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第7章

48 トゥクルカ ☆

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「すみませんね、このような場所で」

「──────」

「はい。ご推察の通り、私が普段から利用しているコワーキングスペースです。我々は友人でも恋人でもありませんので、わざわざカフェでお茶を囲む必要はないかと思いまして」

「──────」

「ご理解いただき感謝します。ところで、お話とは?」

「──────」

「ああ、その件で……私も、ヴィネのことは残念に思っています。なんだかんだ親しかったので、可能ならを同じ目に遭わせてやりたいです。でもそんなことは無理だとわかっています……」

「──────」

「だってそうでしょう? 副代表が一枚噛んでいるんですよ? あの人がどれだけ厄介か、付き合いの長いあなたならご存じのはずでは? 冷徹、理性的なバエル代表やあなたと違って、副代表は人臭いんですよ、必要以上にね。そのくせ人間不信で、業務やナレッジの属人化が甚だしく、本当に参っているんです。まあ、他のスタッフの能力が足りていないのがボトルネックなんですが、一人で抱え込み過ぎです……。ああ、失礼、つい余計な話をしてしまいました。それでご用件は?」

「──────」

「……お話はわかりました。ですが、協力は致し兼ねます。今度はこちらが狙われますので。私にも家族や友達とか、大事な人がいるんです。下手を打てば、そういう人にまで危害が及ぶじゃありませんか。副代表あの人ならやり兼ねません」

「──────」

「そうおっしゃられても、無理なものは無理だと……」

「──────」

「いや、ですから……」

「──────」

「……はあ。あなたって、本当に人の話を聞きませんよね。ヴィネがどうやって立ち回っていたのか想像がつかないわ。でも、はい……わかりましたよ。そこだけ協力しますよ……あの処刑人の居場所がわかるようにすればいいんですね?」

「──────」

「とりあえず、情報システム部の同期にはかってみます。多分、それくらいなら可能だと思いますよ。その代わり、私が絡んでいることはご内聞に願います」

「──────」

「別に構いません。やるとなったら最善を尽くすのが、このトゥクルカのモットーです。丁度これから行く予定があるので、ついでに頼んでみます。あなたはその辺で時間を潰していてください」



 ×時間後──

「お待たせしました。ご要望の件ですが、同期曰く、追跡は不能とのことです。と言いますのも、例の処刑人はスマートリングや端末を所持していないどころか……」

「──────」

「えっ? ええ、その通りです。こんなことは前例がないのですが……」

「──────」

「きな臭い話になってきましたね。あの処刑人、ただ者じゃないようです。それでこの後、どうされるおつもりですか?」

「──────」

「そうですか。追跡できない以上、尻尾を出すのを待つしかなさそうですね。まあ、あなたは自力でどうにかなさるんでしょうけど。今回の件も想定内だったようですし、追っ付けたどり着くんじゃありませんか?」

「──────」

「へえ、意外ですね。至上の処刑人と名高いあなたが新人相手に……」

「──────」

「……! いや、まさかそんな……だって、先日……」

「──────」

「なるほど……確かにそう言われてみれば得心が行きますが、ずいぶん恐ろしいことに気づかれましたね。今になって聞いたことを後悔し始めています。副代表はそのことを把握していると思われますか?」

「──────」

「でしょうね……わかりました。ひとまず胸の内に留めておきます。ところで、あなたのパートナーは今どちらに?」

「──────」

「それ、任せる相手をお間違えでは? ベリトは面白そうだと見るや、平気で寝返りますよ?」

「──────」

「あなたが納得しているなら、私がどうこう言うことではありませんが。一応、件の同期が彼女の情報をモニターしていますので、有事の際にはお伝えします」

「──────」

「わかりきったことです。同期は平素から副代表にメンタルをやられているので、溜飲を下げるのに願ってもない機会だと言っていましたよ。時にはこのような息抜きも必要ではないでしょうか」

「──────」

「申し伝えます。同期はあなたのファンなので、喜ぶかと」

「──────」

「……いいですって、別に。そんなことより、時間がかかってもいいので、必ずヴィネの仇を討ってくださいね。なるたけむごい方法で……」

「──────」

「毒を食らわば皿までです。さっきの話が本当だとすれば、私はますますもっを許せません」

「──────」

「今後を考えれば些か気が重いですが、譲れないことなので。あなたもそうなのでは?」

「──────」

「答えてくれなくて結構です。これ以上、深掘りしませんから。では、ご武運を」

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