123 / 151
第14章
Anecdote 宝物 ☆
しおりを挟む
××××××君、ずいぶんとご無沙汰してしまったが、変わりないかな。
この度、娘が生まれたことを報告したくてメールしたんだ。
誕生したのは先月の26日で、名前は椋。大きく力強く育ってくれることを願って、私が好きなムクノキから名付けた。
夫も付けたい名前があったようなんだけれど、話し合いで無事に解決した。譲ってもらったというべきかな。君も知っているように、彼は器が大きいから揉めることがなくて助かっているよ。だからこそ、安心してフィンブルヴェトを任せていられる。
君は今、5年生だったかな。学校や普段の生活はどうだい。君のことだからきっとうまく熟しているんだろうけど、くれぐれも無理は禁物だよ。何よりもまず、自分のことを大切にして欲しい。
弟さんも大きくなったろうね。娘と同い年だし、ひょっとするとどこかで同級生になることもあるかも知れないな。まあ、確率は限りなく低いだろうけど、縁と言うのはどこで繋がっているかわからないものだから、つい思いを馳せてしまうよ。いつか君と君の弟、私と夫、娘が顔を合わせている様子なんかを想像すると胸が躍るんだ。
もしかして、これが産後ハイなんだろうか。すべてが初めてのことで、幸福と困惑とが返す返す押し寄せて大変なんだ。
今回は簡単な報告で終わるつもりだったのに、書き出すと止まらなくなるものだね。
私は今、宝物を得た喜びでいっぱいなんだと思う。
取り留めのない話に付き合わせてしまって、すまなかった。
今度は是非、君や、君の弟さんの話を聞かせて欲しい。返信が遅れるかも知れないが、必ず時間を作るから。
できることならもう一度、君に会いたいと思っているんだ。あの魅力的な少年がどんな風に成長しているのか見てみたいよ。次に会う時は、君の小さかった手も私より大きくなっていたりしてね……。
その日が来るまで、お互い元気でいよう。
では、また近いうちに。
追伸:娘の写真を添付したので、よかったら見てやってくれ。私にも夫にも似ていて、生命の神秘を感じるよ。
この度、娘が生まれたことを報告したくてメールしたんだ。
誕生したのは先月の26日で、名前は椋。大きく力強く育ってくれることを願って、私が好きなムクノキから名付けた。
夫も付けたい名前があったようなんだけれど、話し合いで無事に解決した。譲ってもらったというべきかな。君も知っているように、彼は器が大きいから揉めることがなくて助かっているよ。だからこそ、安心してフィンブルヴェトを任せていられる。
君は今、5年生だったかな。学校や普段の生活はどうだい。君のことだからきっとうまく熟しているんだろうけど、くれぐれも無理は禁物だよ。何よりもまず、自分のことを大切にして欲しい。
弟さんも大きくなったろうね。娘と同い年だし、ひょっとするとどこかで同級生になることもあるかも知れないな。まあ、確率は限りなく低いだろうけど、縁と言うのはどこで繋がっているかわからないものだから、つい思いを馳せてしまうよ。いつか君と君の弟、私と夫、娘が顔を合わせている様子なんかを想像すると胸が躍るんだ。
もしかして、これが産後ハイなんだろうか。すべてが初めてのことで、幸福と困惑とが返す返す押し寄せて大変なんだ。
今回は簡単な報告で終わるつもりだったのに、書き出すと止まらなくなるものだね。
私は今、宝物を得た喜びでいっぱいなんだと思う。
取り留めのない話に付き合わせてしまって、すまなかった。
今度は是非、君や、君の弟さんの話を聞かせて欲しい。返信が遅れるかも知れないが、必ず時間を作るから。
できることならもう一度、君に会いたいと思っているんだ。あの魅力的な少年がどんな風に成長しているのか見てみたいよ。次に会う時は、君の小さかった手も私より大きくなっていたりしてね……。
その日が来るまで、お互い元気でいよう。
では、また近いうちに。
追伸:娘の写真を添付したので、よかったら見てやってくれ。私にも夫にも似ていて、生命の神秘を感じるよ。
3
☆拙作に目を留めていただき、本当にありがとうございます。励みになりますので、もし何かしら刺さりましたら、是非とも『いいね』・『お気に入りに追加』をお願いいたします。感想も大歓迎です!
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説



サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる