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第五話 突然の恐怖と選択
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オリジーマン
第五話 突然の恐怖と選択
トカゲのモンスターを逃してすぐに、オリジーマンを攻撃したミチカに呆然と立ち尽くすオリジーマン。
どうすればいいかわからない。
オリジーマンはすかさず森の中を走った。三人の姿が消えるまで走った。
しかし、増援の防衛騎士団が到着し、すぐにオリジーマンの前に立ちはだかり、気がつけばオリジーマンの周りには防衛騎士団が囲ってた。
「待ってくれ!俺はトカゲのモンスターを追ってたんだ!」
防衛騎士団はオリジーマンが言ったことを信用せず、矢と拳銃を構えた。
「本当なんだ!信じてくれ!」
それでも防衛騎士団全員聞いてくれない。
多くの矢や拳銃の弾が一斉に撃って当たれば、流石にオリジーマンも大事にはいたらない。
しかし、どうやって避ければいいか考えていたが、防衛騎士団は待ってくれず一斉に打った。
オリジーマンはもう死ぬと思い、両手を頭につけかがんだ。
すると、弾と矢は運良くオリジーマンの頭部を間一髪かわし、囲っていた防衛騎士団の肩や腕に当たり負傷した。
オリジーマンはその隙に防衛騎士団の囲いの隙間を走っていった。
防衛騎士団も負傷してしまえばオリジーマンを全力で体や腕を使って止めることはできなかった。
オリジーマンは走り走って、木々の奥へ逃げ切った。防衛兵器団はもう追って来なくなった。
防衛騎士団全員が負傷しているところに、アルト、ミチカ、リコがやっときた。
防衛騎士団全員が負傷していることに三人は驚いていた。
「一体何があったんだ!」アルトが言うと一人の防衛騎士団が一斉射撃をし、オリジーマンがかがんで避けたことを説明した。
「何をしている!敵を囲んで一斉射撃は危険だと訓練でならったでしょ!」
あまりの情けない行動にアルトは叱った。
防衛騎士団の中をリコはマモルを探すが、どこにも見当たらない。
マモルはここにはいない。
オリジーマンになって森林の中へ消えたのだ。
「あの、私の班のマモルさんは見ませんでしたか?」
「マモル?誰だそいつ」
「新人さんは見てないわ」
「えっマモル君いるの?見てないがこの中にいたら・・・やべーぞ!」
防衛騎士団の全員が答える。
それでもリコは一生懸命探した。
すると茂みの中からガサガサと音が鳴った。
アルトとリコとミチカが戦闘態勢に入った。
茂みの中から出てきたのは、マモルだった。しかし、歩き方が少しフラついていた。
「どうした⁈心配したわよ!」
アルトがすぐ駆け寄りマモルの体を見ると背中にケガをしていたのがわかった。
リコが放った火炎魔法のケガだ。
ミチカがすぐにマモルを回復すると、「そのケガどこでやられたの?」と言った。
マモルの記憶からリコが火炎魔法を放った事を思い出す。リコが火炎魔法を放ったあの顔は殺意の顔だった。
「怖かった・・・。」
マモルの口から思わず言葉がこぼれた。
「怖かった?」
「あっ、いやこのケガはモンスターに不意を突かれてケガしたんだ」
「そう。怖いなんて情けないわね。あと自分の命は自分で守りなさい。私はあなたの回復役だけど、常にいるなんて考えないで。まだあなたがいない方がモンスター討伐が沢山出来ていたから」
ミチカは冷たい言葉を残し、マモルを手当てして去っていった。
マモルは思った。
ミチカとは当分仲良くなれそうにないと。
一方、マオザではトカゲのモンスターが新たな王になったゴウにオリジーマンの情報を話していた。
「ゴウ様!人間に新たな仲間であるオリジーマンの情報を収集しました!奴は人間です!あと防衛騎士団の中でまだ新人の奴です!」
「新人・・・ということは若かったよな?」
「はい、だいたいゴウ様ぐらいでしたね~。どうかしましたか?」
ゴウは新人ということに戸惑いを感じた。敵であるが、自分と同い年かそれとも下か。敵という理由で若いうちに殺すのは抵抗があった。
「そうか。でかしたぞ」
突然後ろから誰かの声が聞こえた。振り向くと、ゴウの父親が立っていた。
「なら今後、オリジーマンを優先に攻撃することだ。いままで、私たちの種族が勝ってきたがここで負けてはいけない。流石のオリジーマンでも集団で倒すことはできないだろうな。今後情報収集を・・・」
突然の父親の命令でゴウは戸惑った。
「ちょっとまって父さん!僕がこの街の王になったんだから僕が全て命令するんじゃなかったの?」
「ゴウ。たしかにお前はこの王になった。だが、戦場の司令はまだ私だ」
「父さん!話が全然違うよ!王はこの街だけじゃなくて戦場とか全て命令するんだよ!父さんがなんで⁈」
ゴウはマオザの王については知っていた。この街や戦争や護衛を命令できるのは王だけだと。
それなのに、王を引退した父親がなぜ戦場のことを命令をするのかわからなかった。今まで街や護衛の時は何も命令はしなかった。
だが・・・
「ゴウ!お前はこの街のことを考えればいいんだ!戦場のことは私が責任を持つ。まだお前が戦場ことをやるのは荷が重すぎるからだ」
「そんなことない、僕は王になる前に、今起こっていること全てを知って、王になることを決めたんだ!それも、戦争も全て覚悟して決めたんだ!」
「ダメだ!私が戦争のこと全て責任を持ってやる!」
何を話しても無駄だとわかったゴウは「これは王の命令だ!言うことを従え!」と反論するが。
「父親の言うことを聞け!いいな?戦場の指揮官は私がやる。おまえは口出し無用だ」
その言葉を残し、ゴウの父親はトカゲのモンスターを連れて去っていった。
「父さん!」と何度も言ってもゴウの父親は振り向かず去っていった。
背中を怪我したマモルは救護班に連れられて防衛騎士団基地にある病院に戻った。
ベットの上にねっころがり、時間を潰すのに暇を持て余していた。一日が終わるまであと十二時間。今まで防衛騎士団をやっている時は、時間は早く過ぎていくのに対し、ベットの上で何もしないと長く感じる。
マモルはある事を考え起き上がった。
オリジーマンの正体を言うべきか、それもだまっているか。
最初会議室で聞いたオリジーマンは敵と認定された時、防衛騎士団には自分の正体を秘密にするべきと考えていた。理由は正体がバレたら、防衛騎士団が自分を殺しに来るのではかと。
だがこのまま黙ればまたリコから攻撃を受ける。あの殺意の顔で。それも、リコだけでなくアルト、ミチカ、そして防衛騎士団、住民全員が殺意の顔で襲ってきたら・・・そう考えるとマモルの心の中で震えが出てきた。あの顔はもう二度と見たくないと。
「マモル?大丈夫ですか?」
突然前から声が聞こえたので顔を上げると殺意の顔でリコがマモル見ていた。
「あぁぁぁぁぁぁ!」
マモルは思わず絶叫した。
あまりの絶叫にリコも「きゃぁぁぁぁぁ!」と絶叫した。
二人の絶叫は病棟全体まで響いてしまい、病棟にいた看護婦何人がマモルとリコがいた病室へ駆けつけてきた。
マモルの考えすぎでついに幻覚まで見るようになってしまった。
マモルは看護婦に絶叫してしまったことを説明した。看護婦もやや怒り気味で戻っていった。
そしてリコに説明をした。
「えぇぇ!私の顔が怪物に見えたですって!」
本当は殺意の顔であるが、話してしまえぼ不思議と思われるだろうと嘘の説明した。
「ひどい!せっかくお見舞いに来たのに!そんなこと言うなんて最低!」
まぁ本当の事を言ってもどうせ怒られるだろうとマモルは思った。
あまりのリコの怒りっぷりにマモルは謝った。
「あのリコ先輩。考えすぎた僕も悪いです。本当にすいません。」
「許すぅっ!」
女性らしくない許し方だ。
「いや許すって・・・」
リコはマモルが寝ていたベットの隣にある椅子に座り話した。
「あのさ、あなたが言ってたオリジーマン・・・」
突然のオリジーマンの事でマモルは少しビックリした。
「オリジーマンがなんですか?」
「私も絶対味方だと思う」
思ってもいない事を言ったリコにマモルは驚いた。
「えっ信じてくれるんですか?」
マモルは嬉しくなった。
「もちろん!でもオリジーマンが味方だって証拠はないけど、昨日の夜、黒い鎧と戦ってだ時、ピンチだった私達を助けに来たんだもん。味方じゃなかったら絶対助けに来ない」
「そうですよね。」
「それに、オリジーマンが味方になれば私たちが戦わなくていいですもんね!」
「え?」
マモルの心から嬉しさから不安に変わった。
「だって私たち弱かったらオリジーマンは、私たちのこと絶対邪魔だと思ってるわ。私たちがいなくなればオリジーマンももっと戦いやすくなると思うわ!」
「いや、それは・・・オリジーマンがそこまで強いかどうか・・・」
「いえ絶対そうだわ!それにマモル君だって戦わなくていいのよ!」
リコは笑顔でマモルの鼻の前までよった。
ここまで女性の顔が近くなるのは初めてだった。
思わずマモルは「近い・・・」と思った。
「まっ!オリジーマンはどう思っているかわからないけど、私が思っている通りだったらいいなー」
リコが言い、時計を見るとこれから用事があると言い残し、病室を出ていった。
またマモルからもう一つ悩みが出てきた。
本当は防衛騎士団と共に戦うつもりだったのに。オリジーマンはそこまで無敵ではない。防衛騎士団の協力がなければオリジーマンは死ぬに違いない。
防衛騎士団と仲間になるには・・・。
その時マモルはわかった。
オリジーマンの力にに頼ろうとしていたことに。
いつか防衛騎士団と仲間になってもリコが言っていたようにオリジーマンにずっと頼りきってしまうことになるとわかった。
それはこの世界を平和に変える正しいことではない。間違っていることだ。
この世界を平和にするために、もう一度ゼロから考えなくてはならなきゃいけないと。
「トカゲのモンスターを東の門付近で発見!その後、逃走中!防衛騎士団は発見次第討伐せよ!」
防衛騎士団基地内での連絡が響き伝わった。マモルはベットから起き上がり、すぐに着替えた。たが本当は医師から退院の許可が降りない限り、任務をしてはいけない。しかしマモルは看護婦や医師の静止を振り切り、外に出て偶然出会あった防衛騎士団の軍隊の中へ紛れ込んだ。
マモルは軍隊と一緒に走る。
門の外に出ると軍隊からそれて、近くにある森に入った。
右腕についているブレスレットを上にあげ、変身しようとした。
「戦わなくて済む」
その言葉がまた頭の中から出て、変身を辞めた。
同時に不安が蘇る。
マモルは右腕についているブレスレットを長袖の裾に隠した。
前回の反省を踏まえ、トカゲのモンスターは森のどこかで監視をしていると思い、マモルは考えた。
それだけではない。リコが言ったあの言葉が頭の中に響き渡る。
「オリジーマンが味方だったら戦わなくて済む」
その言葉に不安が少しずつ出てくる。もし本当に防衛騎士団が戦わず、オリジーマンに頼るようになったら・・・オリジーマンでもそこまで無敵ではない。絶対。
すぐに死んでしまう。
その事を何より知っているのはマモル一人だけだ。
森の中を走り続けると予想通り、トカゲのモンスターは茂みの中で待ち伏せをしていた。それも頭隠してお尻だけ隠していなかった。
不安を忘れ、マモルはトカゲのモンスターのお尻に向かって蹴った。
突然の卑怯な攻撃にビックリして、トカゲのモンスターは、両手をお尻に包んで三メートルぐらいジャンプしながら後ろを向いた。
「お前!オリジーマン!そんな、その、地味で卑怯な攻撃なんてひどいぞ!」
思っていた攻撃とは違い、トカゲのモンスターは怒っていた。
それにトカゲのモンスターはマモルがオリジーマンに変身する前の姿を見ていたため、正体を知っていた。
「そんなのお尻をちゃんと隠さないお前が悪いじゃん」
マモルは冷静に言った。
トカゲのモンスターは両手の爪で反撃した。
トカゲのモンスターも前回の反省を踏まえてより早く腕を振っていた。だが、爪は全くマモルにかすりもしていない。
マモルも避けるどころか後退しながら歩いていた。
「お前!歩いてよけるなよ!」
「だってお前の爪届いてないもん」
「届いてなくても避ける振りでもしろよ!なんか俺の攻撃が下手のようになるじゃん!」
「いや下手じゃん」
モンスターとマモルの不思議な言い争いが続き、流石に反撃しようとマモルは、剣を持って大きく上げた。
前回のような、剣を使って叩くということはもうしない。力いっぱい貯めてすぐにトカゲのモンスターの頭へ素早く振り下ろした。
爪を使って攻撃に夢中になっていたのか、トカゲのモンスターはマモルが剣を振り下ろすと気づいた時は、剣の先は目と鼻の先にあった。もう避けることも、両手を使って止めることも出来なかった。
・・・しかし
コン。
叩いただけだ。またあの時と同じことが起こり、マモルとトカゲのモンスターの動きは止まった。
冷たい風が吹く。
「隙あり!オラァァッ!」
トカゲのモンスターが右手の爪で切り翳そうと、大きく振るも、やっぱり、マモルはあっさりと後ろへ歩いて避けた。剣で叩いて後ろに避け、爪で攻撃しても届かず、ずっと繰り返し続けてどれくらいたったのだろうか。
防衛騎士団の軍隊が到着した。その中にリコ、アルト、ミチカがいた。
外から見るとマモルが後ろ歩きをして、剣でコンコンと叩いて、トカゲのモンスターの攻撃を簡単に避けていることに防衛騎士団全員唖然していた。
「こちら突入部隊・・・新人とトカゲのモンスターが、なんか・・・地味な戦いをしています」
一人の防衛騎士団が魔法の力で、本部に連絡した。
しかし本部は「おい、ふざけた伝達はするな」といった。
本当のことなのにどう説明すればいいのかわからない。
マモルとトカゲのモンスターもさすがに二◯分間攻撃したり、避けたりし続けてついに疲れ始めた。マモルとトカゲのモンスターは、「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」と吐きながらスローモーションのような鈍く避けたり、コンコンと、剣を叩いて反撃していた。
「リコ!ミチカ!やるわよ!」
アルトがリコとミチカに言うと二人は頷いた。
リコとミチカがアルトの剣に炎と、水の魔力を掛けた。アルトは両手で剣を構えて、トカゲのモンスターの様子を伺う。トカゲのモンスターの動きが一瞬鈍くなった時、アルトはすかさずトカゲのモンスターに向けて剣を右から左へ大きく振ると、なんと炎と水が混じった光線を放った!トカゲのモンスターしか目に入っていなかったマモルは、光線が目の前まで来たのに気づき、間一髪かわした。
そして光線はトカゲのモンスターに当たり、爆発し、大きな黒煙と炎が出た。
これで任務完了と誰もが思った・・・だが。
黒煙の中から、トカゲのモンスターは、なぜか変身が解けて、人間の姿に戻った。
防衛騎士団とマモルは驚いた。
防衛騎士団は人間の姿に戻ったトカゲのモンスターをすぐに囲った。
アルトがいた事にマモルはなぜトカゲのモンスターが人間になったのかアルト言った。
「アルトさんこれはどういうことなんですか?」
しかしアルトもわからなかった。
それより、マモルは病棟で数日休んでいるはずなのに、現場に来たことにアルトは心配した。
「マモル!怪我は大丈夫なのか?」
「えっ、あぁ。大丈夫です。こんなくらい」
アルト、リコ、ミチカは回復の早いマモルに少し驚いていた。
だが、トカゲのモンスターが人間に戻ったことにマモルをまた、どん底へ落とすことになるとは、マモルもその仲間も誰も思っていなかった。
第五話 突然の恐怖と選択
トカゲのモンスターを逃してすぐに、オリジーマンを攻撃したミチカに呆然と立ち尽くすオリジーマン。
どうすればいいかわからない。
オリジーマンはすかさず森の中を走った。三人の姿が消えるまで走った。
しかし、増援の防衛騎士団が到着し、すぐにオリジーマンの前に立ちはだかり、気がつけばオリジーマンの周りには防衛騎士団が囲ってた。
「待ってくれ!俺はトカゲのモンスターを追ってたんだ!」
防衛騎士団はオリジーマンが言ったことを信用せず、矢と拳銃を構えた。
「本当なんだ!信じてくれ!」
それでも防衛騎士団全員聞いてくれない。
多くの矢や拳銃の弾が一斉に撃って当たれば、流石にオリジーマンも大事にはいたらない。
しかし、どうやって避ければいいか考えていたが、防衛騎士団は待ってくれず一斉に打った。
オリジーマンはもう死ぬと思い、両手を頭につけかがんだ。
すると、弾と矢は運良くオリジーマンの頭部を間一髪かわし、囲っていた防衛騎士団の肩や腕に当たり負傷した。
オリジーマンはその隙に防衛騎士団の囲いの隙間を走っていった。
防衛騎士団も負傷してしまえばオリジーマンを全力で体や腕を使って止めることはできなかった。
オリジーマンは走り走って、木々の奥へ逃げ切った。防衛兵器団はもう追って来なくなった。
防衛騎士団全員が負傷しているところに、アルト、ミチカ、リコがやっときた。
防衛騎士団全員が負傷していることに三人は驚いていた。
「一体何があったんだ!」アルトが言うと一人の防衛騎士団が一斉射撃をし、オリジーマンがかがんで避けたことを説明した。
「何をしている!敵を囲んで一斉射撃は危険だと訓練でならったでしょ!」
あまりの情けない行動にアルトは叱った。
防衛騎士団の中をリコはマモルを探すが、どこにも見当たらない。
マモルはここにはいない。
オリジーマンになって森林の中へ消えたのだ。
「あの、私の班のマモルさんは見ませんでしたか?」
「マモル?誰だそいつ」
「新人さんは見てないわ」
「えっマモル君いるの?見てないがこの中にいたら・・・やべーぞ!」
防衛騎士団の全員が答える。
それでもリコは一生懸命探した。
すると茂みの中からガサガサと音が鳴った。
アルトとリコとミチカが戦闘態勢に入った。
茂みの中から出てきたのは、マモルだった。しかし、歩き方が少しフラついていた。
「どうした⁈心配したわよ!」
アルトがすぐ駆け寄りマモルの体を見ると背中にケガをしていたのがわかった。
リコが放った火炎魔法のケガだ。
ミチカがすぐにマモルを回復すると、「そのケガどこでやられたの?」と言った。
マモルの記憶からリコが火炎魔法を放った事を思い出す。リコが火炎魔法を放ったあの顔は殺意の顔だった。
「怖かった・・・。」
マモルの口から思わず言葉がこぼれた。
「怖かった?」
「あっ、いやこのケガはモンスターに不意を突かれてケガしたんだ」
「そう。怖いなんて情けないわね。あと自分の命は自分で守りなさい。私はあなたの回復役だけど、常にいるなんて考えないで。まだあなたがいない方がモンスター討伐が沢山出来ていたから」
ミチカは冷たい言葉を残し、マモルを手当てして去っていった。
マモルは思った。
ミチカとは当分仲良くなれそうにないと。
一方、マオザではトカゲのモンスターが新たな王になったゴウにオリジーマンの情報を話していた。
「ゴウ様!人間に新たな仲間であるオリジーマンの情報を収集しました!奴は人間です!あと防衛騎士団の中でまだ新人の奴です!」
「新人・・・ということは若かったよな?」
「はい、だいたいゴウ様ぐらいでしたね~。どうかしましたか?」
ゴウは新人ということに戸惑いを感じた。敵であるが、自分と同い年かそれとも下か。敵という理由で若いうちに殺すのは抵抗があった。
「そうか。でかしたぞ」
突然後ろから誰かの声が聞こえた。振り向くと、ゴウの父親が立っていた。
「なら今後、オリジーマンを優先に攻撃することだ。いままで、私たちの種族が勝ってきたがここで負けてはいけない。流石のオリジーマンでも集団で倒すことはできないだろうな。今後情報収集を・・・」
突然の父親の命令でゴウは戸惑った。
「ちょっとまって父さん!僕がこの街の王になったんだから僕が全て命令するんじゃなかったの?」
「ゴウ。たしかにお前はこの王になった。だが、戦場の司令はまだ私だ」
「父さん!話が全然違うよ!王はこの街だけじゃなくて戦場とか全て命令するんだよ!父さんがなんで⁈」
ゴウはマオザの王については知っていた。この街や戦争や護衛を命令できるのは王だけだと。
それなのに、王を引退した父親がなぜ戦場のことを命令をするのかわからなかった。今まで街や護衛の時は何も命令はしなかった。
だが・・・
「ゴウ!お前はこの街のことを考えればいいんだ!戦場のことは私が責任を持つ。まだお前が戦場ことをやるのは荷が重すぎるからだ」
「そんなことない、僕は王になる前に、今起こっていること全てを知って、王になることを決めたんだ!それも、戦争も全て覚悟して決めたんだ!」
「ダメだ!私が戦争のこと全て責任を持ってやる!」
何を話しても無駄だとわかったゴウは「これは王の命令だ!言うことを従え!」と反論するが。
「父親の言うことを聞け!いいな?戦場の指揮官は私がやる。おまえは口出し無用だ」
その言葉を残し、ゴウの父親はトカゲのモンスターを連れて去っていった。
「父さん!」と何度も言ってもゴウの父親は振り向かず去っていった。
背中を怪我したマモルは救護班に連れられて防衛騎士団基地にある病院に戻った。
ベットの上にねっころがり、時間を潰すのに暇を持て余していた。一日が終わるまであと十二時間。今まで防衛騎士団をやっている時は、時間は早く過ぎていくのに対し、ベットの上で何もしないと長く感じる。
マモルはある事を考え起き上がった。
オリジーマンの正体を言うべきか、それもだまっているか。
最初会議室で聞いたオリジーマンは敵と認定された時、防衛騎士団には自分の正体を秘密にするべきと考えていた。理由は正体がバレたら、防衛騎士団が自分を殺しに来るのではかと。
だがこのまま黙ればまたリコから攻撃を受ける。あの殺意の顔で。それも、リコだけでなくアルト、ミチカ、そして防衛騎士団、住民全員が殺意の顔で襲ってきたら・・・そう考えるとマモルの心の中で震えが出てきた。あの顔はもう二度と見たくないと。
「マモル?大丈夫ですか?」
突然前から声が聞こえたので顔を上げると殺意の顔でリコがマモル見ていた。
「あぁぁぁぁぁぁ!」
マモルは思わず絶叫した。
あまりの絶叫にリコも「きゃぁぁぁぁぁ!」と絶叫した。
二人の絶叫は病棟全体まで響いてしまい、病棟にいた看護婦何人がマモルとリコがいた病室へ駆けつけてきた。
マモルの考えすぎでついに幻覚まで見るようになってしまった。
マモルは看護婦に絶叫してしまったことを説明した。看護婦もやや怒り気味で戻っていった。
そしてリコに説明をした。
「えぇぇ!私の顔が怪物に見えたですって!」
本当は殺意の顔であるが、話してしまえぼ不思議と思われるだろうと嘘の説明した。
「ひどい!せっかくお見舞いに来たのに!そんなこと言うなんて最低!」
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あまりのリコの怒りっぷりにマモルは謝った。
「あのリコ先輩。考えすぎた僕も悪いです。本当にすいません。」
「許すぅっ!」
女性らしくない許し方だ。
「いや許すって・・・」
リコはマモルが寝ていたベットの隣にある椅子に座り話した。
「あのさ、あなたが言ってたオリジーマン・・・」
突然のオリジーマンの事でマモルは少しビックリした。
「オリジーマンがなんですか?」
「私も絶対味方だと思う」
思ってもいない事を言ったリコにマモルは驚いた。
「えっ信じてくれるんですか?」
マモルは嬉しくなった。
「もちろん!でもオリジーマンが味方だって証拠はないけど、昨日の夜、黒い鎧と戦ってだ時、ピンチだった私達を助けに来たんだもん。味方じゃなかったら絶対助けに来ない」
「そうですよね。」
「それに、オリジーマンが味方になれば私たちが戦わなくていいですもんね!」
「え?」
マモルの心から嬉しさから不安に変わった。
「だって私たち弱かったらオリジーマンは、私たちのこと絶対邪魔だと思ってるわ。私たちがいなくなればオリジーマンももっと戦いやすくなると思うわ!」
「いや、それは・・・オリジーマンがそこまで強いかどうか・・・」
「いえ絶対そうだわ!それにマモル君だって戦わなくていいのよ!」
リコは笑顔でマモルの鼻の前までよった。
ここまで女性の顔が近くなるのは初めてだった。
思わずマモルは「近い・・・」と思った。
「まっ!オリジーマンはどう思っているかわからないけど、私が思っている通りだったらいいなー」
リコが言い、時計を見るとこれから用事があると言い残し、病室を出ていった。
またマモルからもう一つ悩みが出てきた。
本当は防衛騎士団と共に戦うつもりだったのに。オリジーマンはそこまで無敵ではない。防衛騎士団の協力がなければオリジーマンは死ぬに違いない。
防衛騎士団と仲間になるには・・・。
その時マモルはわかった。
オリジーマンの力にに頼ろうとしていたことに。
いつか防衛騎士団と仲間になってもリコが言っていたようにオリジーマンにずっと頼りきってしまうことになるとわかった。
それはこの世界を平和に変える正しいことではない。間違っていることだ。
この世界を平和にするために、もう一度ゼロから考えなくてはならなきゃいけないと。
「トカゲのモンスターを東の門付近で発見!その後、逃走中!防衛騎士団は発見次第討伐せよ!」
防衛騎士団基地内での連絡が響き伝わった。マモルはベットから起き上がり、すぐに着替えた。たが本当は医師から退院の許可が降りない限り、任務をしてはいけない。しかしマモルは看護婦や医師の静止を振り切り、外に出て偶然出会あった防衛騎士団の軍隊の中へ紛れ込んだ。
マモルは軍隊と一緒に走る。
門の外に出ると軍隊からそれて、近くにある森に入った。
右腕についているブレスレットを上にあげ、変身しようとした。
「戦わなくて済む」
その言葉がまた頭の中から出て、変身を辞めた。
同時に不安が蘇る。
マモルは右腕についているブレスレットを長袖の裾に隠した。
前回の反省を踏まえ、トカゲのモンスターは森のどこかで監視をしていると思い、マモルは考えた。
それだけではない。リコが言ったあの言葉が頭の中に響き渡る。
「オリジーマンが味方だったら戦わなくて済む」
その言葉に不安が少しずつ出てくる。もし本当に防衛騎士団が戦わず、オリジーマンに頼るようになったら・・・オリジーマンでもそこまで無敵ではない。絶対。
すぐに死んでしまう。
その事を何より知っているのはマモル一人だけだ。
森の中を走り続けると予想通り、トカゲのモンスターは茂みの中で待ち伏せをしていた。それも頭隠してお尻だけ隠していなかった。
不安を忘れ、マモルはトカゲのモンスターのお尻に向かって蹴った。
突然の卑怯な攻撃にビックリして、トカゲのモンスターは、両手をお尻に包んで三メートルぐらいジャンプしながら後ろを向いた。
「お前!オリジーマン!そんな、その、地味で卑怯な攻撃なんてひどいぞ!」
思っていた攻撃とは違い、トカゲのモンスターは怒っていた。
それにトカゲのモンスターはマモルがオリジーマンに変身する前の姿を見ていたため、正体を知っていた。
「そんなのお尻をちゃんと隠さないお前が悪いじゃん」
マモルは冷静に言った。
トカゲのモンスターは両手の爪で反撃した。
トカゲのモンスターも前回の反省を踏まえてより早く腕を振っていた。だが、爪は全くマモルにかすりもしていない。
マモルも避けるどころか後退しながら歩いていた。
「お前!歩いてよけるなよ!」
「だってお前の爪届いてないもん」
「届いてなくても避ける振りでもしろよ!なんか俺の攻撃が下手のようになるじゃん!」
「いや下手じゃん」
モンスターとマモルの不思議な言い争いが続き、流石に反撃しようとマモルは、剣を持って大きく上げた。
前回のような、剣を使って叩くということはもうしない。力いっぱい貯めてすぐにトカゲのモンスターの頭へ素早く振り下ろした。
爪を使って攻撃に夢中になっていたのか、トカゲのモンスターはマモルが剣を振り下ろすと気づいた時は、剣の先は目と鼻の先にあった。もう避けることも、両手を使って止めることも出来なかった。
・・・しかし
コン。
叩いただけだ。またあの時と同じことが起こり、マモルとトカゲのモンスターの動きは止まった。
冷たい風が吹く。
「隙あり!オラァァッ!」
トカゲのモンスターが右手の爪で切り翳そうと、大きく振るも、やっぱり、マモルはあっさりと後ろへ歩いて避けた。剣で叩いて後ろに避け、爪で攻撃しても届かず、ずっと繰り返し続けてどれくらいたったのだろうか。
防衛騎士団の軍隊が到着した。その中にリコ、アルト、ミチカがいた。
外から見るとマモルが後ろ歩きをして、剣でコンコンと叩いて、トカゲのモンスターの攻撃を簡単に避けていることに防衛騎士団全員唖然していた。
「こちら突入部隊・・・新人とトカゲのモンスターが、なんか・・・地味な戦いをしています」
一人の防衛騎士団が魔法の力で、本部に連絡した。
しかし本部は「おい、ふざけた伝達はするな」といった。
本当のことなのにどう説明すればいいのかわからない。
マモルとトカゲのモンスターもさすがに二◯分間攻撃したり、避けたりし続けてついに疲れ始めた。マモルとトカゲのモンスターは、「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」と吐きながらスローモーションのような鈍く避けたり、コンコンと、剣を叩いて反撃していた。
「リコ!ミチカ!やるわよ!」
アルトがリコとミチカに言うと二人は頷いた。
リコとミチカがアルトの剣に炎と、水の魔力を掛けた。アルトは両手で剣を構えて、トカゲのモンスターの様子を伺う。トカゲのモンスターの動きが一瞬鈍くなった時、アルトはすかさずトカゲのモンスターに向けて剣を右から左へ大きく振ると、なんと炎と水が混じった光線を放った!トカゲのモンスターしか目に入っていなかったマモルは、光線が目の前まで来たのに気づき、間一髪かわした。
そして光線はトカゲのモンスターに当たり、爆発し、大きな黒煙と炎が出た。
これで任務完了と誰もが思った・・・だが。
黒煙の中から、トカゲのモンスターは、なぜか変身が解けて、人間の姿に戻った。
防衛騎士団とマモルは驚いた。
防衛騎士団は人間の姿に戻ったトカゲのモンスターをすぐに囲った。
アルトがいた事にマモルはなぜトカゲのモンスターが人間になったのかアルト言った。
「アルトさんこれはどういうことなんですか?」
しかしアルトもわからなかった。
それより、マモルは病棟で数日休んでいるはずなのに、現場に来たことにアルトは心配した。
「マモル!怪我は大丈夫なのか?」
「えっ、あぁ。大丈夫です。こんなくらい」
アルト、リコ、ミチカは回復の早いマモルに少し驚いていた。
だが、トカゲのモンスターが人間に戻ったことにマモルをまた、どん底へ落とすことになるとは、マモルもその仲間も誰も思っていなかった。
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蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
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転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
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