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ゲームで言うチュートリアル編

やっと主人公になった気がする。

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「あれ.....俺は......切られて......あれ?なんで意識が.......あれ?ここはどこだ!」

空気がよどんでいてジメジメしている。辺りは薄暗くトーヤの目の前には一本の川が右から左へと続いていた。

「ここは地獄。いや、地獄への入り口、というところだろうな。」

トーヤの左側から全身が純白で包まれた綺麗な淑女が現れた。

「お前は死んだんだ。だが死ぬには早すぎる。今からお前は地獄ではなく煉獄という罪の償いをする場所で天へ昇るための清めを受けるのだ。それでもお前の様な少年にあんな苦痛を与えるのは心苦しい。何か望みのものを持っていくがよい。」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺は何も悪い事をしていないだろう!なんで清めなんて受けなきゃいけないんだよ!」

「ちょっと待っていろ、お前のカルテを持ってくる。」

淑女は振り返り2、3歩前進すると姿を消し10秒程度で戻ってきた。

「えっと、お前の悪行は......魔王の塔を倒した。ほう、大して悪い事はしていなさそうなのだが.........倒し方が悪かったな。低級悪魔を騙して塔を爆破......ハッ、笑ってしまうほど馬鹿な事をしたな。普通は地獄へ送られるぞ。」

(だからゲームでもこういうダイナミック攻略が出来なくなっているのか.....)

「そうだったのか、じゃあ煉獄に行ってくるよ。」

「なんでも好きな物を持って行っていいぞ、能力とかでも大丈夫だ、透視能力、透明化能力、飛行能力、なんでもいいぞ。ただし1つだけだ。」

「じゃあ.........思い出を一時的に具現化するスキルで。」

「.....いいだろう。家族や友との思い出を大切にするといい。」

トーヤの右手が光り輝き始めた。そして光が治るとトーヤの右手の甲には幾何学模様が黒い線で描かれていた。

「よし!行って来い!」

「はい!スキル!来い!宝具、十二の試練!」

「な、なんだそのどっかのアニメで見た事ある様な.......まさか!!」

「僕、一時的に11の代替生命を手に入れたんで、現世帰りまーす。」

トーヤの足元が透け始めた。

「おい!そんな屁理屈通用するか!馬鹿!またやらかす気か!」

「ごめんなさーい。なんでも好きな物持ってっていいって言うからつい主人公に必要なオレツエースキルもらっちゃいました。」

「お、おい!私はもう後が無いんだ!毎度毎度失敗の連続で!こんな大事起こしたら今度は私が地獄に.......うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

綺麗な淑女は顔が涙でぐちゃぐちゃになるまで大泣きした。その時トーヤは首元まで消えかかっていた。

「愛してるぜ、お姉さん!ありがとう、気を使ってなんでも1つ好きな物をくれるなんて!じゃあな、綺麗なお姉さん!今度また!」

トーヤは完全によどんだ空気の場所から消えた。

「愛してるなんて初めて言われた.......フフフ。今度また.......ね?」

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「我の名はアマズ、貴様の名は、もう死んだか、」

「アマズか。オッケー、刻んだ。今度はお前が俺を刻め。
俺の名前を、トーヤという名を。ってか?」
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