café R ~料理とワインと、ちょっぴり恋愛~

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第1章 café R 〜ふたりの出会い、みんなの出会い〜

第3話:みんなで、ランチ!

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 ───翌日。

「今日、ランチ、行けるよな?」
「巧、これでも俺、先・輩」

 そう返したのは三井だ。
 ベスト姿の彼だが、鍛えているのがよくわかる。体の厚みはもちろん、肩幅がある。それでいて太くはないと言うのが、憎らしい。少し浅黒いのは焼いているのかもしれないが、そのせいで男の色気がしっかりと流れている。
 その隣では色眼鏡をかけた連藤がコーヒーをすすっている。
 連藤は紺色のスーツを身につけているが、スリムな体をより美しく象っているのは、オーダーメイドだけではなさそうだ。ネクタイの結び目はもちろん、シワの角度まで全て決まっているほどに、彼の完璧な雰囲気が伝わってくる。

 そんな彼らがいる場所はオフィスではなく、カフェスペースとなる。
 ソファやコーヒードリップマシーンを完備。スナックなどの自動販売機もある場所だ。

 後輩のふたりは、ちゃんと昨日のうちに先輩2人の予定を把握、ランチタイムの時間を押さえてある。
 だがそれでも確認したくなるのは、どうしてもみんなで行きたいから。

 ……というより、驚かせたいからっ!

「マジ、やばいんだって」

 巧は勢いそのまま喋ろうとするが、連藤が小さなため息と一緒に聞き返した。

「巧がいう、やばいって、どうやばいんだ?」
「マジ、うまい。マジ、やばい!」
「いや、巧のいうとおり、言葉なくなるぐらいやばいんですって!」

 瑞樹が巧の言葉をフォローしようと言葉を重ねるが、それでも年長者が納得できる言葉とは言い難い。

「スケジュール変えんなよ、三井に、連藤。後悔はさせないから」

 言い切る巧に、三井が胸を突いた。

「だから、俺たち、セ・ン・パ・イ!」

 巧はめんどくさいと頬に文字を描き、なんとなく首を下げるも、

「もう三井も連藤も俺にとっちゃ、兄貴みたいな感じだし」
「とは言ってもな、建前ってもんがあんだろ? あ?」

 今にも食いかかりそうな2人の空気を読み取ったのか、連藤は2人の方に手をかざした。

「まあまあ。三井、仕方がない。ただ、巧、ここだけにしろよ?」

 たしなめる連藤を見ながら、瑞樹がぼやく。

「ほんと、社長の一人息子って常識ないよね」
「あ? なんか言ったか、瑞樹」
「常識ないねって」
「お前な、俺と三井と連藤はかれこれ10年の付きあっ」
「もう聞き飽きた、それ」

 瑞樹は強硬で巧の口を手で塞ぐと、改めて休憩室の窓から指をさした。

「カフェの場所、多分、あそこらへん、並木道の終わりの方なんだけど……」
「公園の端っこか?」

 三井が窓に張りつくように見るが、見つけられないらしく、右左上下に頭を揺らしている。

「そそ。その辺りにカフェがあって、絶対三井さんも連藤さんも気に入ると思うんだぁ」

 瑞樹の声に連藤は微笑むが、心配そうに眉をひそめた。

「だが、それは俺も行って大丈夫なのか?」

 ぬるくなり始めたコーヒーのあたりに視線が落ちる。

「オーナーなら、だいじょぶっしょ」

 自信満々に答える巧に、連藤の冷ややかな視線が飛んだのは言うまでもない。
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