉄の串に刺している。
肉・肉・玉ねぎ・ピーマン・肉、という具合に、どれも均一に刺ささり、見た目もきれいな挙句、すでに塩胡椒までされているではないか。
連藤は莉子が動き出したのがわかったらしく、手を止めぬまま、莉子に顔を向けると、
「莉子さん、座っていて構わない。場所だけでも貸してもらえて助かってるのに、手伝いまでさせるわけにはいかない」
こう優しく微笑まれたら手伝いたくもなるものだ。
だいたいあのゴツいBBQ奉行は座ってていいぞとは言わないだろう。
小洒落た紙皿や箸を取りだし、テラス用に準備した焼き台も設置した。
三井が持ち込んできたものは、かなり大きなバーベキュー台だ。
蓋が閉めれるもので、網と表現するが鉄格子のごとく太い鉄網が設置された焼台だ。
なので30センチはあるであろう鉄串の肉たちも余裕で焼ける、本格的な焼き台である。
一方、莉子が用意した焼き台は七輪程度の大きさのものだ。
ここで何を焼くかというと、自分が食べたい野菜類である。
きっとあの大きな焼き台にはたくさんのお肉が並べられるのだろう。
そうなればそれほど野菜は焼けないはずだ。
改めて莉子は自分が食べたいズッキーニに玉ねぎ、茄子に塩胡椒をし、オリーブ油を塗って持ってきたのだが、連藤の肉の量といい、炭の量といい、どれほどの人間が来るのだろう?
それに飲み物の準備がされていない───
「三井さん、今日の参加人数を教えてください」
「え? 俺だろ、あと連藤、お前、あとは、巧と瑞樹が何人連れてくるかだなぁ……」
「飲み物はどうするんですか?」
「それは任せておけ。ちゃんと巧と瑞樹が用意してくる、はずだ」
莉子は薄く微笑み、頷いた。
あまり期待しておかないでおこう。
瓶ビールも冷えてあるし、問題はないことを頭のなかで確認し、ひと息つこうとしたとき、
「あ、莉子、ワイン1本ぐらいカンパしろよ」
「場所貸ししてるんですが?」
「肉はいい肉だからな!」
「はぁ」莉子は返事にならない声をあげながら、イタリアワインを冷やしておくことにした。
日曜日の今日は、カフェは15時閉店としていたこともあり、店内では雨音がよく響く。
現在17時となっても灰色の厚い雲から雨が落ちるのは止まっていない。
そんないい天気とも言えないなか、なぜ、彼は嬉々として炭をおこしているのだろう……
「おい、莉子、ぼぅってしるなよ。いろいろやれることあんだろ?」
そう言うのは三井である。
ランニングにスエットという簡素な服装なのだが、彼の引き締まった肉体、淡く焼いた肌、うっすらと流れる汗があるだけで、これほど色気がでるものなのか。
莉子は彼の天性とも言える彼の『色気』に倒れることなく、悪態をつく。
「私は場所の提供者であって、焼肉をしたいと言ったわけではありません」
「焼肉じゃねぇの、バーベキュー。B・B・Q! しょうがねぇだろ、雨降ったんだから。お前んとこなら、外に屋根あるし、問題ないだろ?」
今日はみんなでバーベキューをすることは聞いていた。
お店を休むことはできないので、仕事が終わり次第合流予定だったのだが、まさかカフェで開催させることになるとは思ってもおらず。
何もせずに食べられると思っていたバーベキューを手伝わされ、莉子は少し不機嫌である。
莉子はしぶしぶと、取り皿など彼が持参したものを開封することにした。
火を起こす隣では、連藤が三井の妻のごとく、切って持ってきた食材を手際よく鉄の串に刺している。
肉・肉・玉ねぎ・ピーマン・肉、という具合に、どれも均一に刺ささり、見た目もきれいな挙句、すでに塩胡椒までされているではないか。
連藤は莉子が動き出したのがわかったらしく、手を止めぬまま、莉子に顔を向けると、
「莉子さん、座っていて構わない。場所だけでも貸してもらえて助かってるのに、手伝いまでさせるわけにはいかない」
こう優しく微笑まれたら手伝いたくもなるものだ。
だいたいあのゴツいBBQ奉行は座ってていいぞとは言わないだろう。
小洒落た紙皿や箸を取りだし、テラス用に準備した焼き台も設置した。
三井が持ち込んできたものは、かなり大きなバーベキュー台だ。
蓋が閉めれるもので、網と表現するが鉄格子のごとく太い鉄網が設置された焼台だ。
なので30センチはあるであろう鉄串の肉たちも余裕で焼ける、本格的な焼き台である。
一方、莉子が用意した焼き台は七輪程度の大きさのものだ。
ここで何を焼くかというと、自分が食べたい野菜類である。
きっとあの大きな焼き台にはたくさんのお肉が並べられるのだろう。
そうなればそれほど野菜は焼けないはずだ。
改めて莉子は自分が食べたいズッキーニに玉ねぎ、茄子に塩胡椒をし、オリーブ油を塗って持ってきたのだが、連藤の肉の量といい、炭の量といい、どれほどの人間が来るのだろう?
それに飲み物の準備がされていない───
「三井さん、今日の参加人数を教えてください」
「え? 俺だろ、あと連藤、お前、あとは、巧と瑞樹が何人連れてくるかだなぁ……」
「飲み物はどうするんですか?」
「それは任せておけ。ちゃんと巧と瑞樹が用意してくる、はずだ」
莉子は薄く微笑み、頷いた。
あまり期待しておかないでおこう。
瓶ビールも冷えてあるし、問題はないことを頭のなかで確認し、ひと息つこうとしたとき、
「あ、莉子、ワイン1本ぐらいカンパしろよ」
「場所貸ししてるんですが?」
「肉はいい肉だからな!」
「はぁ」莉子は返事にならない声をあげながら、イタリアワインを冷やしておくことにした。
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