老舗あやかし和菓子店 小洗屋

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ろくろ首のリッカちゃん編

小洗屋のシラタマとろくろ首のリッカちゃん 4話

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「リッカちゃん、起き上がれた?」
「うん、大丈夫。今、歩いてる。……でも、これ、道じゃないな。凸凹してる。……草生えてる。え? あたし、今どこ?」

 それを探してるんだけど。

 シラタマはいいたくなるのをこらえた。
 乾いた着物に袖を通し、帯をきゅっとむすんでから、地面に地図を書いてみる。

「えっと……林がここで……お地蔵さんがある林がここと、ここと……」

 できあがった地図をリッカちゃんに見せると、わぁと声があがった。

「シラタマちゃん、すっごーい!」
「ありがと。母ちゃんとよくお使いにいくから」

 地図を見せると、くいっとアゴを突き出した。

「左側のお地蔵さん……そう、それ! そこらへんで寝てたの」

 ○をつけると、リッカちゃんはうんうんと声をだす。
 その場所は、確かにこの川に一番近い場所だ。
 だが、沼のような場所は見当たらない。
 このまま、川下の方に地図を広げてみても、沼地はない。
 唯一あるのは、雑木林ぐらい。
 ただ、寝ていただろう林の近くには民家があるが、誰の家だっただろう……

「あたし、もう一生、体に会えないのかな……」
「ちゃんと見つかるよ。そんなに遠くまで歩いたの?」

 リッカちゃんは目をぐるっと回す。

「足は痛くないし、服は……ちょっとドロドロ。あとは、お腹がすいてる、ぐらいかな」

 自分の体を手探りで確認しているようだ。
 懐にいれてある懐中時計をみると、もうすぐお昼。
 今日のおにぎりは玉子味噌の焼きおにぎりだ。

 ……ここで油をうっているわけにはいかない!

「リッカちゃん、体は歩いてる? 座ってる?」
「お腹すいたから座ってる。えっと、お尻はぬれてないから、乾いた地面にいると思う!」

 シラタマはじっと考える。
 体は一体、どこにいるんだろう。
 沼っぽいところから、今は乾いたところにいる──

「ね、リッカちゃん、もう少し地面を触ってみて。なにかない?」
「なにか……? えっとぉ……石、砂……砂、だ。これは砂ね!」

 シラタマはふんふんとしっぽをゆらして考える。
 沼地があって、砂が敷き詰められている場所……場所……

「わかったわ!」

 地図をぎゅっと書き足した。
 あのお地蔵さんの奥は、陶芸家である、砂かけのカヤ婆のお家だ!
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