シャンパンと苺

幸せ。

平日の朝。

朝食を作り、夫を起こす。

そして
なかなか起きてこない息子も起こしに行く。

「ご飯いらないー」

「食べないと！お昼までもたないよ？」

「んー」

どっちなのかわからない返事をし、
洗面所へ向かう息子。

髪の毛のセットに15分はかかる。

高校生になってとくに念入りになった気がする。


お弁当の用意をしてる間に夫も朝食を終えていた。


家族3人で食卓を囲むことはほとんどなくなっていた。

いつの間にかもうそれに慣れていた。

これが普通なんだ。

そう思っていた、
いや、そう思い込んでいたのかもしれない。


(ん、LINE？)

テーブルに置いたスマホに目をやると、
ママ友、恵梨からLINEがきていた。
子供が幼稚園のころからなのでもう10年以上？の付き合い。
最近は学校も違うし子供同士は交流もない。
恵梨だけでたまにランチに行ったりする。


『おはよー！

ねぇ、久しぶりに呑みに行かない？？』

そろそろ気晴らしでもしたかったので
すぐに返信をした。


『いいねえ！！行こう行こう！』

気晴らし、、？
何の気晴らしなんだろう。
自分でもそれがわからない。

そこそこの企業に勤めてる夫。
反抗期なのか、ろくに口もきかないけど、特に問題を起こす訳でもない息子。
自分自身よパートで働いて、ランチに行ったり服を買ったりする余裕もある。

何の気晴らし？




恵梨と会うのは１ヶ月振りくらい。
いつもはランチが多いので、呑みは久しぶりだった。

子供も大きくなったし夜に出かけるのもたまにはいいだろう。
息子や夫に了承を得るまでもない。
文句言われるのも嫌なので、晩ごはんの用意をしていればいいだろう。


どうせ夫は、、、
週末は仕事が忙しい、などと言いながら帰るのも遅いだろうし、、

(ほんとに仕事なんだかどうだか。)

声に出てしまうところだった。


気がつくと、息子も夫も出かけていた。

慌ててパートに行く準備をして家を出た。